1985年生まれの日本人アーティストが日本の香文化を「RETHINK」。その表現が1927年に3人の建築家によってつくられた歴史的建築空間で3日間限定披露されると知ったのは夏の終わりのこと。もうその情報だけで必ず体験したいと開催の日を楽しみにしていた。
アーティスト館鼻則孝氏の経歴も実に興味深い。東京生まれで歌舞伎町で銭湯を営む家系に生まれながら鎌倉で育ったという。母は人形作家。幼少期から手でものづくりすることをおぼえ、大学では絵画・彫刻を学んだ後に染織を専攻。
館鼻氏が大学の卒業制作として発表した『ヒールレスシューズ』(2010年)は花魁の高下駄をモチーフとした現代日本の厚底靴としてメトロポリタン美術館等に永久収蔵。今回の展覧会ではこうした作品とともに、『源氏香図蒔絵香炉』等の新作が披露されている。
会期中、2階の和室で聞香体験も可能であり、展示の中にも沈香木をはじめとする香素材の香りを確認できるエリアがある。3階では、遊女の煙管を現代的に表現した作品『Theory of Elements 』の展示や、作品創造の軌跡を追うドキュメンタリーフィルムも見られる。
3日間限定とはいえ、無料で開放された試みは素晴らしい。歴史的建築空間の中でこれらを鑑賞できた体験は貴重。昨日初日夕刻に訪れた際も平日にもかかわらず多くの人が鑑賞していた。写真のような源氏香モチーフが表紙となったカタログもいただき、有難い。
『館鼻則孝と香りの日本文化』展
Noritaka Tatehana &
the Art of Japanese Scents
http://rethink.noritakatatehana.com
9/14~16まで
旧山口萬吉邸(九段下)にて
入場無料
入場時は館内用履物への履き替え有り
東京にて、sawaroma より。
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