2014年2月28日金曜日

明日から弥生・桃ひらく


数日前にいただいた桃の枝。


室内のあたたかさのせいか、ひらき始めている。
これがまさに桃色。

このひらきかけた愛らしい姿に
二月の疲れもすこしやわらぐ。

数年前の4月の初め、桃林を歩いたことを回想。
一つの木が小さな花のブーケのようだった。

桜がLadyならば、桃はGirl。私のイメージ。
明日から弥生、桃の節句ももうすぐ。

2014年2月26日水曜日

sus・tee(鉢植えラン用水分計)で蘭を育てる


2月23日記事でも書いたように、蘭は多様で魅力的。

『国際香りと文化の会』(1988~2014,3月)会報誌『VENUS』VOL.6(1994)中の
ローマン・カイザー氏(ジボダン・ルール研究所 スイス)による論文
『蘭の匂い ー香りの制作における汲めども尽きぬインスピレーションの源泉』。
その冒頭「はじめに」を読み返し、その一部を …〜…に引用してみる。


蘭科は、おそらく花の咲く植物の科のうちで最も大きな、また同時に(進化の過程から見て)最も若い科であると考えられる。蘭科は更に750の属に分類され、全部で25,000種以上の存在が知られているが、一つの科の中にこれ程多様な形・色ーそして何よりも、これ程多様な匂いーを呈する種を含むものは、ほかに類をみないのではないだろうか。
(中略)
蘭科の植物は、地球上の殆ど至る所に見られるが、そのうちの約94%の種が熱帯から亜熱帯にかけて産する。温帯地域には約5%が産し、亜寒帯地域に産するものは0.1%に満たない。熱帯産の殆どの蘭は、着生植物として樹上に生えており、そのために十分な日光を受けることが出来、又、 地上の植物との生存競争を避けることができる。これらの着生蘭は、土の中から水分を得ることはできないため、少なくとも一年のうちの一定期間は高い湿度に依存して生活する。乾期を生き抜くために、殆どの場合、若い枝の部分が偽燐茎と呼ばれる貯水器官として発達している。



なるほど。
樹木にからみつくように生息しているのは
そういうことだったのかと気づく一方
自然環境下ではなく人が鉢植えで育てる際
適切な水分量をタイミングよく与えるのは
なかなか難しいことと想像できる。

途中で不本意に枯らすことなく
一輪ごとの花の命を全うさせ
来年も花を咲かせたいもの。

身近な人物がデサイナーとして関わったsus・tee。
世界らん展にも出展。鉢植えラン用水分計。



1月半ばから
実際にこの水分計を鉢の水苔にさして
自宅の一室にてラン(上記写真リーフレットのラン)を育てている。

最初に1度鉢の根元にたっぷり水をあげ
(受け皿には水を決して溜めないよう)
この水分計をさすと白から鮮やかな青へと変化。
ランの水分摂取特性を考慮しての
水分量感知の仕組みが
色の表示部分に使われているようだ。

この最初の水やりからすぐには
色は変わらない。
随分経つなあと思っていたある日
表示が薄く白に近づく。

その後ほぼ白に近づいてはじめて最初のような水やり。

6週間後の今。枯らしてはいない。
直射日光にも当てないようにはしていた。

いくつかあったランの花は散る最後まで綺麗に咲き
今も可憐に2輪開花中、膨らむつぼみも健在。

こういう植物はめったに水をあげなくていいからと
大雑把に2週に一度位でいい、という方法を聞くことがあるが
実際sus・teeを試してわかったのは
そんなに規則的ではないということ。

電池を使わず挿すだけで
色の変化が水分量を教えてくれる。
まずは蘭から。

sus・teeについて詳しくは
キャビノチェ株式会社 にて。

2014年2月24日月曜日

くるみと紅茶と紅玉と

昨晩。そのデリケートな淡い紅色に魅かれて。

まるで花のようなマフィン。


お名前は
「紅茶とりんごのマフィン」。

ふわりとフルーティーフローラル。
このピンクはもしや紅玉リンゴ?

