2011年12月31日土曜日

Styling with Fragrance 2011 ② (バッグとコートとハンカチと)

今春、今夏、今秋。
私を笑顔にしてくれた三つの方法。

春。
まだ寒い日曜日の朝。新幹線に乗り込む。
遅れた電車の影響で走ってホームへ。
息切れしそうになるくらい走った。
やっと席に座ったとき。
バッグから薔薇の香り。
ブルガリアのダマスクローズ。
香りを1滴含ませたコットンをバッグの内ポケットに
昨夜入れておいたことを忘れていた…
同時に自分の身体から体温ととも立ち上がる香水の香り。

夏。
盛夏でも正装。
ブラウスにスカート。
打ち合わせの場所に行くまでの電車。
乗り換える前にすでに汗。
次の電車を待つホームで折りたたんだハンカチを襟元へ。
ちょうどブラウスの襟に隠れるサイズと厚み。
ハンカチの真ん中に予め吹き付けられたフレグランスは
汗を吸いながら体温であたためられたハンカチの中を
ユックリとふんわりと通り過ぎ
清々しい風になった。

秋。
明日は初コートの日と決めた。
一度風に通す。
そして
フレグランスを吹き付けたコットンのセーターに
そのコートを羽織らせてハンガーに掛ける。
コートに裏地はないけれど
目に見えない暖かな香りのヴェール。

…この冬。
何度か素肌に着用した香水の香りが
いつのまにか
素肌からは遠いジャケットにうっすらと移っている。
忙しかった仕事の時間に着ていたはずなのに
残り香が華やかであることは嬉しかった。

2011年12月27日火曜日

Styling with Fragrance 2011 ①(髪と手帳と襟元と)

20数年前、知人に頼まれてフレグランスのセミナーを行ったことがありました。対象はデザイナーとして企業に勤める30代前後の女性の方々。視覚的にはファッショナブルでも香りは??という女性のために私が作った当時のレジュメタイトルが"Styling with Fragrance"。

今日そのレジュメを発掘して再読するに、昔も今も変わらない興味の対象を愛おしく思いつつ、今年2011年に特に私の気分を上げてくれた方法を三つご紹介しようと思います。

まずは髪。
すれ違ったときに、髪に揺れる動きが生まれます。この髪先に少しだけお気に入りのソリッドパフュームを馴染ませるのです。オードトワレを吹き付けたコットンやハンカチで軽くねじった髪先を包むようにしばらくおさえてもよいでしょう。(香水を髪に直接吹き付けると強く香りすぎるためおすすめしません)伸ばした髪先がバストの下あたりであれば、やや鼻からも程よく遠い距離。首の動きとともに空気が揺れて髪先から香ります。

手帳。
私の場合は、手のひらに収まるサイズのこちらでもご紹介のノート。このノートに今年もたくさんの名言や知恵、貴重な情報の数々を書き残すことができました。この中にはいつもお気に入りの香りを吹き付けたカードを挟んでいます。たとえば、自分の身体に直接纏うわけではなくても、手元からふわっとラストノートが香ると優雅な空気が流れそうなタイプ。打ち合わせのとき、自分だけでなく共に近くにいる方にとっても心地よく感じられるために。

襟元。
特にシャツブラウスの襟元のお手入れは大切。最も皮脂がつきやすくその皮脂が酸化したにおいがつきやすいところ。コチラ
でもご紹介したように薔薇の香りでふんわり洗い上げるのも良いですし、明日着る予定のクリーニングしたばかりのシャツの襟元に、ローズ、ラベンダー、ベルガモットなどの天然精油の香りを含ませたハンカチを細長く畳んで織り込んでおくのもグッド。ローズもラベンダーもベルガモットも、オーデコロンをはじめとする香りに使用される天然香料であり、精油自体に濃く強い色もありません。鼻に近い位置でも天然のシンプルな香りであれば、自分の清楚な笑顔の源になることでしょう。

2011年12月25日日曜日

クリスマスイヴに温かなトリオの響き(THE GLEE 神楽坂)

クリスマスイヴ。
神楽坂へ。
12月にオープンしたばかりのTHE GLEE は飯田橋から歩いても5分もかからない。



Christmas Eve Special 2011(AKIKO GRACE VOICE )
真新しいウッディな空間の中で、トリオの演奏はどんな風に響くだろう。


暖炉のある空間でボストン在住時代に音楽仲間とセッションしながら過ごしたクリスマスイヴを思い起こす…と語りしなやかにピアノからイヴの空気を映すAkiko Grace、5弦の大きなコントラヴァスを身体の一部のように駆使しながら深く熱い音を紡ぎ出すMasashi Kimura、2か月前にボストンから戻ったばかりのKazumi Ikenagaのリアルで有機的なリズムのドラムス…

シンプルなオレンジ・ブロッサムのカクテルとともに心温まる一時。

鍵盤とローズオットーで記された「ピアノ・アロマティーク」コンサートでご一緒して以来、私もAkiko Grace、そしてそのトリオのファン。移籍後初のライヴにてグレースさんにお会いし、ご挨拶できたことは何より嬉しい。

新しいAkiko Grace Official Homepage とともに、2012年も更なるご活躍を!



