2012年1月6日金曜日

椿からの回想と本日の注目記事

1月6日は植物の知識が豊富だった亡き祖父の誕生日。
毎年この日には植物を一つ思い起こし、感謝するようになった。

本日浮かんだ植物は椿。
木に春と書く。
艶のある葉と赤い花。

2003年3月へと回想。
日本橋三越にて、「椿物語展 安達瞳子の世界の名花」を観た。
視覚的に、以後忘れられなくなった椿という花の世界だった。

艶やかな葉さながらに、その油分は人の髪や肌を護り
真っ赤な花は、厳しい季節の中にも春を待つ心を育てる。


そんなことをぼんやり思いながら新聞を眺めていた。
注目したのは、資生堂社長末川久幸氏へのインタビュー記事。
(2012,1,6 日本経済新聞朝刊11面)
タイトルは「グローバル人材 どう育成?」
この記事は取っておこうと思った。
特に共感した部分をそのままメモ。

…
ー新しい企業理念では共有すべき価値観に「多様性こそ強さ」を掲げた。
「年末年始には社員一万人が手書きで回答した会社の満足度調査を読んだ。つぶさに検証すると何に共感し何に不満かが分かる。このギャップを埋めるのが担当役員の宿題。その結果が多様な価値観を受容する組織につながる。これを海外にも広げていくつもりだ」
…

海外はまさに多様な価値観の集合体。所変われば習慣変わる。
1872年生まれ のこの企業は2012年で創業140周年を迎える。



2012年1月5日木曜日

VENUS Vol.23(国際香りと文化の会)・テーマは「森」

VENUS Vol.22発刊 からはや一年。2011年度の国際香りと文化の会、会報誌VENUS Vol.23のテーマは「森」。2011年は国連の定める「国際森林年」でもあった。


表紙の絵はポール・セリュジエ『ブルターニュのアンヌ女公への礼賛』1922年(ヤマザキマザック美術館蔵)。…ブルターニュ公国のアンヌ女公がブルターニュ地方の聖なる木オークの葉の茂る森の中で、蘇生と成長の象徴でもある若木に手をかざして祝福する姿。…VENUS Vol.23目次の説明文より。

東京都庭園美術館において、大震災後まもない2011年4月16日から7月3日まで開催された「森と芸術 私たちの中にひそむ森の記憶をたどってみよう」のポスターに使用されたのもこの絵。

1922年といえば、フランスが第一次大戦下の空爆でダメージを受けたころでもある。生きものの姿、生きる原点へ思いを馳せる復興への願いも感じ取れる表紙の絵を、2011年の春を回想しながら私は見つめた。

本誌は、東京都庭園美術館「森と芸術…」展の監修者であり、フランス文学者、美術評論家である巌谷國士(いわや くにお)氏と、国際香りと文化の会会長の中村祥二氏との対談から始まる。この24ページに渡る対談が興味深く、昨夜一気に読んでしまった。「森と芸術…」の展覧会を見逃したのは残念であったが、この対談を読み、鑑賞して得られたであろう好奇心の幾ばくかは取り戻せたように思う。本誌目次については、国際香りと文化の会ホームページ にも記載。

今回のVENUS Vol.23を一通り読み、改めて観てみたいと思ったフランス映画が二つある。巌谷國士氏ご紹介の「シベールの日曜日」(1964)と、植物生態学者である宮脇昭氏ご紹介の「木を植えた男」(ジャン・ジヨノ原作の本が1953年に書かれ、フレデリック・バックがアニメーション映画として映像化)。



2012年1月3日火曜日

ジャン=クロード・エレナ著調香師日記(原書房)を読む

先月コチラ にてご紹介の本。年明けとともに一通り読む。



2009年秋から翌年秋までのほぼ1年間。南仏、パリ、イタリア、ベルギー、香港、東京、京都、金沢…調香師を職業とする一人のフランス人の日記を読みながら、私も旅をしているような気持ちになった。そして想像の中で様々な匂いや香りを嗅いだ。実に楽しい読書であり、またひとつ宝物を得たと思った。

