2013年7月12日金曜日

ランタナ・あの不思議な花の植物も香料になっていた

感覚記録としての
写真の重要性を今夜痛感。

フレグランス関連サイトである"FRAGRANTICA"の
RAW MATERIALS をチェックしたところ
次のような最新記事がアップされていた。

Lantana
07/06/13 13:31:50
By: Dr. Chandra Shekhar Gupta


なんとこの花
その見たこともない不思議な姿に魅かれ
先月、静岡出張中に発見し写真に撮ったばかり。
繁殖力が強そうだった。



学名は
Lantana camara。

熱い地域が原産のよう。
外来種。
鳥を媒介者としている。
人に対しては毒性についても注意すべきのようである。

香料は葉から水蒸気蒸留法で得るという。
成分の筆頭に挙げてあるカリオフィレン、これは
クローブやブラックペッパー、クラリセージ精油などに含まれている。
その他の成分とも合わせて想像するに
かなりスパイシーでウッディな感じではなかろうか。
調香によってはかなり独特なニュアンスになりそう。

英文記事に記された作用はなかなか強そうなので
現代、薬として活用するとしたら
植物成分の有機化学と薬学、
医学の知識に長けた専門家はどう評価するだろうか。

きっとこの植物を昔から知る現地の人は
試行錯誤を繰り返し、さまざまな不調への薬としても
活用していたに違いない。

なぜならば
私ですら魅かれた外見とともに
葉に特徴的な香りがあるのだから。

まだまだ未知の香料植物はたくさんある。
写真に撮っておいてよかった。

2013年7月11日木曜日

香コンサート(国際香りと文化の会 主催)


国際香りと文化の会 主催の「香コンサート」を鑑賞いたしました。




会の会報誌『VENUS』にて特集テーマとされた
薔薇(2010年)、樹木・森林(2011年)、庭園(2012年)にちなむ
名曲の数々が、ピアノ、チェロ、声楽家によるソプラノ
によって奏でられた夏の午後。

豊かに鳴るやわらかなピアノの音色、
深い余韻の連続が繊細な音となって流れるチェロの響き、
明るく軽やかに厳かにとびかうソプラノヴォイス。
素晴らしいトリオの共鳴が今も耳に残っています。

演奏終了後
" STEINWAY & SONS "
と記されたピアノの姿にしばらく観入ってしまいました。



プログラムより…

グリーグの『ばらの季節に』からは
北欧の厳しい冬から春を迎える厳かな空気感。
シューマンの『私のばら』からは
希望と喜びで迎え入れられた薔薇の輝くような存在感。
ロッシーニの『フィレンツェの花売り娘』からは
明るい陽射しの中で花とともにある人の屈託のない笑顔を想像。
薔薇の躍動感あふれる命の輝きを
香りを想像しながら聴くことができました。

世界各地、
さまざまな感受性の人間が
それぞれの場所の空気感から感じ取ったイメージが
こうして素晴らしい音楽となり
時代を超えて伝わる喜びを実感します。

音楽は
『日本の名随筆 48 香』再読から感じた香りと音楽の関係でも記したように
香りと同じく
空気中に伝わるものであり、強弱、調和、残響(残香)があるものです。
このコンサートを鑑賞された方々は
思い思いの記憶の中の薔薇や樹々、植物の香りを
奏でられた音の流れから
自由に感じられたことと想像します。

『国際香りと文化の会』は
創立25周年の本年を一区切りとされ
一旦休会されるということですが
このような趣旨の会の存在はきわめて貴重であったと思います。
香りあるすべてのものを
人の文化として国際的視野からとらえ
その価値を時代とともに発展させて
後世に伝えていこうと信念を持ち続ける人がいる限り
このような会の存在は忘れられることはないでしょう。

現在の『国際香りと文化の会』Webサイトの継続は
2014年6月までとのことです。

2013年7月9日火曜日

『今のピアノでショパンは弾けない』から回想した「香る音」

『今のピアノでショパンは弾けない』
という書名を見て
はっとするようでもあり
安堵するようでもある感覚で
「ごもっとも」と納得しました。

ショパンは2010年に生誕200周年を迎えた人物。
今の人ではありません。

勝手ながら私が連想したのは香りのこと。
「名香と呼ばれている香水を一度ゆっくり鑑賞したい」
とある人から言われ、ずっと引っ掛かっていたのです。
そもそも当時使用できた香料は
現在存在しないか、法的に使用禁止になっているものがあり
たとえ名前が残っていたとしても
実際はいま調達できるもので
現代市場に合わせてつくられていると聞いたことがあるからです。
現代の人にかつての名香も含めて香りの魅力を体感してもらうには
伝える側が
人と香料との出会いに始まる歴史は勿論
可能な限り香料の実態に精通し
伝え方を模索しなければ…とちょうど考えていたところでした。