2011年12月24日土曜日

言葉を贈る

ひさしぶりに気持ちの良い朝。
クリスマス。世の人は何に感謝し、その気持ちを何で表現するだろうか。

今月に入り知人の誕生日が続いた。ほとんど会えていない知人には、「おめでとう」と言うだけでも十分に感じた。なぜなら自分の誕生日のとき、滅多に会えない人から一言そう言われるだけで、「その人は私を憶えていてくれた」という有難い情報を得たと感じたから。

普段からよく会っている知人に対しては?「おめでとう」だけではなく、普段自分がその人を見ているイメージからこれからも素敵であるように、という願いをこめたフレーズを贈ってみた。広義で深い意味も込め、あえて外国語で書いたりもした。

ここ数日目にした雑誌と新聞から私に響いたフレーズを列記してみたい。
再び眼にする自分と、この記事を読まれる方々への言葉の贈り物として。


樹々は寒くなると葉へ運ぶエネルギーを節約して、根を守る!枝葉は切り捨てるのでしょうか、自然は厳しいですね、人は自然に立ち向かうものです。それでこそ人間、文化は自然への抵抗なのです。/平田幸子
(12/20創刊40周年を迎えた香りの専門誌"PARFUM"編集後記より編集長の言葉)


ピアニストという職業はつらいし困難を伴うし、果てしなく練習を続けなければならない過酷なもの。偉大な作品と日々対峙していると、自分がいかに敗者かと思い知らされる。作品がいつも勝者だから。でも、そこであきらめずに模索を続けるという意味では勝者になり得ると思う。いい演奏をするために一生自己と闘い続ける。その挑戦がたまらなく、心が高揚する。
/1981年生まれのフランスのピアニスト、ダヴィット・フレイの言葉
(日本経済新聞12/22夕刊10面・音楽ジャーナリスト、伊藤よし子取材)


最後に、日経新聞12/20の書籍広告の中に私の知人でもあるフラメンコ舞踊家、鍵田真由美さんの名前を見つけて存在を知った本「美人伝心」(講談社)のPRコピーを一行。鍵田さんはこの本に自身の言葉をおさめた15名の1人である。

本当の美しさは、生き方から生まれる。

2011年12月23日金曜日

" Effluves androgynes "・性別はさておき人として魅力的か、匂いは語る

11月のフランス語講義でのこと。一人の中国人学生からこんな質問。
「先生、ゲイの人のことを説明するとき、名詞の性や所有形容詞はどう考えればよいのでしょうか。」

私が想像するに、対応としては三つある。学生にもそう伝えた。
1,名詞に性別などない英語を使う
2,生物学的な性別はともかく、自分はこの性と思いたい性で表現する
3,言葉はあくまでも言葉だから生物学的性別に従うのみ

この問答から発展して考えたのは、
性差の縛りから離れ、それでも人として魅力的であるということはどういうことかということ。改めて自分の人に対する感じ方を振り返る。初めて会う人、もしくは既知の人であっても今という瞬間に目の前にいる人に対して、外観から漂うオーラ、話し方や生きものとしての外向きな情熱の向け方に魅力を感じるかどうかが、その後のその人と自分の関係性に影響を与えていた。

どんなことを考え、どう生きているかというのは自ずと顔に刻まれ、体型にも反映される。何を美と感じるのかという意識はすべて外観とともにその人の匂いとしてオーラをかたちづくるのだ。これまで人と接してきて痛感する。

そこに男だから女だからという区切りはない。美に性差はないのだから。一個の生命体として魅きつけるオーラを携えているか。ただそれだけ。

Effluves androgynes…フランスの美容雑誌で見かけたフレーズの意味は、「男女両性の匂い」。おそらくはユニセックスの香りとして男女かかわらず使用できるフレグランスの紹介記事なのだろう。面白いのは"Effluve"(おもに複数形で使われ、におい、臭気、香り/ 文語として、精神的な息吹、輝き ー プチロワイヤル仏和辞典より)という名詞を使用していること。これは"Parfum"や"Arôme"のように芳香のみを示す言葉ではない。

人は、自分を鏡で観ながら、匂いをかぎながら、これぞ自分という表現を考えるとする。大概私の場合は鏡を観る前に身につけたものがいくつか省かれる。ただし、その気分の源には、第一の衣服として肌に直接身につけた香りが漂っている。他人にはわかっても自分でも気づけない、これまでの自分を表す表情や話し方の源には気分がある。その気分がオーラを作るとしたら、第一の衣服は単純に男性用か女性用かという尺度ではない美意識で選ばれたものであってほしい。