これから何度でも読み返すだろう。読む時期によって違うものが感じられそうなところはまさに香りのようだ。

本文より一箇所、著者が「声を大にして言いたい。」と書き始める文章の一部を紹介したいと思う。2010年6月30日の日記より。
…
声を大にして言いたい。私は、香水のために凛とした簡潔なかたちを追求しているのである。私にとって香水とは、鼻にささやきかけるもの、心のなかに訴えかけてくるもの、思考に結びつくものである。…

「凛とした簡潔なかたち」。
私も、表現において常に目指したいと思う。

ソルト&カマンベールクッキー・塩はゲランド地方から

昨日、新宿某店にて。
試食をすすめられて口にしたお菓子に注目。
チーズの風味と優しい塩味。おかげで甘味が柔らか。


東京ミルクチーズ工場のクッキー、ソルト&カマンベール。
一枚だけで充分な満足感。
午後ならば紅茶と。
夜ならばワインと。

この塩味。忘れられない優しさ。
フランスはブルターニュ、ゲランド地方の塩が使われているそうです。
詳しくはコチラのサイト に書いてありました。
またしても農産物にフランスの地名。
カマンベール、カルヴァドス、コンテ、ボルドー…。
食料自給率は悠に100%を越え、農業国であるという土台を地名をブランド化して守ろうとする精神がうかがえます。

塩は大切。
そして、このクッキーのパッケージに描かれた牛にも感謝。
東京ミルク、ということは日本、ひょっとしたら東京で育った牛?
ミルクもチーズもバターも牛からの贈り物。
改めてしみじみ。

2012年1月2日月曜日

3大陸よりメッセージ

海外の知人友人からもメッセージが届くこの季節。
同じ人間であっても、地球上の住む場所が違えば、
風景、気候、言語、食事、匂い、…これらが異なるのだから
彼等との共通母国語の日本語で通信できることを改めて貴重と思う。


まずはユーラシア大陸より。
Aさんは、フランス人と結婚しパリ在住。パリ生活はもう20年近く。
今冬もご主人の実家のあるボルドーの田舎で休暇を過ごされたとのこと。
ボルドーはフランスの南西部なので
パリよりは暖かいのかなと一瞬思うも
それよりも南のミラノの知人から極寒情報をきき
パリや東京とそう変わらないのかもと想像。

次に北アメリカ大陸より。
Bさんは、カナダ人と結婚しトロント在住。
かれこれトロント生活は10年以上になるはず。
その彼女が今冬初めてのグリーンクリスマスを体験したとのこと。
雪はチラリと降ってすぐ消えてしまったそう。
寒いことには変わりなく…。

同じく北アメリカ大陸、合衆国テキサス州ダラス在住の女性Cさんより。
彼女からの便りによると、カナダよりもずっと南にあるダラスでも冬は
氷点下の日がありとても寒いとのこと。昨夏は44度と猛暑だっだそう。
ご主人の転勤に伴う、お子様ともどもの合衆国暮らしはこれで2度目。

最後に南半球、オーストラリア大陸より。
Dさんは、イギリス人と結婚しシドニー在住。
かれこれシドニー生活は15年以上になるはず。
今冬もクリスマスシーズンに届いたのは
御家族4人の写真つきカード。
今は真夏のシドニー。彼女の肌は小麦色。
以前彼女からメールでオーストラリアについてこんな感想を
書いて送ってもらったことを思い起こしている。
…
オーストラリアは、広大な土地を持ち、
美しいビーチにも恵まれ、資源も豊かな新しい国です。
世界中からの移民がともに暮らしている分、自由で、おおらかな所です。
ヨーロッパとの違いは、やはり歴史の重みでしょうか?
…

毎年、またいつか彼等と会える日を楽しみに思う。

2012年1月1日日曜日

ラヴェンサラ&ユズから追想・"SERENITY" & "HARMONY"

