2013年3月31日日曜日

麗しきサクラとヒメリンゴ・バラ科の花々

花冷えの東京、世田谷にて。


一週間前とは違う桜に出逢う。
今日しか見られない一期一会。




愛らしい蕾とともに
囁くように開いている花。
これはヒメリンゴ(バラ科)。



サクラもリンゴもバラ科の植物。
そういえば、先日見たパリの春が描かれた絵には
アマンドの花があった。アマンドもバラ科。





城山通りから宮の坂に抜けて
世田谷線沿いを歩く。
世田谷八幡の桜が見えた。

2013年3月30日土曜日

『Paris、パリ、巴里 ─ 日本人が描く 1900–1945』で佐伯祐三作品に再会

チラシの画のタッチをみたときから
その温もりに憶えがあった。

Paris、パリ、巴里 ─ 日本人が描く 1900–1945
は6月9日まで、京橋のブリヂストン美術館にて開催中。


チラシに使用されている作品は
佐伯祐三による『テラスの広告』/1927/石橋財団ブリヂストン美術館。

ああ、こういうカフェ。
1920年代にあったこうしたカフェは、
私が1980年代後半に訪れたパリの記憶とも重なる。

パリを描いた画家の中でも
ひときわ私が魅かれた理由は
昨夏初めて佐伯祐三の作品に出逢ったときの記事
パリに学んだ二人の日本人画家に書いていた。

私もパリで過ごした間
街のあちこちにおびただしく貼られた広告の文字レイアウトや
通りすがりの建物の佇まいに何度も目を留めた。
古い年月を刻んだと思われる外壁の石造りや内側の木肌…
厳寒の冷たい空気の中に静かに続く道。
そうした記憶との重なりもあったのかもしれないが
佐伯祐三の作品から
魅かれるもの、描きたいものへの気持ちが強くまっすぐ
伝わってくるような自由な筆致が記憶から離れない。

彼が影響を受けたといわれる画家、
モーリス・ド・ヴラマンクとのエピソードについての
記述を三重県立美術館のサイトから発見。
表紙解説 モーリス・ド・ヴラマンク『辺境伯』(三重県立美術館)

展覧会では他にも
当時のパリから多種多様な影響を受けた画家の作品を鑑賞できる。
それぞれに違い、味わい深い。
期間中、近くを通りかかったらまた訪れてみたい。




2013年3月28日木曜日

『犬と猫と人間と2』試写会観賞

犬と猫と人間と2 試写会観賞。紀伊國屋サザンシアターにて。




Ilove,cat をきっかけに知ることのできた映画です。

ドキュメンタリー。
非常に貴重な映像です。
人はもちろん、犬、猫、牛、馬、トリたち…「生きもの」の現実。
人間は、人間という種一種で生きられるわけではなく、無数の他の生きものの命とともに生きている現実を目の当たりにします。

長い歴史とともに、人とともに生きてきた犬、猫、牛たちは、人間と同じようにこれまで共に暮らし世話をしてくれていた人間に本当に見捨てられるとは思っていないでしょう。最後までそう思っていたかのように福島の警戒区域内で餓死した姿や、ボランティアの人に出逢った空腹で疲れきった犬の叫び声…牛の涙、病気を抱えて弱り切った猫の眼差しに、種を超えて強く感じることがあります。

監督からのメッセージ に書かれてあるように、監督の宍戸大裕さんは、半ばボランティアとして半ば記録者としてこの映画を撮られたそうです。故郷の現状を知りたいというお気持ちが追いかけたドキュメンタリーには脚本はありません。

映像を撮られた宍戸さんは、実際に現地で温度や湿度や匂いもリアルに感じられたのです。その感覚が追いかけずにはいられなかった現状であったことは、昨夜の上映後のトークからも伝わってきました。