くるみとの相性もリズミカルで
やわらかいダージリンの香りの生地と溶け合っていました。

フルーツとナッツと紅茶。
このベストなトリオ。
マフィンひとつで楽しめました。

コチラ スクロールするとみつかりました。

リンゴのような薔薇のような。

2014年2月23日日曜日

世界らん展日本大賞2014レポート・フレグランス編


世界らん展日本大賞2014レポート・ヴィジュアル編に続き、フレグランス編。


フレグランス部門受賞花の中でも
ひときわ私が魅かれた香りを感じさせてくれたのはコチラ。
フレッシュフローラルの奥にヴァニラのような柔らかな甘さ。
そういえば、ヴァニラもラン科でした。




こちらの受賞花も上記の花のようなふくよかさとともに
スパイシーなアクセントも感じさせてくれました。




会場の一角に
ピンク系統の可憐なグラデーションが。
少しずつ色やカタチの違う小ぶりな蘭たち。
まるで微笑むかのように集合。
これらの前に立った時
なんともいえない優しく清々しい香りを感じました。




毎年資生堂かららん展のために限定発売されるフレグランス。
今年は、カトレア リリーミラードの香り。
華やかなヴァイオレットピンクにもよく似合う上品なフェミ二ティ。
春色の口紅をさしてみるように
年代を選ばず、デイリーユースでも楽しめそうです。




このコーナーでは
昨年の限定フレグランス、春蘭の香りも販売されていました。
これは男女ともに楽しめる
爽やかなシトラスグリーンのトップノートで
知人の男性も自分自身のためにと購入されていました。

色、形、香り。全てをこんなに楽しめる花の展覧会が
桜の開花よりも早く開催されることに毎年感謝しています。


世界らん展日本大賞2014レポート・ヴィジュアル編


世界らん展日本大賞2014は2/15からにも書いて楽しみにしていたらん展。
最終日の今日、鑑賞。

まずはヴィジュアルで印象的なものを記録。

受賞作の中でも
ひときわ目が吸い込まれるような色をたたえていたコチラ。
ピンクから紫色への絶妙なグラデーション。




白に淡い紫色がにじみ絵のように。
一花ごとにすべて模様が違うのです。



貴婦人の微笑のごとく端正なかたち。
わずかな紫色がアクセントで純白をひきたてています。




まぶしい光のようなサンシャインイエロー。
一つひとつが確かに優雅な蘭。




まるで昆虫?
いまにも飛び交う虫を迎え入れようとするかのように
エロティックな存在感。




フラワーアーティストMassa Makagawa さんの作品、
「Birth of the Life」。
まさしく花の生の軌跡を記す
露出した根の曲線と、血脈が映し出されたような花びら。
混沌とした大地から生まれるパワーを感じました。



花だけではなく
葉も蕾も根も独特の線を描き
見るものを飽きさせることはありません。

会場を一巡すると
うっすらと漂う香りにこころも和みます。
次は香りをテーマに綴ります。

2014年2月22日土曜日

白に映える赤・雪さらしが生む発酵唐辛子「かんずり」

ちょうど昨日。
本棚から手に取り
つい読み返してしまった
小泉教授が選ぶ 食の世界遺産 日本編』小泉武夫著/講談社

改めて発酵の遺産である甘酒その他もろもろの素晴らしさに感激した。
さらに…米を原料とする吟醸酒のフルーティーな香りが、ギリギリまで削がれた(精米された)米に飢餓状態に追い込まれた酵母の必死なエネルギー産生によって生まれるという話には驚愕。
人が自然の力を巧みに活かして生まれた香り。

そして今日。
郷里の母が送ってくれた北日本新聞社発行の雑誌
『まんまる』3月号の表紙に
上記の本でも紹介されていた「かんずり」の雪さらしの写真。


雪深い新潟県の伝統的な発酵食文化の賜物「かんずり」。
半年ほど塩漬けした唐辛子が雪原にさらされ
(このとき、独特の香りが辺りに漂うとのこと)
その上に雪が降るとサンドイッチ状になる。
3日ほど雪の中で寝かすことであくと塩分が抜け、まろやかに。
その後、粉砕してこうじやユズなどを加え、3年間発酵させる。
6年熟成の限定ものはより円熟味が増すのだとか。