そうした意味で今年発売されたファッションブランドから発売されたフレグランスの中では、メゾンマルタンマルジェラの初フレグランスは気になる香りのひとつ。その他、彼も彼女も纏える上質感を提供するという、父娘という異性調香師ユニットで創作されたザ ディファレント カンパニーのピュア ヴァージン も見逃せない。

外観とともに、匂いは、その人を物語る。


2011年12月22日木曜日

創刊40周年 "PARFUM"160号発刊

香りの専門誌 "PARFUM" 160号が12月20日に発刊。1971年の創刊からちょうど40周年を迎えました。


記念日すべき40周年号には、1971年当時の表紙や誌面がアーカイブとして紹介されています。40年という継続性。それは常に変化する時勢の波に乗りながらも、揺るぎない軸を保ってきたという一つの証でもあります。香水をはじめとする香りの文化、芸術、映画、アートについてビジュアルイメージを大切にした誌面。日本では唯一の「香りの専門誌」です。

私はちょうど20年前、秋号と冬号の2回に渡り初めて寄稿しました。内容はフランスの雑誌記事を参考文献にした香水評論と、ミラノで出会った最新の香水との出逢いのエピソードでした。遡って創刊の年、ちょうど6才といえば私が香水に出逢った頃。偶然とは思いたくない縁を感じます。この雑誌に出逢い、香りのことをより深く知りたいと思った延長上にアロマテラピーとの出会いがあり、そんな背景があるからこそ現在の私の仕事が成立していると思うと感慨深いです。

160号誌面から、チョット気になる香水をいくつかご紹介しておきます。
パルファン ドルセー パリ。アルフレッド・ドルセー伯爵の感性で1830年に生まれた香水の美意識が受け継がれた香り。
ゲラン シャリマー パルファン イニシアル ロー オーデトワレ。来春発売予定とのことでゲランのPRマネージャーへのインタビュー記事が掲載されています。これはコチラ で書いたようにシャリマーファンとしては要チェック。
そして、イタリアのオロビアンコから二つの新しい香りがこの冬日本デビューするというのも嬉しいニュース…
寒い冬も香りのおかげでホットな気持ちを保てそうです。

2011年12月20日火曜日

甘酒は「ジャパニーズヨーグルト」?「飲む点滴」?

私の非常時を救ってくれた飲み物を改めて評価しています。
それは「甘酒」。新年の初詣の名物の一つでもあります。

このところ、ハードワークが続いていました。考えることと作業の多さが睡眠時間をかなり削っていたこともあるのでしょう。昨日午後から胃腸が不調。吐きそうで吐けない不快な状態が続いたので、少しずつ水をのみ、ひたすら腹式呼吸をゆっくりして気分を落ち着けて新幹線ではなんとか耐えたものの、品川に着いて山手線で降りた駅ホームの影で持っていたレジ袋に嘔吐。つわり以外に吐くなんてことめったにありません。誰にも気づかれず何も汚さずに済んだことは幸いでした。でも胃腸が弱っていることは明らかだったので帰宅後はすぐにシャワーを浴びて身体を温め早く眠れる体制に入りました。

何か食べようという気にはならないものの、何も食べないと衰弱していく感覚に襲われました。力が入らないし、寒気も増しています。そういえば自分の胃から出てきたものが入った袋を密封して持ち歩いていたとき、なんて中身が温かいのだろうと感動。こんなに外は寒いのに人間の内部はこんなにも温かい温度を保っている…それだけエネルギーを消耗しているということが容易に想像できました。何か栄養を胃腸に負担をかけずにとって体温も免疫力も維持しなければ…そう思ったときに思い起こしたのが、母が送ってくれていた山田養蜂場のれんげ米の甘酒。

れんげを有機肥料にする農法で育った米のみから昔ながらの製法でつくられ、上品な甘みと発酵による様々なビタミンが含まれる液状の甘酒なら飲めるだろう…その勘は的中。

昨夜につづき、今日もどうしても休めない大学講義のために出かけなくてはなりませんでしたが、その前にこの甘酒を一杯飲んでいっただけで夜まで倒れることなく仕事ができました。

かつて、発酵食品にはめっぽう詳しい小泉武夫氏の著書を何冊も読み、その中に甘酒がいかに江戸時代の夏バテ防止のために重宝したかというエピソードが書いてあったことも改めて思い起こします。
夏ばてに甘酒? 実は栄養ドリンク/南 恵子/ All about を見ると詳しく説明されています。

日本の知恵が生んだこの飲み物。素晴らしいです。発酵食品であり胃腸の調子を整えてくれるというメリットもありそうですし、なんといっても暑い江戸の夏の人の栄養補給に役立ったくらいです。「ジャパニーズヨーグルト」、「飲む点滴」として非常時にキープしておきたいと改めて思いました。