2013年6月30日日曜日

『色を見る、色を楽しむ。…』・ブリヂストン美術館にて

昨日。
今週の予定として自らに課していたすべてを終え
心身ともに疲れていた。情報量の多さゆえに。

夕方。まだ17時にはなっていない。
八重洲にいた私は斜め向こうに見えたブリヂストン美術館へ。

ブリヂストン美術館コレクション展 
色を見る、色を楽しむ。ールドンの『夢想』、マティスの『ジャズ』…
2013年6月22日(土)〜2013年9月18日(水)



何も考えないで
ただ眺めた。

誰が描いた、
などはどうでも良かった。

美大生たちの集団だろうか
学芸員らしき人の説明を聴いていた。
私はそんな説明もスルーして
ただ
魅かれるものは
何度も
近くからも遠くからも
立ったり座ったり
色々な角度から眺めた。

迷路のような館内を何度もぐるぐる。
気がつくと心が安らいでいた。

『色を見る、色を楽しむ。…』
結果的に展覧会にピッタリのタイトルだと思った。

Tearoom Georgette( ティールーム ジョルジェット )で熱い珈琲と、フランス産フロマージュが添えられたスコーンを頂く。
元気になった。

私が美術作品をひとりで静かに眺めて楽しむ幸せを知ったのは
パリに滞在中のことだった。
特に美術や美術史に何の知識もない自分が
パリで一番楽しめたことだった。

どこか心の中の騒音をリセットできる藝術の力には
感謝せざるを得ない。

『知っていそうで知らない、すみれの話』・日本調香技術普及協会講演にて

4つの花の物語・LES SOLIFLORES par ANNICK GOUTALで改めてスミレをテーマにしたフレグランスに触れ
ちょうど知りたいと思っていたことを
絶妙のタイミングで知る機会に恵まれました。

日本調香技術普及協会
の6月29日講演会のテーマは二つ。

1.『知っていそうで知らない、すみれの話』
田淵誠也氏(日本すみれ研究会 事務局長)
2.『トゥーレットのニオイスミレ』
佐野孝太氏(曽田香料株式会社フレグランス開発部長)

すみれ。菫。ヴァイオレット。
この、鮮やかな濃い紫色の、楚々とした可憐な花について
私が知っていたことなどほんの僅かでした。
程良くお化粧をした大人の上品な女性を思わせる粉っぽい香り…
どこか懐かしく奥深い香りを醸し出すその花の天然香料は
かつては作られていたものの
今や香料として市場に流通するような作られ方はされておらず
合成で表現されている…その葉も貴重な香料原料のはず…。

植物としてのすみれの専門家である田淵先生のお話を聴講し
この花の秘密をいくつも知りました。
・種類が多い。スミレ科スミレ属で世界に約500種、日本には55種ある。
・においのあるものもあればほとんど無いものある。
・いわゆる花びらが開かない状態でも種を作ることができる。
・蟻の好むものを提供するかわりに蟻に種を運ばせる。

そして、調香師である佐野先生からは
香料抽出に用いられるニオイスミレ(学名 viola odorata) の
代表的栽培地である南フランス、トゥーレットでの
花からのアブソリュート抽出体験のお話を聴きました。
昔は花から温浸法で香料を抽出していたそうですが
現在では行われなくなり
栽培されたニオイスミレの花はブーケ用、砂糖菓子用となります。
香料は葉からアブソリュートが抽出されているそうで
その収率も0.04%と低く価格はかなり高価とのこと。

このヴァイオレットリーフアブソリュート。
10%希釈で鑑賞いたしました。
確かにパワフルなグリーン。どこなく和を感じさせる滑らかな奥深さ。
これはかつて私が好きになった
幾つかのフレグランスの余韻の中にもありました。

毎年3月第2日曜日には
スミレの町トゥーレットでは
スミレ祭り(FETE DES VIOLETTES)が行われているのだとか。
素敵です。
もし私が地中海沿岸に住んでいたら
3月は南仏へスミレ祭り、
6月はブルガリアへバラ祭りへと旅をすることでしょう。

さて
帰宅後、コチラ でご紹介した本を開きました。
「ヴァイオレット」のページには
紀元前4世紀に植物学の祖であるテオフラストスによる
この植物への言及があったと記されていました。
そして
フレグランス「パリジェンヌ(2009)/イヴ・サンローラン」を
調香したソフィー・ラベによる香料ヴァイオレットの魅力が綴られています。

