かつて取材で初めて訪れたイタリアで
ひときわ印象的だったブランド、Krizia(クリッツィア)。
このロゴタイプと黒の組み合わせは鮮烈でした。
イタリア語のことは詳しくありませんが
フランス語ではKから始まる単語は少なくほとんどが外来語。
私にとっては強くインパクトのある文字であり
ブランド創業者は
あえてこの文字を冒頭に持ってきたのではと思うくらいでした。
Kriziaから90年代初頭に発売されていたフレグランスも
なんともユニークで、愛らしさとコケティシュな魅力に
あふれていたことを回想。
そして2014年の初めに新香水がデビューするというニュース。
New Fragrances
Krizia Pour Femme and Krizia Pour Homme
10/29/13 12:16:12
By: Sanja Pekic
過去に発売されていたものに比べ
Pour Femme(レディース)、Pour Homme(メンズ)というシンプルな名称を掲げていることから、ブランドイメージの原点を振り返って構築された印象。今年はフランスのブランド、カルヴェンでも同じようなアプローチがあったので、なんだか2013~2014年は本質回帰の時期として注目されているのかと感じます。
Krizia Pour Femme。
レモン、ベルガモット、ブラックカラントをブライトノートとしてトップに掲げ、
グリーンアップル、アプリコット、リリィ・オブ・ヴァレィのハートノートへ。
続いてサンダルウッド、ヴァニラ、ホワイトムスクとくれば最近のお決まりの組み合わせですが、ここにあの深い深いオークモスを加えているあたりが…
なんとなくKrizia。
Krizia Pour Homme。
こちらのトップはエナジーを感じさせるマンダリン、ベルガモット、ブラックペッパーのスプラッシュで始まるマスキュリンな魅力。続く調べはウッディなエレミ、スパイシーなナツメグ…シナモン…ラストにサンダルウッド・ヴァニラ・ホワイトムスクの組み合わせはレディースと共通するものの、イリスやセダー、トンカビーンで滑らかな大人の男性のエレガンスが表現されているかどうかが興味深いところです。
日本でも発売されるかどうかはわかりませんが
忘れたころに体験してみたい香りの一つ。
Kriziaの公式サイトはイタリア語または英語で読めます。
今覗いてみたら
音楽とともに2014春夏のショーを動画でみることができました。
2013年10月31日木曜日
2013年10月30日水曜日
18 visual works from 8 kinds of aromaー 文化学園大学 文化祭にて
いよいよ11月。文化祭シーズン到来です。
文化学園大学 第63回文化祭(11/2,3,4日・新都心キャンパス)
教科展示において、私が講師をつとめる「ファッションとアロマ」2012年度学生課題作品から8種類の香りのヴィジュアル作品が展示されます。
場所はC館5階です。
文化学園大学 小平キャンパスでの 6月開催けやき祭にて展示された内容が
11月は新宿の新都心キャンパスに展示されています。
昨年のようすと、この科目については
18 visual works from 12 kinds of aromaー 文化学園大学 けやき祭にての記事で説明しています。
今年は2012年度学生課題作品から
8種類の香りのヴィジュアル作品が展示されます。
オレンジスイート
レモングラス
フランキンセンス
ラヴェンダー
ローズオットー
ジャスミン
イランイラン
サンダルウッド
違う背景をもつ人それぞれ
香りから感じ取るイメージが違うということが
目で改めて確認できます。
想像力が捉えた形の多様性。
香りという抽象的なものを視覚表現する経験が
目に見えない時代の空気感を服に表現していこうとする
かれらのクリエイティビティに反映されていく…
そのような期待感を毎年実感しています。
2013年10月27日日曜日
隠されていたローズの魅力を引き出す・Marni Rose
ローズ。種類も多いし、含まれる香り成分も多種多様。
人によって「これがローズの香り」と感じるトーンが違っても致し方ない。
言い換えればローズの香りにはそれほど無限の魅力がある。
Marni Rose。
初秋に日本で発売されるというニュース記事をみかけてはいたが
改めてアメリカのFragranticaで確認。
New Fragrances
Marni Rose
10/18/13 06:14:38
By: Sanja Pekic
イタリアのファッションブランドから2作目のフレグランス。
スパイシーでダークなブルガリアンローズの魅力と
ウッディの調和が特徴らしい。
これは
ブルガリアのダマスクローズオットー
(ダマスクローズの花から水蒸気蒸留法によって得る精油)
ファンとしても魅かれる。
