2017年6月3日土曜日

ベル・エポックの象徴 : ロイ・フラーの物語・《La Danseurse》


身体の動き、連動する衣装、そして多色光の操作によって、かつて誰も見たことのない幻のようなヴィジュアルを総指揮、創造したRoïe Fuller(ロイ・フラー)。

彼女のアイデアの発見、実現への情熱は多くの人物を巻き込み、感動させた。


『ザ ダンサー』公式サイト


衣装、照明プラン全てを考案し、その動力となる自らの肉体を酷使してまでも美を表現しようとしたロイと、自らの優雅な身のこなし一体で自然な人体を表現したイサドラ・ダンカン。

どちらも天才であり、自分を生かした表現者である。


映画『ザ・ダンサー』パンフレット


19世紀末から20世紀初頭….退廃的なムードの中にあっても、ロイの表現に新しい芸術を見い出そうとする伯爵(2014年にサンローランを演じた彼が全く別人のごとく演じている)や、ロイの斬新な照明プランやデッサンに可能性を見い出した劇場マネージャーの女性(かつて香水『Opium』の顔であっただけにその強い眼差しが忘れられない)。

彼らがいたからロイは表現でき、イサドラを発見することができた。

そう、人は一人では、多くの人を、ましてや年月を超えて感動させることなどできない。

ロイの言葉

「素晴らしいのはダンスであって私自身ではない」

が、深く響く。ダンスで表現しようとするヴィジョンと格闘しているからゆえの言葉であると思う。


ダンサー。人は何故身体で何かを表現しようとするのかをゆっくり考察したくなる映画である。



東京にて、sawaroma より。




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