こころ穏やかに迎えられた2012年。

12月に入り、あまりの忙しさをどう乗り越えようかと焦り始めていたとき、私は自分のために二種の精油を新たに購入した。
高知産ユズ(果皮を圧搾して得た精油)。
マダガスカル産ラヴェンサラ(葉と枝から水蒸気蒸留法により得た精油)。

大晦日。大掃除の仕上げ。玄関を掃いた後の打ち水にユズ精油を数滴。
清涼感が流れていく。ほのかな残香に和みの空気。

元旦明けての夜更け。様々な想いが頭の中を駆け巡る中、疲れた身体は静かな眠りを欲していた。枕元にラヴェンサラを一滴含ませたコットンを。熟睡。

年賀状。自宅の一室にてアロマトリートメント施術サービスを行っていた頃のお客様からの数通。いずれにも「またうかがっても良いですか」とのお言葉。2004年から翌年にかけて那須のリゾートホテルスパでのアロマセラピスト教育とアロマメニューのディレクションを担当した時期を境に、大学講師や諸々の仕事により施術の仕事を受けることが難しくなっていた。にもかかわらず毎年年賀状をくださる有難いお客様からのお言葉。今春からそうした方々のためだけでも再開したいという気持ちも強まる。

アロマトリートメント施術の仕事は一対一。身体は一つ、時は一時。一度に多くのことはできない。私一人では成し得ないことを後輩に伝える教育は未来を創る。那須でアロマセラピストを教育したとき、私は複数のセラピストの卵たちに当時でき得る限りのことを伝え、そして「五つの香り」を残した。そのサロンの初代監修者であったフランス人調香師が残した四つの香りを新たに調香し直して。

その「五つの香り」のうちの一つがラヴェンサラをブレンドした、心を落ち着かせるためのSERENITY。

既存の四つの香りのリニューアルに加えて新たに創った五番目の香りはユズをブレンドした芳香浴(室内香)専用のHARMONY。

サラ・ローズ著「紅茶スパイ 英国人プラントハンター中国をゆく」(原書房)

ダージリンという芳醇な紅茶の源に、このように壮大なイギリス人プラントハンターの冒険があったとは…。茶は19世紀の世界経済を大きく動かした。中国から最高級の茶葉の種を生きたままインドまで送り届け、移植に成功させた英国人の知恵と情熱。異国人である中国人とのやりとりの中、あらゆる障害を乗り越えて目的を全うするそのクールな姿勢に、"007の国イギリス"を見た。


サラ・ローズはシカゴ出身のジャーナリスト。彼いわく、ロバート・フォーチュンの物語を知ってから苦闘が始まった。ロバート・フォーチュンの4冊の旅行記、東インド会社宛の彼の手紙、英国図書館に所蔵されている東インド会社の報告書…その他中国、植物学などの壮大な専門分野にも関わるテーマのために500冊以上の本と文書にあたったという。

ここ数日飲んでいた紅茶のブランドはWEDGWOOD。なんと本には、茶のための陶器製造技術進歩を利用した初期の陶器職人がジョサイア・ウェッジウッドと記されている。

英国人ロバート・フォーチュンが見た中国人、中国の風景、中国の文化芸術に関する記述も興味深い。中でも、彼の使用人の一人の実家を訪れたときの観察記録。中国では書は芸術とみなされ、崇高なものとされるというくだり。漢字は字であると同時に絵画でもあり、美の追求にも通じ…書を書くのに使う筆、墨、硯、紙は「文房四宝」と呼ばれた…この一説が忘れられない。このような精神が茶の香りを愛好することにもつながるのだろうか。

中国の最高級の紅茶の産地、武夷山脈。インドのダージリンを抱くヒマラヤ山脈。本にも記されているようにまさに茶は「山の精髄」。

大航海時代の香辛料に続き、茶の香りも世界史を動かした。
イギリスと中国。ますます興味深い。