トップノートからカルダモンとミント。
どちらもローズの香りのある側面に共鳴する。
ミドルに薔薇とすみれ。
ラストにパチュリーとシダー、ヴァニラにホワイトムスクの温もり。
あたたかくて、清涼感があって、官能的。
複雑な薔薇の魅力が、他の香料とのハーモニーによって
解き明かされていくことを想像すると面白い。
人によって「これがローズの香り」と感じるトーンが違っても致し方ない。
言い換えればローズの香りにはそれほど無限の魅力がある。
Marni Rose。
初秋に日本で発売されるというニュース記事をみかけてはいたが
改めてアメリカのFragranticaで確認。
New Fragrances
Marni Rose
10/18/13 06:14:38
By: Sanja Pekic
イタリアのファッションブランドから2作目のフレグランス。
スパイシーでダークなブルガリアンローズの魅力と
ウッディの調和が特徴らしい。
これは
ブルガリアのダマスクローズオットー
(ダマスクローズの花から水蒸気蒸留法によって得る精油)
ファンとしても魅かれる。
トップノートからカルダモンとミント。
どちらもローズの香りのある側面に共鳴する。
ミドルに薔薇とすみれ。
ラストにパチュリーとシダー、ヴァニラにホワイトムスクの温もり。
あたたかくて、清涼感があって、官能的。
複雑な薔薇の魅力が、他の香料とのハーモニーによって
解き明かされていくことを想像すると面白い。
2013年10月24日木曜日
香りを着る(3)肌に重ねてこそ
フレグランスは肌に重ねてこそ。
生きた人の皮膚に乗り
本来の皮膚の匂いと一体となり
体温で温められ
ゆっくりと衣服の間からこぼれるように
動きとともに香る。
その香り方が
さりげなくイメージを喚起させるものであるかどうか。
それが大切なのであって
ボトルからスプレーした試香紙の匂いだけでは
立体的な香り方は確認できません。
いわば、服を服として見ているだけでは
似合うかどうか最終的に確信できないのと同じこと。
服を着るときも
最初に下着、ブラウス、上着、というように重ねます。
香りの場合は、清潔な皮膚が前提というのがベスト。
最初につけるスキンケアローションやクリームが下地になるなら
その上に重ねるフレグランスは見えないドレス。
身につけてこそ美しく香るもの。
先日、
お菓子のような甘さを感じさせるボディクリームをいただき
私は足先に塗りました。
ウエスト周辺から手首に微量纏ったフレグランスは
フローラルウッディタイプのものでしたが
遠くからかすかに立ちのぼる甘い香りと穏やかに調和。
複数の香りのレイヤーで
深みのある香り方を楽しむことができたと思います。
私の場合は
纏っている香りがいくつかレイヤーになっているので
「なんていう香りをつけていますか」と聞かれても
答えられません。
纏っているフレグランスが
何というブランドの何という名前のものか、
ということなど
露呈される必要もなく
あくまでも纏う人の存在感が主役。
生きた人の皮膚に乗り
本来の皮膚の匂いと一体となり
体温で温められ
ゆっくりと衣服の間からこぼれるように
動きとともに香る。
その香り方が
さりげなくイメージを喚起させるものであるかどうか。
それが大切なのであって
ボトルからスプレーした試香紙の匂いだけでは
立体的な香り方は確認できません。
いわば、服を服として見ているだけでは
似合うかどうか最終的に確信できないのと同じこと。
服を着るときも
最初に下着、ブラウス、上着、というように重ねます。
香りの場合は、清潔な皮膚が前提というのがベスト。
最初につけるスキンケアローションやクリームが下地になるなら
その上に重ねるフレグランスは見えないドレス。
身につけてこそ美しく香るもの。
先日、
お菓子のような甘さを感じさせるボディクリームをいただき
私は足先に塗りました。
ウエスト周辺から手首に微量纏ったフレグランスは
フローラルウッディタイプのものでしたが
遠くからかすかに立ちのぼる甘い香りと穏やかに調和。
複数の香りのレイヤーで
深みのある香り方を楽しむことができたと思います。
私の場合は
纏っている香りがいくつかレイヤーになっているので
「なんていう香りをつけていますか」と聞かれても
答えられません。
纏っているフレグランスが
何というブランドの何という名前のものか、
ということなど
露呈される必要もなく
あくまでも纏う人の存在感が主役。
2013年10月23日水曜日
…苦さの果ての、そのつぎのよろこびを。『買えない味2 はっとする味』より
パラリと開いたページの一文だけで
一瞬笑顔になれた本。
「酸いも甘いも噛み分けたおとなであればあるほど、パセリの本懐を真正面からひるむことなく受け止める。だってちゃんと知っているのだもの。苦さの果てのそのつぎのよろこびを。」本文16p〜17p
本当に!