5月から
渋谷のユーロスペースをはじめとする日本各地の映画館で公開されます。
ぜひ、一人でも多くの方々にご覧いただけたらと思います。


2013年3月26日火曜日

花とガラス

1週間前、謝恩会で贈呈された花束。
いまもみずみずしい花の姿あり。

パープルピンクとフレッシュグリーンのコントラスト。

実際、花びらから
特徴的な香りを感じるわけではなかった。

潔く茎をカットしてガラスの器に生けたら
淡くひそやかに何かが香り始める。




富山ガラス工房で、デザイナーである家人が数年前に制作した器。

たっぷりと厚いガラスの中に
紫がかった黒がうねり
生きた花の呼吸を示す水滴を
くっきりと映している。

2013年3月24日日曜日

香りの専門誌 "PARFUM" 165号(2013年春号)発刊


香りの専門誌 "PARFUM" 165号(2013年春号)が春分の日に発刊。




表紙は、マリナ ド ブルボン ダイナスティバンプのイメージヴィジュアル。ボトル写真は本誌p48、編集後記の前にご覧いただけます。鮮やかなレッドからピンクへのグラデーションが、春にきらめく小悪魔的なフルーティーフローラルの香りを感じさせています。

フレグランスは目には見えないだけに、そのボトルなどの視覚表現が大切。
本誌では過去40年にわたり、その時代ごとの香水ヴィジュアル、アートとも言うべき広告ヴィジュアルを掲載してきましたから、その蓄積は貴重で、私も時々ファッション史における資料として活用しています。

今号も、春の新作情報満載です。
一部をご紹介。

ウッディ・ネオアロマティックな香り…
ジェントルマンオンリー(ジバンシィ)。

全ての女性は少女の心を持っている、と実感できる…
ホワイトアイリッシュ(ジャックファット)。

清々しい春風のような清冽な香り…
タンペートゼスト(エステバン)。

その他…
伊万里焼磁器製香水瓶の貴重な写真、3/31まで栃木にて開催(4/4からは長崎にて開催)、コチラにてお伝えした「香りとファッションの美学展」展示香水瓶の一部ご紹介ページも目を楽しませてくれます。

『おすぎの「呟きトーク」81』では、4/19公開の「リンカーン」が紹介されています。映画好きな私も、おすぎさんのこのページからこれまで多くの名画名優を感じることができました。81回の連載にあらためて深く感謝です。


2013年3月23日土曜日

さくらとシネマと商店街 〜下高井戸〜

自宅から徒歩1.5km、
京王線下高井戸駅。

桜上水のほうに向かって日大通りを歩くと
ほぼ満開のさくらに囲まれます。
安定感のある木肌から芽吹いた花がひときわ可憐。




見上げると
遠くの花びらは星のよう。
雅な香りにつつまれます。




日大通りを下高井戸駅のほうに戻ると
下高井戸商店街 。私がこの駅周辺に住み始めてから約20年経ちますが、市場の新鮮な魚介類、肉屋の揚げたてのコロッケ、フルーツショップなど今も変わらず活気があり、行列もできるほど。
踏切を渡って西友のほうに向かう道すがらも魅力的。
八百屋さんやお好み焼き屋さんなどの美味しそうなお店はもちろん、都心のよくあるお店では見かけないような絶妙な色合いと造りのバッグ屋さんやブティックがあったりします。

そして何と言っても下高井戸が素敵なのは
映画館があるところ。
人の多い映画館が苦手な私は
この下高井戸シネマ が大好きです。

2013年3月22日金曜日

『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』・芳賀直子氏講演録〜記憶に刻まれた『薔薇の精』

3月15日。国際香りと文化の会 講演会演題その二は
『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』、講師は舞踊研究家の芳賀直子氏。
『バレエ・リュス その魅力のすべて』(図書刊行会)の著者です。

バレエ。素敵な世界であろうことは感じていたものの
その歴史を含めたコンテクストに関して私はほとんど知識がなかったため
「未知の素敵な世界」のお話をうかがうことを楽しみにしていました。

