5月半ば。現在フランスでは、第72回カンヌ国際映画祭が始まったばかり。この映画祭で昨年話題を集め、コンペティション部門審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した作品が日本でも来たる7月から公開される。
『存在のない子供たち』http://sonzai-movie.jp
De la brochure distribuée à l’avant - première au Japon.(日本での試写会パンフレットより)
原題はカペナウム(Capharnaüm)| アラビア語でナフーム村。フランス語では新約聖書のエピソードから転じて、混沌・修羅場の意味合いで使われる。
タイトルと少年ゼインの瞳に何かを感じたならば、決して長くはない125分。試写会初日に突き動かされるように観てしまった。私には終生記憶に刻まれる予感のインパクト。人間とは何か、その存在は誰のものか。気がついたら生まれてしまっている現代の人間は、その概念の前提にあったはずのものを問う自由くらいは持っていたい。ゼインの瞳は鋭く、柔らかい。
2018 | レバノン、フランス | カラー
アラビア語 | 125分 | 原題: Capharnaüm
監督・脚本・出演 : ナディーン・ラバキー
出演 : ゼイン・アル = ハッジ,
ヨルダノス・シフェラウ 他
字幕翻訳 : 高部義之
配給 : キノフィルムズ/木下グループ
ラバキー監督自身も1974年レバノンに生まれ、内線の真っただ中に育ったという。昨年イタリア映画祭で鑑賞した『チャンブラにて』を少し思い出させる内容であるかに見えたが、決定的に異なるのは不合理な境遇に対する主人公のアクションである。ここに監督の強い問題提起を感じる。彼女の横顔には見覚えがあった。2014年のフランス映画祭で上映された『友よ、さらばと言おう』という映画に幼い子供の母親役で出演していた。本作ではゼインの弁護士役として出演している。
…écrit par 《SAWAROMA》
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