パセリの素晴らしさを知らないまま一生を終えるのはもったいない。
付け合わせのただの飾りだと見切ってしまうにはあまりにも残念。
私も…。
思い立って買ったパセリ1束を
ザクザク刻んでたっぷりとピラフに混ぜてみたことがあり
そのフレッシュな苦味の後に、これぞ緑きらめく香りのシャワー!
そんな香味体験を著者の文章から回想。
平松洋子 著『買えない味2 はっとする味』筑摩書房

思い立ってためしてみたらこんなに素敵だった…
そんな味や香りの体感あれこれが
リズミカルな音楽のように語られていく。
ところどころのカラー写真で気分もほっこり。
パセリに始まり、
ミント、胡椒…もちろんいわゆる香辛料だけではなく
あじわい深い魚の骨や卵、鰻…
わざわざ焼き網で焼くトーストの美味しさなど。
曇りのない感受性は
(特に貪欲な嗅覚は大切)
日常のほんのささやかなことに
はっとできるし
笑顔になれる。
その幸せに感謝したくなる一冊。
一瞬笑顔になれた本。
「酸いも甘いも噛み分けたおとなであればあるほど、パセリの本懐を真正面からひるむことなく受け止める。だってちゃんと知っているのだもの。苦さの果てのそのつぎのよろこびを。」本文16p〜17p
本当に!
パセリの素晴らしさを知らないまま一生を終えるのはもったいない。
付け合わせのただの飾りだと見切ってしまうにはあまりにも残念。
私も…。
思い立って買ったパセリ1束を
ザクザク刻んでたっぷりとピラフに混ぜてみたことがあり
そのフレッシュな苦味の後に、これぞ緑きらめく香りのシャワー!
そんな香味体験を著者の文章から回想。
平松洋子 著『買えない味2 はっとする味』筑摩書房
思い立ってためしてみたらこんなに素敵だった…
そんな味や香りの体感あれこれが
リズミカルな音楽のように語られていく。
ところどころのカラー写真で気分もほっこり。
パセリに始まり、
ミント、胡椒…もちろんいわゆる香辛料だけではなく
あじわい深い魚の骨や卵、鰻…
わざわざ焼き網で焼くトーストの美味しさなど。
曇りのない感受性は
(特に貪欲な嗅覚は大切)
日常のほんのささやかなことに
はっとできるし
笑顔になれる。
その幸せに感謝したくなる一冊。
sillage(残り香)の洗練とimpact(衝撃)の強調
1980年代の流行がこのところ復活しているという話を聴く。
当時の人気ドラマが再編されて特別番組になったり
当時のアイドルが再び脚光を浴びるとか。
とはいえ今は2013年。
当時とは社会環境がまるで違う。
たとえば'80年代は
インターネットも携帯電話もメールも普及していなかった。
ツールが違えば行動は変わり、服装も変わる。
表面的なところだけを見ていても、今は今でしかない。
決して1980年代のファッションや髪型が
そのままリピートされているわけではない。
復活しているといえばあの頃にあった
〈華やかさへの熱い想い〉かもしれない。
ドラマティックでこれ見よがしなほど
インパクトの強い出来事にときめくような筋書きが
80年代の華やかさであるならば
淡々とした日常の中に光る小さな宝石のような喜びを
真摯にすくい上げ、より洗練させて輝かせようというのが
2013年の今、求められている華やかさかもしれない。
個人的に、80年代に大好きだったフレグランスをいくつか鑑賞し直す。
やっぱり香りとしては好きで素晴らしい、とは思う。
香りの系統としては今も好きなジャンルであることには変わらない。
でも、そのまま同じ香りを今の私が纏いたいとは思わない。
最近のフレグランスは強烈な個性が無いとか
軽くてつまらない、という声をきくこともあるが
もっと丁寧にラストノートまで肌で試し
sillage(残り香)まで確かめてみてほしい。
肌に残る香り方は優しく、清潔感を失っていない。
インパクトはあっても特定の香料の特性だけが
剥き出しになるようなラストノートにはなっていない。
20年以上前のフレグランスには
インパクトはあっても
残り香が生々し過ぎるものもあったことを憶えている。
こうした余韻の洗練が、
2013年ならではの〈華やかさへの熱い想い〉ととらえたい。
当時の人気ドラマが再編されて特別番組になったり
当時のアイドルが再び脚光を浴びるとか。
とはいえ今は2013年。
当時とは社会環境がまるで違う。
たとえば'80年代は
