編集に携わる香りの専門誌で「BOOKS」という書評ページを担当するようになり、かれこれ5年以上経つ。毎号担当冊数は2冊から4冊。そもそもが幼少期からの読書好きゆえ、心に響く新刊探しは苦ではない。とはいえ、香りを愛好する読者の好奇心を刺激する書名や表紙の装丁にいつも出逢えるとは限らない。
この本と出逢ったのは6年前の秋だった。仕事帰りの木曜夕刻。どこの書店でどんな書棚に置かれていたかまで鮮やかな記憶がある。その夜のうちに一読した。香りの専門誌『PARFUM』2011年冬号(160号)誌面で紹介することを決めたのち、備忘録として次のような記事も書いていた。
香りと空想が好きな方へ・『黒猫の遊歩あるいは美学講義』(森晶麿 著)
2011, 11, 14. sawaroma
http://sawaroma.blogspot.jp/2011/11/blog-post_14.html
現在は文庫本として表紙も新しいものとなっている。
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/21128.html
さて一昨日のこと。新刊情報を探していたところ、見覚えのあるタイトルに出会う。
『黒猫の回帰あるいは千夜航路』
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013089/
6年前に紹介したあの本の続編だった。
なんと6冊目である。
最初に出逢った本を読み直す。魅力的なプロットであったことだけは憶えていたが細かいことなど忘れていたから初心で読み直す。今度は6つのストーリーを3つずつ、2日に分けて味わいながら。やはり面白い。紹介して良かった。出逢ったときは「美学」というフレーズに特に魅かれていたようだが、現時点の私はとりわけ「エドガー・アラン・ポー」に魅かれた。今回の再読はポー作品の読み直しにも繋がりそうだ。
なぜ今ポーに? このところ私には、19世紀の文学、芸術を再考する機会が続いた。5月には練馬区立美術館でこの展覧会を鑑賞しており、
http://sawaroma.blogspot.jp/2017/05/1970.html
先月はセザンヌとゾラの映画に触発されて、知っていたつもりにすぎなかったゾラの『居酒屋』と『ナナ』を精読していた。
その直後、19世紀を生きたポー作品に触発された物語に再会したのだから。
先行知識があることによって生まれる魅力、無くても潜在する魅力。
この『黒猫…あるいは…』シリーズにはどちらもあると再認識。
これから続編を読んでいこうと思う。
必ずしも刊行順でなくとも
例えば…表紙に魅かれた順に。
参考記事
読み直しという娯楽・ シャーロック・ホームズ
2011, 1, 30 sawaroma
http://sawaroma.blogspot.jp/2011/01/blog-post_30.html
東京にて、sawaroma より。
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