芳賀さんの冒頭のお話のうち三つのことが
私の期待感を高めていたと記憶しています。

ー「国際香りと文化の会…なんて素晴らしい会でしょう。このような会でお話できることを嬉しく思います。」

ー「バレエを鑑賞する劇場の香りはまさに観客の香水の香りなんです…劇場は社交場でもありました。」

ー「『薔薇の精』という演目がありますが、これは窓から跳躍で入ってきてまるで夢遊病者のように踊り、再び窓から跳躍で去っていくというタイヘンな体力を要する踊りなんです。」

以上から私が感じたのは
芳賀さんは、バレエと同じ位に「香り」という目には見えない世界に魅力を感じられる方であること。そしてヨーロッパに端を発するバレエとともに香水もおそらく大好きでいらっしゃるでしょう。さらに、『薔薇の精』はまさに薔薇の深く捉え難い芳香を人間の全身を用いて表現されたものと解釈できたため、この演目を講演の最初で挙げられたこと自体が、バレエと香りの接点を意識されていたであろうことでした。

ご講演約90分。まるで観劇しているかのような楽しさでした。
芳賀さんの語りから香る情熱と溢れるばかりの情報量。
ご著書を一冊分読んだ位の内容だったのではないでしょうか。

「香り」・「ファッション」・「フランス語」に仕事で関わる私には
『薔薇の精』のエピソードを筆頭に
バレエの歴史(ルネサンス期のイタリアで発祥、フランスで様式化され、ロシアで開花した)はもちろんのこと、芸術としてそしてロシアの素晴らしさを伝えるためにと独自のバレエ団『バレエ・リュス』を結成したセルジュ・ディアギレフによる、芸術界、ファッション界への影響力の痕跡というものは非常に印象的でした。
1909〜1929年という『バレエ・リュス』の存続期間は、丁度ココ・シャネルが登場する時期にも重なり、シャネルも演目の衣装を担当しています。

広く世に芸術の価値を伝える…
こうした情熱の軌跡は、ヨーロッパの先人に多くを学ばなければならないと改めて実感します。
ディアギレフは、『バレエ・リュス』結成前に雑誌媒体『芸術世界』を発行し、展覧会も積極的に行ったそうです。これらが後の活動のベースとなったとのこと。
私にとってディアギレフは、以前のコチラの記事でご紹介した近代ロシアの画家、イリヤ・レーピンとともにここ一年間で知った忘れ難きロシア人となりました。

講演会後に調べて知ったことの一部を挙げます。

2007年には、映画『バレエ・リュス 踊る歓び・生きる歓び』が公開されていました。

2009年には、京都精華大学博物館にて
バレエ・リュス100周年記念 バレエ・リュス その芸術性とデザインの魔力が開催。芳賀さんが監修されています。

そして『薔薇の精』については
財団法人 日本舞台芸術振興会 ニジンスキーの伝説に説明がありました。その一部を引用して*〜*に記します。


… フォーキンがウェーバーのワルツ『舞踏への招待』(ベルリオーズ編曲)に振付けたこの一幕作品は、フランスの詩人・小説家であり、『ジゼル』の台本作者としても知られるテオフィール・ゴーティエの詩から想を得て創られた。「……あなたのまぶたを開けて下さい。私はゆうべの舞踏会で、あなたが胸につけて下さったあのばらの精です……」 …中略…フォーキンはいう。「バラの精は魂であり、希望である。また、バラの香気であるとともに花弁の愛撫であり、口では言い表せないものである」(『ニジンスキー頌』)。


まさにこれは薔薇の香りの表現そのものでもあり
「香りの女王」と呼ばれる天然ダマスクローズのフレッシュな香りに生まれて初めて触れたときの私の心象風景のようです。

奇しくも『バレエ・リュス』結成100年目は
香料バラ、ダマスクローズの産地として世界的に名高いブルガリアと日本の外交復興50周年の2009年。
この年以降私が監修する『パレチカ』の奥深い香りを記憶によみがえらせています。

2013年3月21日木曜日

レトロな喫茶店にて、濃縮コーヒーゼリーを頂く

静岡駅地下のレトロな喫茶店にて。
なんと30年位前からあるお店とのこと。

お店の奥には
実に魅力的な陶器製の猫が花とともに佇んでいました。
聴こえないはずのピアノの音が聴こえたのはそのせい?
写真に撮ろう…と思いつつ、
コーヒーゼリーの美味しさに浸ってタイミングを逸してしまいました。