音楽、ピアノについて語られている本ではありますが
香りを仕事の専門としている私にはまず上記のように響きました。
他ジャンルにおいても、先人の築いてきた価値、魅力について熟考し
これを絶やさず、さらに発展させながら後世に伝え繋げていきたい
という信念をもつ人にはぜひ勧めたい一冊。

6月19日 高木裕「今のピアノでショパンは弾けない」日経プレミアシリーズから発売!

「紀元前から人に愛された薔薇の天然香料の香りの魅力を
現代の音楽家にピアノで表現してもらいたい…」
そんな私の企画が3年前に実現した場所は
まさにこの著者の高木裕さん主宰のタカギクラヴィア松濤サロンでした。
素晴らしい音に圧倒されて涙がこぼれたのは私だけではありません。

『ピアノ・アロマティーク〜アキコ・グレースが奏でるローズ・ヌーヴォーの香り』(2010,2,3 )については、そのときの企画からコンサート実施、アキコ・グレースさんへのインタビューをまとめた私の論文についてコチラ
後半部に記しています。

そのインタビューの中でグレースさんが
ピアノという楽器の魅力について次のようにおっしゃっていました。

「ピアノは豊かな倍音が鳴るので、複雑でオーガニックなニュアンスを表現しやすいですね。音域が広く、10個もの音を同時に鳴らすことができる万能の楽器です。
ローズオットーのように繊細で余韻の深い香りを表現するのに適していると思います。…」

今回、高木裕さんのご著書を一読し、
あらためてこのグレースさんのお言葉を思い起こしています。
グレースさんのような音楽家に出逢えたことはもちろん
こうした楽器の魅力に精通された方による空間で
「香る音」を堪能できたことはまさしく私にとって幸運でした。


2013年7月6日土曜日

ダマスクローズの気品が優しく香る " ROSES DE Chloé "

クロエ
20世紀中頃に誕生してから約半世紀が過ぎました。

2008年に発売されたゴールドリボンの香りでこのブランドの名前を
知った人も多いかもしれません。
それほどこの
アーティフィシャルにモダンな薔薇の清潔感を表現した香りは
日本の多くの方々に好まれていたことと記憶。
今でも時々この香りとすれ違います。

さて今回の新作。
ROSES DE Chloé。


見ての通りの優しいピンク。
ほんのり紅潮した頬さながらに…
夜明けとともに花びらからやわらかく香り始める
清楚な薔薇を感じます。

今回の調香の骨子となっているのは
ベルガモット・ダマスクローズ・マグノリア。

中核をなすダマスクローズのみずみずしさ。
デリケートに再現されていると思います。
これは私が『パレチカ』監修者として
過去4年に渡り
ブルガリアで収穫後抽出されたダマスクローズの
その年の香りを毎年体感してきたから
感じられるのかもしれません。

フレッシュなダマスクローズにしか存在しない
弾けるような初々しさ。
その天然精油の含有成分の多くを占める
シトロネロール、ゲラ二オール、
そしてフェニルエチルアルコールなどにより
朝摘まれたばかりの香りが描かれているのでしょう。

すがすがしい爽やかさはベルガモットに…
まろやかな優しさはマグノリアの香りに引き立てられて
本当に優しく香る薔薇の気品が創られていると感じます。



発表会の会場に入った瞬間も感じましたが
みずみずしい気品がさり気なく漂います。
まるで
咲き始めた薔薇の花々があふれるガーデンを散歩したような
さわやかな気分。
昨夜ひと晩この香りと過ごし、幸せな気分で目覚めました。

薔薇を愛する人にはもちろん
初めてフレグランスを試そうとおもう人…
さらに
すでに多くのフレグランスを使いこなしながらも
モダンな薔薇の香りの優しさを改めて体感したい人へ…。
日々の香りの定番の一つとしてもご紹介できると思います。