インターネットも携帯電話もメールも普及していなかった。
ツールが違えば行動は変わり、服装も変わる。
表面的なところだけを見ていても、今は今でしかない。
決して1980年代のファッションや髪型が
そのままリピートされているわけではない。
復活しているといえばあの頃にあった
〈華やかさへの熱い想い〉かもしれない。
ドラマティックでこれ見よがしなほど
インパクトの強い出来事にときめくような筋書きが
80年代の華やかさであるならば
淡々とした日常の中に光る小さな宝石のような喜びを
真摯にすくい上げ、より洗練させて輝かせようというのが
2013年の今、求められている華やかさかもしれない。
個人的に、80年代に大好きだったフレグランスをいくつか鑑賞し直す。
やっぱり香りとしては好きで素晴らしい、とは思う。
香りの系統としては今も好きなジャンルであることには変わらない。
でも、そのまま同じ香りを今の私が纏いたいとは思わない。
最近のフレグランスは強烈な個性が無いとか
軽くてつまらない、という声をきくこともあるが
もっと丁寧にラストノートまで肌で試し
sillage(残り香)まで確かめてみてほしい。
肌に残る香り方は優しく、清潔感を失っていない。
インパクトはあっても特定の香料の特性だけが
剥き出しになるようなラストノートにはなっていない。
20年以上前のフレグランスには
インパクトはあっても
残り香が生々し過ぎるものもあったことを憶えている。
こうした余韻の洗練が、
2013年ならではの〈華やかさへの熱い想い〉ととらえたい。
2013年10月20日日曜日
キアラ・マストロヤンニからヴァンサン・ランドンへの回想
18日の記事「Fendi L'Acquarossa・生命力と揺るぎない芯を秘めた赤」で注目したフランスの女優、キアラ・マストロヤンニ。
彼女の母はカトリーヌ・ドヌーヴ、父はマルチェロ・マストロヤンニ。
確かにその風貌、佇まいは二人を受け継いでいる。
内に秘めたような情熱の魅力。
現在41才という年齢を迎えて輝く彼女を2013年の今
Fendiが赤をテーマとしたフレグランスのミューズとした。
納得。そして嬉しい。
Fendi以外にも
キアラ・マストロヤンニの写真を
2013カンヌ国際映画祭の記事で見かけていた。
鮮やかな薔薇色の衣装。
写真の中で隣にいる男性は
フランスの名優(と私は思っている)、ヴァンサン・ランドン。
この二人、フランスで今夏公開されたばかりの映画『Les Salauds』
(英題『Basters』)で熱く共演している。
この映画については、東京国際映画祭プログラムディレクターの矢田部吉彦氏によるブログ(2013,5,22)の中で少し触れられている。日本で公開されるかどうかはわからない。
ヴァンサン・ランドン。
私は20代の頃、彼が初めて主演した映画『L'Etudiante』(1988 クロード・ピノトー監督)を観てその表情の豊かさに驚いた。
この人の眼差しや表情は、時に深いフランス語の台詞を見事に体現していたし
当時28才の彼が、少年のようなひたむきさと成熟した大人の優しさを香らせていたことも記憶に残っていた。
ゆるいようでありながら熱い情熱と行動力を秘めた
素敵なミュージシャンを演じた彼は
もう一人の主役、当時絶大な人気者であった22才のソフィー・マルソーに比べ
話題にする人は少なかったが、私は彼のほうに魅かれた。
彼はこの映画で
有望な若手男優に授与されるジャン・ギャバン賞を受賞。
50才を過ぎた現在も次々と話題作に出演している。
映画『L'Etudiante』の中でヴァンサン・ランドン演じる音楽家が
恋に落ちる瞬間に着ていたのは真っ白な雪に映える真っ赤なスキーウェア。
音楽機材に囲まれた自室で彼女を迎えるベッドも
彼女に会うためにパリの街並からフランスの高速を走らせる愛車も赤。
80年代後半ならではの音楽とファッションの中で
教員資格試験を控えた生真面目な大学生役のソフィーが好んで着るネイビーブルーとは対照的に彼が使う赤は引き立っていた。
赤を上手く生かす大人は素敵。
キアラ・マストロヤンニから
ヴァンサン・ランドンへの回想から改めて思う。
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