オーダーしたのは熱いブレンドコーヒーに
濃縮コーヒーゼリー。


嬉しいことに
ダークブラウンのコーヒーゼリーの上には
生クリーム、スペアミント、
そしてちいさなヴァニラアイスクリームが添えてありました。

コーヒー × ミント × ヴァニラ。

大好きなコーヒーの香りは
それだけでも十分に幸せな気分にしてくれますが
ホイップしたてのフレッシュミルクの香りが活きた生クリーム、
みずみずしいミントの葉と
それぞれフレッシュなままで出逢うと
口の中で絶妙な香りのハーモニーとなります。
ここにシロップの甘味は、私には不要。

ゆっくりと香りを楽しんだあとに
冷たさでやや感じにくくなっている
アイスクリームの上品な甘さを味わいます。

こんな順序で至福の一時を楽しみたい
コーヒー好きの心をちゃんとわかっているお店だから
長く愛されるのかもしれません。

2013年3月19日火曜日

早春の北陸にて

3月16日午後。
越後湯沢から
はくたか号に乗りました。
車窓に映る色は
青、白、そして深緑も混じった土の色。


銀嶺が見えます。


山を抜けると
糸魚川〜魚津〜日本海の静かな色。
緑が多く見えてきました。
JR富山駅着。ここから市電に乗ります。



翌17日は彼岸の入り。
大好きだった父が他界してから47日目。
快晴の空のもと、満中陰法要と納骨を終えることができました。


18才の春まで暮らしたこの場所には
無意識のうちに恩恵に預かっていた宝物のようなものが
たくさんあったことを今更ながら知ります。

義姉にいただいたおみやげは
なつかしい水飴の味。子供のころよく食べた味です。


サクラアメ。
サクラの香りのかわりに
やさしい甘みがふうっと鼻から抜けていきました。
穀物の天然の甘味です。


なんと創業350年でした。
筆書きに温もりを感じます。


本日帰京。
明日は春分です。

2013年3月16日土曜日

渋谷山手線沿いの" DESPERADO "・コミュニティストアとして本日新たにOPEN

本日オープンのDESPERADO
昨日訪れたオープニングパーティー。


渋谷駅のホームからも見える庭付きのユニークなロケーション。




店内にはいくつか魅力的なコーナーがいっぱい。






パーティーフードも素敵。






大盛況でした。
私もユニークなアイテムさがしに必ず再訪したいと思います。

『中国古代の香り生活』ー中国香文化史家・千葉恭子氏講演録


国際香りと文化の会 2013年3月15日講演会にて。

最初のテーマは『中国古代の香り生活』。
講師は、中国香文化史家・香司の千葉恭子さん 。
香麗志安(カレージア) 主宰。そもそものご専攻は中国古代史(春秋戦国、秦、漢の時代)とのことで、この研究を基盤に香文化を紐解いて行くために、考古学、植物、精油、フィトケミカル、宗教、文学、美術、工芸…さまざまな分野を幅広く学ばれたということでした。

冒頭でおっしゃったことが印象的。
「本日は中国古代の中でも紀元前200年以降のお話をします。
その時代にはすでに香草・香木は生活必需品となっておりました。当時の中国では生まれてから墓場まで使いこなしていた…というイメージでしょうか。」

一口に中国といっても国土は広く、権力者は次々に変わりましたから、エリアにおいても時代においても一様ではないのは当然ですが、時の権力者は必ず主に国産の桂皮(シナモン)をはじめとする香草、香木を多用していました。そして彼等の共通する最終的な欲望とは「不老長生」だったとのこと。こうした欲望は西も東も同じようです。