かんずり を初めて食したのは10年以上前だった。
唐辛子の、辛いだけではない、繊細な香りの魅力が
ユズやこうじにひきたてられていて素晴らしかった。
鍋、汁もの、肉類などあらゆる料理を美味しくしてくれる。
雪国生まれを誇りに感じさせてくれる発酵香辛調味料である。

参考文献
『まんまる』 (2014,3月号) 編集・発行北日本新聞社

2014年2月20日木曜日

白い花の香りのスキンケア・Nuxe White


パリ生まれの自然派コスメブランド、Nuxe(ニュクス)。
この春の新製品(2/26発売)、Nuxe White を試して3ヶ月目。なめらかな感触とともに、繊細な気品をもつ白い花の香りの心地良さを実感しています。

写真は朝晩の保湿用
モイスチャライジング ローションと
モイスチャライジング エマルジョン。


どちらも皮膚に柔らかくしみ込む感触。
普段スキンケアに香りが明確につけられたものを使用されていない方には
もしかしたら最初は強く感じるかもしれませんが
残り香は徐々にフェイドアウト。
マグノリア、ジャスミン、ホワイトオーキッドの
みずみずしく優雅な香りは
スキンケアの時間を心地よくしてくれます。

花々はその香りで心地良い感触を提供するだけでなく
ツヤのあるみずみずしい肌を保つ働きにもおおいに貢献しているようです。

この他、パーフェクト シートマスクも使用してみましたが
翌朝のしっとりとした柔らかさには笑顔になりました。

12月の新作発表会でのプレゼンテーションを聴いて
書き取ったメモより……〜……に転記。

……

フローラルコスメのエキスパート、ニュクス。
64か国で展開。
植物エキス37の特許取得。

今回の新製品では
白さ
うるおい
輝き
に注目。

ホワイトフラワーとビタミンCの組合せ。

アジア女性のクリニカルテスト結果では
ほぼ全ての女性がリピート希望。

数あるポーセリンローズの中でも
特にポリフェノールを豊富に含有するといわれる
アジア原産種の成分を活かす。

アジアにおいて
美と再生の象徴である
さくらからも
保湿成分を活用。

………

やはり花のパワーは偉大。
この冬はローズウォーターとともに
私のスキンケアタイムを優雅で心地良いものにしてくれました。

2/26発売とのこと。
私自身にとっても
続けて使ってもよいと思うアイテムの一つになるかもしれません。

情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部


2014年2月19日水曜日

オレンジの輝き・Bvlgari Omnia Indian Garnet

柑橘類のオレンジの中でも
私が特に魅かれる香りをもつのはマンダリン。
甘い果実の予感がどことなくスパイシーにフローラルに香り
忘れ難い印象を残してくれる。

オレンジ色の花、といえば
秋の始まりに、華やかな高揚感をもたらす香りとともに
星のように輝く金木犀。

オムニア・香りの宝石 から
オレンジ色の新作デビューのニュース。

Bvlgari Omnia Indian Garnet
02/18/14 13:19:27
By: Sanja Pekic


マンダリン・アロマのトップノート、
金木犀の花の香りのハートノート、
ベースはオリエンタル・アンバー。
ネーミングが示す通り
東洋の香料拠点ともいうべきインドの風が魅惑的に漂うかのよう。
そして、これまでのオムニアから想像するに
garnet(ざくろ石)のごとく複雑な多面体の煌めきのように
繊細に香りそう。

オムニア自体がデビューしたのは2003年。
以来、この10年で6色の展開。
2014年の7色目に
私の好きな紫色に匹敵する神秘的な魅力を期待。

2014年2月18日火曜日

薔薇香る美味しさ・バラ科のフルーツと共に

"A quel parfum?"
パリのカフェで、マカロンやアイスクリームなどのフレーバーは
このように尋ねられるそうです。

parfum、といえば日本では主に香水を示す言葉として認識されて
いますが、フランス語ではもっと広く「良い香り」を示す意味で
使われています。食べ物の良い香りとしてももちろん、aromaと
同じく広く、肯定的に匂いを表現するために使われています。