今回のように
スミレを植物として専門に研究されている職業の方と
香りの専門家である調香師の方のお話を続けて聴くことで
有機体としての香りの知識を立体的に深めるきっかけになったと
思います。


2013年6月27日木曜日

美的好奇心で見る『貴婦人と一角獣 展』

乃木坂駅から直結。
国立新美術館へ。



フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
貴婦人と一角獣展


背景を知らなくとも
この暖かみのある赤と落ち着きのある青のコントラストには
何度か振り返った人が多いのではないだろうか。

展示室は2階。
タペストリーが制作されたと思われる1500年代も
室内はあまり明るくはなかったであろうし
明るい照明は作品保護のために避けられているはず…

ほの暗い会場であることは予め承知してはいたが
最初の広間で
触覚・味覚・嗅覚・聴覚・視覚・我が唯一の望み
の6点が、一続きパノラマのように見られることを
どこかで期待していた。

一点ずつ説明とともに区切られていた。
五感、そしてそれらを超えた六番目の精神ともいうべきものは
つねに一体であるはず。
バラバラのようでいて
それは言葉で区切っているだけのことで…

一巡のあと
再びこのスペースの中央に立ち
私自身がゆっくりと周った。

ようやく見えてきた。

古い記憶の中
そんな状態での展示を見たのかもしれない。
かつてパリに滞在中、毎日美術館巡りをした。

ちなみに
フランス国立クリュニー中世美術館
本国のWebサイト によると、日本にこれらの作品を貸し出している間、置かれていたスペースは改修中であるらしい。

メインの作品と同じように印象的だったのは
「算術」という作品。
算術は、美を表す比率を論証するための学問、
というようなことが記されていた。
どこか数学には美的好奇心が漂う、とは
昔から感じていたことだったから。

かつて大切にされたものや思想は
このような作品の形で後世まで残り
ジョルジュ・サンドらの文学者により価値が見出され
フランス国の至宝とされ
異国の私にも見ることができた。

一角獣にまつわる歴史も深い。
さまざまな動物も植物も、
常に人と共に生きてきたことが作品から実感できる。
一角獣というものは現存しないが
人の美的好奇心が産んだものだと思った。

2013年6月26日水曜日

4つの花の物語・LES SOLIFLORES par ANNICK GOUTAL

SOLIFLORE
ソリフローレ。
一輪挿し、という意味のフランス語です。

窓際の花を眺め
先週のアニック・グタール の新作発表会を思い起こしました。




淡いピンクのカラーの中に4つの花をテーマとした香り。




LES SOLIFLORES
と名付けられたこの4作は
カラフルな花々がもたらす柔らかく抒情的な香りを丁寧に組み合わせ
印象派の絵画のような空気感を表現。

ROSE SPLENDIDE
(ローズ スプレンディド)
マグノリア、ペアー、バニラの香りがほのかに漂い、ローズがもつ爽やかで優しいグリーンムスクノートへ。

LE CHÈVREFEUILLE
(ル シェブルフイユ)
ハニーサックル(シェブルフイユ)は、アニック・グダールの娘カミーユにとって花冠を作って遊んだ幼い頃を思い出させる花。レモンプチグレン、ワイルドナルシサス、ジャスミンの織りなす心地よさとともに。

LE MUGUET
(ル ミュゲ)
ミュゲとはスズランのこと。
グリーンノートの複雑な香りを和らげるように立ち上がるベンゾインのバルサミックな香り。春の訪れを祝福するようなフレグランス。

LA VIOLETTE
(ラ ヴィオレット)
ヴィオレットとはスミレのこと。
アニック・グダールが家族と過ごすアベロンの別荘で大切にしている思い出の場所と同じように名付けられたフレグランス。ローズとラズベリーがほのかに香ります。

このうち"LE CHÈVREFEUILLE"のみ既存であり、本国サイトのコチラでもご覧いただけます。

"LES SOLIFLORES"として
4種新作シリーズとしての日本発売は
9月8日。

私は
"LA VIOLETTE"の…なんとも奥深く懐かしいようなすみれの香りに心魅かれ
遠い昔、美しく和服を着こなした祖母の笑顔が浮かんだり
なめらかな絹擦れの音などが聴こえてきて…
手首に纏い幸せな数時間を過ごしました。
かつてマリー・アントワネットが
バラとすみれの香りを愛したという気持ちがよくわかった時間でした。

