2024年12月30日月曜日

2024年12月の5香・軽やかな躍動感



寒さが増すごとに心は温かく


一人の時間を大切にしてきた一年の

ほんのささやかな手ごたえから

これからの自分を想像して


12月の5香




12月初旬

懐かしい再会の場に

新しい自分を感じたくて

フレッシュなスパイシーマリンウッドの

VETIVERA / LE COUVENT 

この香りを纏っていた或る日のこと

混雑する駅の中でまたしても

意外な懐かしき人に遭遇した


お気に入りの濃紺や黒に

透かし柄の白を合わせて

冬の夜空の繊細な煌めきのような

華やぎを描きたくなったら

Passiflora / JO MALONE

BARÉNIA / HERMÈS

Une Nuit Magnétique 

/ The Different Company


この3香に包まれる日が暫く続く


とある彫刻家の新作展を観に

表参道へと出向いた帰り道

久しぶりに立ち寄った

コムデギャルソン青山店にて

この本に出会う




1994年のブランド初の香りは

揺るぎないユニークな魅力を

今も確かに醸し出していて


その隣に置いてあった

Whiteの香りは

1994年のものよりも

ほんのり柔らかく雪のように

すぐに溶けてしまうような

幻想的な甘さも感じさせた




クリスマスからの年越しは

White EAU DE TOILETTE

/ COMME  des GARÇONS 

と共に過ごすことに決めた


どんな色にも染まれそうで

どんな色にも固定されない

しやなかで軽やかな躍動感

そんな白が好きなのだと


改めて感じた2024年の師走





…écrit par 《SAWAROMA》






2024年11月30日土曜日

2024年11月の3香・深い柔らかさに癒される




落差の大きな11月が終わる

それは気温の差だけではなく

心情の起伏にも感じられた


ずっと行きたかった場所に行き

会いたかった人に会えた初旬を過ぎ

突然知らされた大切な友の急逝

涙と追想の数日後

迎えた自身の誕生日に母と話す

少し笑顔が戻る


柔らかなぬくもりを纏いたかった日々






秋の深まりのように

濃縮された密度がありながら

軽やかでソフトなウッディタイプ

ほんの一滴を纏うだけ

LOEWE 001 Woman



懐かしさとエキゾチシズムと

その奥ゆかしい非日常感には

いつも心が鎮まりほぐれる

こちらも一滴で十分

LUXE CALME VOLUPTE /FRANCESCABIANCHI



このまろやかさを

ほのかに感じるだけで

かすかな不安も和らぎ

優しい洗練を味方にできる

SHALIMAR/GUERLAIN


一滴だけを静かに纏い

ふわりとこぼれる

柔らかさに包まれて





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2024年10月31日木曜日

2024年10月の3香・秋花と透明な緑の面影




待ち侘びた藤袴と金木犀の花

花屋のブーケに

藤袴を見かけたのは10月初旬

朝ドアを開けて

香る金木犀を感じたのは10月中旬

もうすぐ11月

乾いた空気に秋の涼しさ

冷たいはずの水面に浮かぶ緑に

柔らかなぬくもりを求めて







この秋も静かな時間を潤わす

しとやかな藤袴さながらに

LICHEN × Mame Kurogouchi EAU DE PARFUM






秋空を優しく香りで染める

ウッディな荘厳さの中にきらめく

愛らしいフルーティーな

オスマンサス(金木犀)

Osmanthus eau de parfum Olibanum





儚げな緑の透明感

いつのまにかカルダモンと

繊細なヴァニラの温もりに溶け込む

LILYPHÉA Eau de parfum Les Essences de Diptyque





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2024年9月29日日曜日

2024年9月・初秋の3香




長引く残暑から秋への切り替えに

先ずはこの3香から





爽やかな清らかさ

やわらかく上品な余韻が今年らしく

ISSEY MIYAKE LE SEL D'ISSEY



詩的なネーミングのごとく

たたみかけるように感覚に響く

その香りは

洗練という光が静寂の中で夢を描く

LUXE CALME VOLUPTE /FRANCESCABIANCHI



フレッシュな躍動感から

しなやかに

色づく秋のような艶めかしさへ

BARÉNIA EAU DE PARFUM /HERMÈS





…écrit par 《SAWAROMA》



2024年9月2日月曜日

国際香りと文化の会『VENUS』HP版へ寄稿・2024年秋号




国際香りと文化の会

会報誌『VENUS』HP版へ寄稿した

「藤袴の記憶が求めたフレグランス」

が、2024年秋号として掲載されました




画像1枚目:

国際香りと文化の会HP トップページ

スクリーンショット画像の一部




画像2枚目:

掲載記事PDF 1P目

スクリーンショット画像の一部



藤袴と出逢えた2年前の秋

「藤袴の香りから」


その記憶が導いたのは

翌年秋に発売されることになる

フレグランスとの出逢いでした


「五感に響く匂いの調べ・涼感から温もりへ導く藤袴の面影〜Mame Kurogouchi のEAU DE PARFUM」




……


古来より

人が愛した藤袴の香り

および

奥ゆかしく香るさまを

人が優雅と形容した思いに

共感します


同時に

自らの記憶が求める

愛すべきものの余韻が

香りを通じて

他者の記憶と重なるという

一期一会の大切さも感慨深く


そのような記憶とともに

この秋を迎えることを

嬉しく思います


藤袴については

今年5月に永眠された

中村祥二氏の文章も

参考文献として引用いたしました





…écrit par 《SAWAROMA》