「良い香り」というものは香水やアロマテラピーの世界の話だけ
ではなく…。むしろ、様々なものの良い香りを衣食住を通して
体験し、匂いに繊細な美を感じとってきた人の感性が
香料を素材として香水を創造し得たと私は考えています。

アイスクリームのハーゲンダッツ30周年を記念して
生まれた新製品のフレーバーは「サクラ」と「ローズ」。
日本人にとっては眺めるだけでも匂い立つような桜(バラ科)と
「花の女王」「香りの女王」とよばれる薔薇の香り。

さっそく「ローズ」をいただきました。
プラム香る鮮やかなラズベリーカラーのソースと
ストロベリーアイスクリームベースのグラデーションが華やか。




ラズベリーもプラムもストロベリーも全てバラ科の植物。
このフルーティーな甘酸っぱい香りの母ともいえる
香料バラのダマスクローズやターキッシュローズの優雅な香りが
甘さを上品に感じさせてくれました。




このアイスクリームを芳香剤のニオイ!と評されている記事をいくつか見つけました。薔薇の香りはそれこそ「香りの女王」ですから、あるものを良い香りにしたいと願えば高い確率で使用される香料でもあります。ですが薔薇はあくまでも薔薇であり、芳香剤ではない!その甘美で優雅な香りに感動したことのある人であれば
単にフレグランス(身につけたり空間を香らせる)としてだけでなく、このハチミツを思わせる甘く華やかなフレーバーとしての魅力も笑顔で感じられるのではないでしょうか。

海外では薔薇のフレーバーはお菓子、紅茶にもよく利用されていますし
芳香蒸留水であるローズウォーターはカクテルや料理に使われることも
あります。慣れていない方にとっては違和感があるのかもしれませんが
たとえば…
THÈ ALLA ROSA / SANTA MARIA NOVELLA ・安らぐひとときでご紹介のローズ紅茶は、試飲いただいた日本人老若男女の多くの方に喜ばれていました。

アイスクリームに使用された薔薇の香りの一つ、
ダマスクローズについては
これがいかに素晴らしいものであるかを讃えて
かつて書いた記事 花のパワー・ダマスクローズ があります。

花は植物にとって命の再生の象徴。
早春の桃の節句(桃もバラ科)に
改めて花のパワーを感じたいものです。

2014年2月17日月曜日

ローズウォーターと過ごす冬

ことのほか寒い冬。
朝早く起きるとウォーミングアップにも時間がかかります。
寒い…それだけで全身が緊張し、エネルギーも消耗します。

冷たい水で洗顔、も良いのかもしれませんが
乾燥しがちな顔面の皮膚から必要以上に皮脂をとることもない、と
この冬、朝の洗顔の代わりに
ローズウォーターでの拭き取りをしています。
その上から化粧水で保湿します。

ローズウォーターは
コチラ の素晴らしいダマスクローズからの芳香蒸留水。
スプレーボトルにいれて冷蔵庫保存。

程よく冷たい刺激と爽やかな香りで脳が回転しはじめます。
寝ている間の皮膚の汚れをかるくとりつつほのかに潤いを残し
朝の肌へとひきしめてくれるようです。

…外出先から帰宅すると
シャワーの前にまずは顔面のメイク落とし。
私の場合はたっぷりとローズウォーターを吹き付けたコットンを
4~5枚用意した上で、スイートアーモンドオイルをメイクになじませ
用意したコットンでゆっくり拭き取ります。

就寝前。
ローズオットーで香らせるのも素敵ですが
あわせてローズウォーターの力も借りてみました。
寝室内のベッドの上空間に3回ほどローズウォーターをスプレー。
チョットした加湿になるとともに
こもった部屋の匂いも浄化され、柔らかい空気へ。
広い空間内にふんわり。
さほど強く残らないほのかな香りで安眠できたことも多く
感謝の日々。

なかなか洗濯できない上着やコート、マフラーも
外気や皮脂のニオイがチョット移ったかなあというときに
ローズウォーターをスプレーすると
市販の防臭剤ほどではないかもしれませんが
いくらかニオイは抑えられ
清潔感を取り戻してくれるようです。