いつも心に可憐な花を。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』

2013年6月23日日曜日

夏花・時計草

夏至を過ぎ
今日は山羊座にて満月。

今年もそろそろ半分が終わる。
個人的に例年と比較しあまりにも様々な出来事が続き
ひと休みしたい時期だった。

何も考えず心を空にして歩く。


時計草に出会った。
すこし元気をもらった。

時計のように見えたのは日本人かもしれないが
その昔ラテン語に端を発する言語を話す人々には
この花の姿がキリストの受難の姿に見えたそうで
まさにその意味が学名となっている。

香りもそうだが
ヴィジュアルも
人によって違うものとして感受される。

私はかつて
植物に詳しい祖母から初めてこの花を庭で見せられ
まさに花が開くところを目撃したことがある。
ちょうど今頃の季節だった。
動く花、
静かに時を刻む命の姿として
私は時計草を記憶していた。

微香はあるはずだが
この花は間違いなく
その特徴的なヴィジュアルで
強烈に人の記憶に刻まれたのだろう。


2013年6月22日土曜日

香りの専門誌"PARFUM" 166号(夏号)発刊

香りの専門誌"PARFUM" 166号(夏号)発刊。

表紙は
メキシコで吹くホットな風のように、輝きと歓びにあふれる人気の香り、
クリスティーナ ダーヴィン/ソノラ のヴィジュアルです。




今号の特集テーマは「大人リゾート」。
シャネルやニナリッチと同世代のブランドとして名高い、マダム・グレからの新作『マダムグレ オードパルファム』や、『メルセデス・ベンツ フォーウィメン オードパルファム』、『モンブラン レジェンド スペシャル エディション オードトワレ』等大人の品格あふれる新作が紹介されています。

「芸術と香水104」では
7/15まで東京・国立新美術館にて開催(7/27〜10/20 大阪・国立国際美術館にて)の、『貴婦人と一角獣』展 について2pに渡って紹介。
ヨーロッパの人々にとって一角獣は特別な意味を持つ伝説上の動物だとか。

「時代をリードした香り美人とファッションー10」
(ポーラ文化研究所主任学芸員 津田紀代さんによる連載)では
イタリア・トリノに生まれ、幼少期にパリに移りお針子となり、宝石商ルイ・リッチと結婚後アメリカに作品原型を販売したことを契機に1932年、息子とともにメゾン「ニナ・リッチ」を開いた女性、ニナ・リッチのブランドストーリー。息子のロベルト・リッチがいかに香水創作を重要視したか、その結果生まれたのが名香『レール・デュ・タン』(1948年)であったことが改めてわかります。

その他、書籍紹介ページ"BOOKS"では
今回私が『カフカと映画』(白水社)
『果物のごはん、果物のおかず』(誠文堂新光社)
の二冊について執筆しています。

バカンスをゆったり…
アートに浸り、読書にふけり、美味を楽しみ…
素敵な香りで爽やかな夏を過ごすガイドとなれば幸いです。


2013年6月21日金曜日

夏至から始まる夏へ…爽やかで優雅な新作コロン "EAU D'HADRIEN"

オーデコロン。
心地良さと清潔な存在感のために求められた、身づくろいのための水。
それはかつて18世紀、イタリア人によって創られ
肌にも胃にも効く万能薬「すばらしい水」と名付けられた香る液体でした。

この夏
フランスで創業30年以上を経た香りのブランド『アニック・グダール』が
ブランドを代表する2つのフレグランスに最高級の香料を用いて
新しいオーデコロンを発売。(6/26より)
その一つが、この "EAU D'HADRIEN"です。




「"HADRIEN"とは?」
新作発表会で
この明るいイタリアの陽光とやさしさを感じさせる香りに魅かれた私は
二代目の調香師でもあるカミーユ・グダールさんにうかがってみました。




アドリアン、それはローマ皇帝ハドリアヌスの名前が由来。
カミーユさんの母である創始者が、小説『ハドリアヌス帝の回想』に感動され
彼のキャラクターを表現されたということでした。
イタリア産シトラス、バジル、ローズマリー、そしてムスク。
明るく爽やかな気分がいつのまにかやさしい温もりに包まれている…
そんな余韻を心地よく楽しめます。

オーデコロンは
オードパルファムやパルファムのように香りの持続性はありませんが
まずは肌にうっすらと上品な清潔感を纏いたい人には必需品。

男女問わず、気軽に楽しめる香りです。

透明であるがゆえに…
その香りのイメージは無限大。




品格に満ちたシンプルなガラスボトル。
『アニック・グダール』のロゴが記された黄金のキャップ。
その内容にふさわしく
クラシカルな美しさをモダンに表現しています。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』