情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』


2013年7月5日金曜日

薔薇の優しさにつつまれて・Chloé 新フレグランス発表会


蔦の絡まる白い建物。
その入口に
まるで少女の頬のように
うっすらと色をたたえた薔薇の生花。



ふわりとみずみずしい
ブルガリアのダマスクローズの面影を感じた会場内。

まず目に入るのは
薔薇が描くしなやかな曲線の向こう側。
柔らかなブラッシュピンクの中に
新しいフレグランスの名前。



会場の所々に
優しい香りを漂わせる薔薇の花々。
その無数の花弁は
一輪一輪様々な表情を醸し出しています。



すでに春に発売されていた
ローション、美容オイル、クリームを
こちらのドレッサーの前で試します。
清涼感のある香りにリラックス。



これまでのクロエの香り…
2008年、リボンはゴールド。



2012年、リボンはライトグリーン。



そして
新作のイメージムービーを体感後
2階へ。



ブラッシュピンクのリボンで結ばれた新作が
ガラス窓をつたう緑の中
みずみずしく花開いた薔薇のように
楚々とした姿で輝いています。



振り返ると
心地よくくつろいだような
ナチュラルな表情の3人の美女たち。
まるで幾重にも重なる薔薇の花びらのよう。



2008年のゴールドのリボン…
2012年のライトグリーンのリボン…
そして2013年はこのブラッシュピンクのリボン。
ROSES DE Chloé。



9月初旬に発売される
この新しい香りの魅力は
次回に綴ります。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
『カフェ デ パルファム』

2013年7月4日木曜日

紫のボトルと香料に魅かれて・Issey Miyake Pleats Please Eau de Parfum 2013


私にとって
時々じっと
「眺めたくなる」
「眺めていたくなるような」
色の一つとして紫がある。

この色のボトル、
使用されている香料の変身ぶりへの好奇心から
実際に愛用してしまったフレグランスもある。

そんな誘惑を
再びこのニュースから感じた。

Issey Miyake Pleats Please Eau de Parfum 2013
06/28/13 05:08:18
By: Sandra Raičević Petrović


日本では今年1月にデビューしたばかりの
あのレッド系カラーのボトルから一転、
形はそのままで色が違う。

スミレの花のマカロンにインスパイアされた香りとのこと。
またしてもスミレ。
そしてスイートピー。
これは試してみたいと今から期待感。

2013年7月2日火曜日

今年の中日(なかび)に、映画館で映画を観る

映画館で映画を観ることは
私にとって
美術館で作品を自由に眺めることと同じほど
楽しいことではあるが

この一年ほど
時間的にも体力的にもタイミングが合わず
実現できていなかった。

今日、7月2日は
ちょうど一年の真ん中、中日あたりになる。
このところの不調を回復させるために
自宅で休養の一日、
と思っていた。

珍しく今日が休日だという家人から
昨年見逃した映画を近くの名画座で上映中だから行くと聴く。
その映画は私も観たかった映画だった。

午前中の不調が少し回復してきたこともあり
同行することにした。

懐かしい佇まいの三軒茶屋シネマ。
いまどきこんな映画館が残っていることが嬉しい。

夕方16:30からの上映中
視界のすべてがスクリーンになった。
一人になれるし
こういう設定が好きだから映画館を好む。

この映画について
どうとかこうとかは
未だ観ていない人のためにも
あえて語らない。
ただ
あえて体調が最悪で辛いときに観た私が
上映中、午前中からの頭痛も忘れ
素直に笑ったり
普段は秘めている自分の信念にも触れることの多いシーンに涙したりと
なんだか気分が浄化され
元気になり
いつのまにか不調であることすら
忘れていた。

映画のタイトルは
邦題よりも原題"Intouchables"(触れる可能性のないこと、すなわち出会う可能性のないこと)のほうが私にはしっくり来る。
邦題「最強のふたり」は本質というより
結果の一つを表しているにすぎないと感じる。
タイトルというものに対する感じ方における
フランス語と日本語の違いがよくわかる。


さて
すべての出会いは"Intouchables"ともいうべき部分を秘めている。
たかだか100年も生きられない人間が
生きている間に出会い
魅かれ、関心を持ち会話や行動を共にできる人間の数など
限界がある。
ある出会いによって自分のその後が変わったということは
誰にでも記憶にあることだろう。
生きている限り
心が自由である限り
そんな出会いが訪れる可能性はかならずある。
既知の対象、であると思い込みスルーしていた
周囲の他人や自分自身も含めて。