日焼けが辛い夏の肌を癒してくれただけでなく
寒く皮膚が乾燥しがち、
緊張しがちな冬の季節にも
この「花の女王」の芳香蒸留水は
心地良く過ごす時間を提供してくれました。

週末ゆっくり過ごせるときは
ローズオットーのトリートメントでボディケア。
うっすら漂う残り香に
春を待つ気持ちも高まります。

2014年2月16日日曜日

祝花とYumi Katsura Green Bridal Fashion Contest 2014

大雪から一転、
快晴に恵まれた東京。

知人のお誘いを受けて
コチラ、Yumi Katsura 2014 Grand Collection In Tokyo "HANA YUME" を鑑賞するために両国国技館を訪れました。

会場入口付近には
今回のショー開催に寄せられた
色とりどりのお祝いの花々。
赤系でまとめられたブーケは
つやつやの緑に映えて輝き…



単一、白の胡蝶蘭の鉢は
ひときわ凛と気高くて。



ショー開演の直前に
嬉しいサプライズがありました。
Yumi Katsura Green Bridal Fashion Contest 2014の表彰式で懐かしい二人の姿に会えたこと。

多数の応募作品から独創性、審美性、ファッション性の3項目の審査基準値をクリアした9作品のデサイナーの中に、文化服装学院でつい先月まで私のフランス語講義を受講されていた二人の名前!

特に香り・フレグランスには関心の高かったお二方。
エントリーされただけではなく
そろって審査員賞も受賞されたのです。

Mademoiselle A.O.さんによるドレスは
「花嫁を咲き誇る花に見立ててデザインしたロマンティックな作品」。
遠くから眺めても
花の有機的で繊細な曲線が活かされたシルエットはよくわかりました。
咲き始めの香りが漂うかのようなオーラ。
Monsieur S.Sさんによるドレスは
「押し花で独自の柄を描き、ユニット折り紙を参考に組み立てたドレス」。
純白のドレスに鮮やかに舞う花々が、花嫁の動きとともにキラキラ星のように輝いてファンタジックなムード。制作しながら彼は色々な香りを感じていたのだろうとニッコリ想像。

そして…
一体何着のドレスが披露されたことでしょうか。
多様な花々が今が生きる盛りときらめくような輝きに満ち溢れ…
ショーが始まってから終演までの時間は
あっという間に流れていきました。

2014年2月14日金曜日

香るピンク・着るピンク

ピンク。
あらためてこの色と自分との関係性を考える。
週末の某イベントで
ドレスコードが"something pink"と知らされたものの、
見事に「着るもの・身につけるもの」として
私はピンクのものを持っていなかった。

ピンクが嫌いというわけではない。
「香るピンク」は大歓迎。
たとえば昨日の記事で触れたようなピンクの胡蝶蘭、
そしてこちら の写真のようなダマスクローズの鮮やかなピンク色。
うっすらと開きかけたチューリップのピンクも素敵で
こうしたピンクを眺めていると
目からすでに優しい香りを感じるかのごとく心地よい。
赤やピンクは私の嗅覚や味覚をおおいに刺激する。

でもあえて自分からピンク色の服や身につける小物を買うことがほとんどなかったのは、自分の視覚表現としてあえて選ぶことがなかったというだけかもしれない。自分自身の頬や唇がすでにピンクだから服までピンクにはしない…言うまでもなく自分は女性なのだからさらに女性を強調したくない…というのが正直なところ本音だったかもしれない。

素晴らしい薔薇色の花々の香りでつくられたフレグランスを身につけていることは私にとってはピンクを着ていることでもあった。
見える人だけ見える色。

自分の身体の中では赤い血が流れていて、皮膚を透けてピンクに見えることもしばしば。生き物としてすでにピンクを持っているのだから、持っていない青に魅かれて着たくなるのかも…と自分のワードローブをのぞいて思う。

でも、着るものというのは3次元なので
2次元でみている色だけではなんともいえない。
カタチと色とでイメージ、そして全身にフィットすれば着るだけのこと。
これまでは
着てみたいと思えた
ピンク色のカタチとの出会いがなかっただけなのだろうと開き直る。
昨日は意識してみたおかげでハッピーなことに出逢えた。

さて、今日。
PINKという直球なネーミングのフレグランスを見つけた。

New Fragrances
Victoria's Secret Pink Vacay
02/14/14 00:17:09
By: Sandra Raičević Petrović


Victoria's Secret はアメリカ西海岸、カリフォルニア洲サンフランシスコ生まれのブランドだと知ると、このピンクにリゾートの甘く解放的な香りを想像する。
こんな空気の中でピンクはごく自然に老若男女に似合うのかもしれない。

ピンク、といっても
10人に聞けば皆同じ色をイメージするとは思えない。
明後日のイベントで、どんなピンクに出逢えるのか楽しみでもある。


2014年2月13日木曜日

世界らん展日本大賞2014は2/15から

厳しい冬の寒さの只中で
凛と咲く花の姿は麗しい。

世界らん展日本大賞2014。
今年も2/15から23日まで東京ドームにて開催。

資生堂ー世界らん展日本大賞2014 によると、今年の資生堂プロデュースのフレグランスは
カトレア・リリーミラードの香りだとか。
色見本帳のPantoneが2014年の流行色として発表した
"Radiant Orchid"に近いピンクめいた紫色の蘭。

私は雪の季節になると白い胡蝶蘭を思い起こす。
はるか昔の1月に着たウェディングドレスは
胡蝶蘭をイメージしたものだった。
"Radiant Orchid"のニュースを知って
今年の1月はこの色の胡蝶蘭と過ごした。


約ひと月の間、この蘭は蕾から開花へと
実に面白く形を変化させ
楽しませてくれた。
香りはほとんど感じられないものの
存在感は大きく
カトレア・リリーミラードではないが
「冬の女王」の威厳には
幾度も元気づけられた。

世界らん展では香りのある蘭も楽しむことができる。
蘭の香りに癒される・世界らん展にてでは2012年のらん展でフレグランス部門の展示を鑑賞した様子を綴っている。

見るも不思議、香りもミステリアス。
形も香りも進化系・蘭の魅力を書いたときにも感じたが、同じ生き物として、いかなる環境のもとにおかれようと今よりももっと賢く生き抜こうと進化し続ける花の姿には、魅かれずにはいられない。

今年も多くの人が蘭の魅力と出会えますように。


2014年2月10日月曜日

触覚には冷たくても、嗅覚には暖かな体験


東京に雪がふる数日前のこと。
その日も
グレイッシュブルーの空から冷たい風。

すこし遠出した海沿いの場所で
キャンドルライトと共に。


赤ワインにカシスリキュールと
ベルモットの香りほんのり
ジンジャーエール割り。
シナモンスティックとオレンジのスライスからは
スパイシーで暖かな香りがジワジワと。

舌先で感じた雪のような冷たさは
ゆっくりと時間をかけて
暖かな香りにつつまれながら
身体の中に溶け込んでいきました。



その後
冷風の舞うこんな道も歩きましたが
あの、じんわりとした芳醇なる余韻で
気持ちよく通り過ぎてしまいました。

空気はまだまだ冷たくとも
春待つ心は熱く。

2014年2月7日金曜日

Akiko Grace Trio "ARK"〜モーション・ブルー・ヨコハマに初登場

横浜、赤レンガ倉庫。



夏は開放されるテラス。
冷気の中で照らされる夜景はひときわ深いブルー。



2号館3階へ。モーションブルー ヨコハマ にて。コンテンポラリー・JAZZを牽引するピアニスト、コンポーザーのAkiko Grace が新たなTrio "ARK"として、関東圏では初めてそのサウンドを披露したのが昨夜2/6。


Akiko Grace のライブはこれまでに10回以上聴いてきた。
いつも新しい。まるで未知の物語を読みふけったあとのように。

いまにも雪が降りそうな冷気の静謐から一転、
巻き上がる大気の流動性…。
秘められた想いの中の淡くせつない恋心、
異国のリアルな空気感。
閉ざされたはずの暗闇の中、一筋の光を探しつづける耳。


耳慣れたはずのメロディーラインでさえ
彼女のとらえた今の空気感でまた新しく生まれ変わっている。
そんなピアノに小気味良く共鳴するベースとドラムスも新鮮だった。

ちょうど4年前。
「鍵盤とローズオットー」2010,2,2 AKIKO GRACE VOICEで綴っていただいているように、節分の夜のコンサートでご一緒できたご縁を、今も宝物のように思う。あの夜は2009年のダマスクローズの香りを音で表現いただいたが、……考えてみればAkiko Grace というピアニストは、常にその時そのときの香りも含めた空気感を音で聴かせてくれるアーティストそのものだ。


2014年2月5日水曜日

『香り文化の源流を王朝に求めて 平安時代の薫香』 尾崎左永子 著を読む

薫香。
この日本語から私が想像するのは
においのする素材が、好ましく素敵な「香り」として感じられるように配慮と工夫を凝らされて、くゆらせられ、漂うように「薫らせ」られた状態である。

「におい」のするものを、「香り」にするのは人。
より心地よく、麗しく、素敵に、と人の感覚が求め続ける情熱の賜物。

そのような想いを
今回あらためてこの本を一読してさらに強く感じた。



『香り文化の源流を王朝に求めて 平安時代の薫香』
尾崎左永子 著 フレグランスジャーナル社


いわゆる「香道」が成立する以前の日本。平安王朝の人々が、希少な香料を大切に工夫しながら自由に調合し、言葉以上に「雅び」を伝えるものとして活用していた。黒方、梅花、荷葉、侍従。これら冬春夏秋の香の調合から感じられる微細な季節感に、何か懐かしさすら感じてしまう。

空間にさりげなく香らせる、
重ねた衣からほのかに香らせる…。
これらは現代に生きる私たちにとっても求められる香りのマナーである。
様々に「におい」のするものを「香る」ものにする心配りや工夫において、平安時代の人々から学ぶべきことは多くあると感じさせられた。

この本を読みながら非常に共感し、写し取った部分が2箇所ある。
歌人でもある著者に敬意を評し、その2箇所を末尾に引用させていただく。

第一章の引用より、光源氏が女房に説く「程のよさ」には深く共感する。
このような心配りがないと「におい」は「香り」にはなり得ない。
第三章の引用では、薫香の発達した背景に、これが衣服(染織の最も発達した時期であった)、調度、音楽、遊宴、男女の交際などを含めた日常文化の中で最も効果を発揮したこと、行き届いた美意識に基づいた文化の成熟度との相関があったことが指摘されている点が重要。
香りを感じる嗅覚は、嗅覚単独では深まらない。
視覚、聴覚その他の感覚すべてと同調し共鳴するのだから。

以下に2箇所の引用を記す。

まずは、第一章 薫香の世界 P15より
……
『源氏物語』の「鈴虫」の巻には、いそいで室内に空薫物の香を満たそうとして、扇でパタパタ煽いでいる女房を、光源氏がきつく戒める場面がある。

空にたくは、いづくの煙ぞと思ひわかれぬこそよけれ、富士の峰よりも異に、くゆり満ち出でたるは、本意なきわざなり。(鈴虫)

空薫物は、どこから薫ってくるのか、さだかにはわからぬほどにたくものだ、富士の噴煙のようにけぶるようでは、本来の心がけからはずれてしまう、というのである。富士山がまだ活火山で、山頂から噴煙を上げていたことがわかるのも興味深いが、この心得は、現代の香りのマナーと同じことで、とくに湿気がつよく、香りが下に溜まりやすい日本という風土においては、必ず忘れてはならない心がけである。王朝の文化の洗練と優雅は、こうした「程のよさ」を常に示している。同時に、度を越さず、微かであるからこそ、その香りを聞き分けることも可能だったともいえよう。


次に、第三章 「源氏物語」の美意識と香り P66〜67より
……
…薫香の世界は単一に香りだけで発展したものではなく、四季観の確立による美意識を底流として、王朝独特の邸宅、衣服、調度、音楽、遊宴、男女の交際などを含めた日常文化の中で最も効果を発揮し、行き届いた美意識に基づいた文化の成熟度と相関しつつ発達したことを改めて考えるべきであろう。衣服文化に関しては染織の最も発達した時期でもあり、十二単に長い黒髪という国風文化の女性風俗もまた薫香を発達させる要因でもあった。

2014年2月2日日曜日

梅の香りに誘われて

正午過ぎ。
やわらかな陽射しが心地よいので散歩へ。

羽根木公園近くになると
ふんわりとやさしい梅の香りを感じました。


「八重野梅」。
白い花びらを開かせるのは紅い蕾。


清らかで
どこか粉っぽく艶っぽい
まぎれもなく梅花の
奥深く可憐な香りです。
競うように重なりながら咲き始めたその姿は
青い空によく映えて。



こちらは淡紅色の「藤牡丹」。
やさしい色合い。色のごとくうっすらと控えめな花香。



鮮やかな紅色の梅にも出逢いました。
真直ぐにこちらを向いてくれた
その色の印象が強かったせいか
香りはやさしく清楚に感じられました。
「えんおう」。



すこし冷んやりとした空気に
やわらかく梅花の香り漂う中
鳥のさえずりがきこえます。
まさにパラダイス。
こんな香り方こそ心地よい。

37回 せたがや梅まつりは来週から。

寒暖を繰り返す中、満開になるのはもうすぐ。

2014年2月1日土曜日

日本橋にて、『北斎 ー師と弟子たちー 展』を鑑賞


『北斎 ー師と弟子たちー 展』日本橋三越本店 新館7階ギャラリー

この展覧会のために日本橋へ。



土曜日の午後ということもあってか展覧会場は大盛況。
老若男女あらゆるひとたちが
楽しく眺めていました。
開催期間は2/3まで。
一週間と短いのですが多くの人に楽しまれますように。

人によって
どのような記憶と視点から鑑賞しても
興味深いとは思います。

毎週新幹線で出張している私にとって
東海道の風景あれこれや
富嶽三十六景は
殊の外おもしろくながめられました。
毎週表情の違う富士山やまわりの雲、空の色を見ていますから。

水の描写も大胆なデフォルメで
波も滝も雨も
生き物のよう。

風景の一部としてみごとに溶け込んでいる
あらゆる人間の動きも細やかに描かれています。
さすが彫刻に興味をもった北斎。
90年の生涯でどれほどの時間を観察とデッサンに捧げたことだろうと
その目の力に感銘をおぼえるばかりです。

北斎に影響を受けたフランス人画家アンリ・リヴィエールによる
「エッフェル塔三十六景」も展示されていました。
エッフェル塔の建築中の風景も貴重です。
100年以上昔とはいえ
パリのあんな場所、こんな場所からの
うすぼんやりとした塔のたたずまいに
かつて訪れた地の空気も回想。

Kenzo Homme Night〜23年前誕生の香りへと辿れば北斎の画

まるで生き物のように
うねって傾いたボトル。

一度見るとわすれられない。
このカタチをもつKENZOのフレグランスから新作。

Kenzo Homme Night
01/31/14 08:41:00
By: Sanja Pekic


鮮やかな濃紺。ミッドナイトブルー。
イメージムービーを見ても感じられるが
笑顔にあふれ
茶目っ気さえ匂わす彼は
少しくらい危ないことがあろうと
平気だよ、と言わんばかりの頼もしさ。
共にいる女性にとってこんな男性はまさしく"Knight"?

グレープフルーツの瑞々しさ、
スパイスの温もり、
深く神秘的なウッディベース。

さて、この新作の源流をたどると
23年前のKenzo pour Homme Kenzo for men

アロマティックでアクアティックな香り。
’90年代の香りの一つの代表的な流れをつくったフレグランス。

このトップノートのイメージに
高く巻き上がる波しぶきがある。
これはこの香り誕生の背景で強く影響を与えたといわれる
葛飾北斎の描いた波しぶき。(富嶽三十六景 神奈川沖浪裏)。
『フォトグラフィー 世界の香水 神話になった65の名作』原書房の中でも目にしたあのヴィジュアル。

富士を背景に、水の動きを
生き物のごとく魅力的な存在感でとらえた感性が
KENZOに与えた影響力の大きさを感じながら
ちょうど先ほど日本橋三越で『北斎 ー師と弟子入りたちー』を
鑑賞してきたところ。

やはり
大胆なあの描写からは
生き生きとした水の香りを感じてしまった。