これほど香文化の歴史が長い中国で、現代の人たちも日常生活で香りを多用し快適な生活のためにフル活用されているかといえば必ずしも古代の伝統が引き継がれているわけではない、とのこと。
あたかも過去の文化が分断されてしまうかのように新しいことを取り入れるたびに昔の伝統的習慣が捨てられているとしたらもったいないこと…我が国日本にもそのような傾向なきにしもあらず、と感じました。ここ15年ほど日本で普及したアロマテラピーのノウハウのおかげもあってか、空間に芳香を漂わせて楽しむ人は確かに増えたとは思いますが、自他にとって快適な芳香を意識し求める心というのは、環境によって育てられるものかもしれないと改めて痛感した次第。

さすが香料の国、中国と感じたのは五香粉。
私も愛用(食)しています。 五つのうちの花椒は特に中国を感じる香りで大好きです。
千葉先生に教えていただいたことですが、
長安の宮廷の近くの場所に植生し、何らかの形で早くから使われたのは花椒だったという話でした。

そして、寒さに強く枯れても香るという、フジバカマも印象的。
この植物の芳香成分の一つ、クマリンには悪臭を調和させる働きやダニを殺す働きもあるのだとか。香枕にフジバカマが入れられていたというのも納得です。

その他、漢字で書かれた香料が多く登場しましたが、多くは漢方薬や中華料理のほうでお馴染みになったものが多かったようです。やはり、西洋のアルコール希釈ベースの香水というものは西洋独特だったのか、人も地域によって香料の活用が異なり、その発達史も独特なのだと再認識。

毎年私は大学で香料を扱う講義を行っていますが、近年、受講生に中国人留学生が増えています。かれらの興味を大切に、東西広く香りの文化史を伝えつつ、さらに現代のライフスタイルに合う豊かな香り活用を考えさせる機会となるようにしたいものです。

2013年3月13日水曜日

『未知の分野で自分を試す』ソーシャルビジネス・ドキュメンタリーと花のような舞茸

様々な分野で独自な活動をされている方々を講師とした、熱くリアルな交流会を企画運営されている「それいゆ」代表の石川正子さんとは、今から10年前、コチラで私も講師をつとめさせていただいて以来のご縁をいただいています。

その石川さんから今回
『未知の分野で自分を試す』〜バングラデシュにおける緑豆栽培とユヌスソーシャルビジネス〜(講師 佐竹右行氏)をご案内いただきました。

『未知の分野で自分を試す』
まさにこのことでしか、常に変化する環境における日々の前進はないと考える私は
未知に挑んだ熱い人のドキュメンタリー映画を観るような期待感で参加しました。

講師の佐竹さん自ら受講生のテーブルにいらして
「本来の見事な舞茸ってこんなのですよ」
と見せてくださいました。まるで花のようです。
「こんなの山でみつけたらマツタケ?って舞い上がったから舞茸っていわれたそうですよ。」(笑)



この舞茸を生産している
新潟の(株)雪国まいたけの、現在上席執行役員である佐竹さん。
(株)雪国まいたけ社長との出会いで何か魅かれる直観があったとのことですが
それは、それまでに積み上げてこられたビジネス経験の賜物ではないかと想像します。この会社に出会い、日本市場で販売されているもやしのモトである緑豆のほとんどが中国依存であることに危機感を感じられた問題意識がまずは新しいビジネスの芽だったのかもしれません。

緑豆。この小さな豆は黒いサヤに約10粒入っているそうです。




バングラデシュ訪問を機にこの国の貧困問題に疑問を感じられた佐竹さん。農村部の貧困層の雇用創出にこの緑豆生産を、と考えられました。その熱意は、同国で、低金利無担保融資のマイクロクレジットによって貧困層の自立支援を行い2006年ノーベル平和賞を受賞されたグラミン銀行総裁、ムハンマド・ユヌス氏との出会いにより、緑豆プロジェクト(2010年10月〜)実現へとつながります。

農業とは自然環境に大きな影響を受ける産業でありながらも
膨大な人口を養うべく一定量を生産しなければならない性質上、
できる限り安全な状態で効率よく収穫できるシステムの構築と
そのための絶えざる研究が欠かせません。

今年成功した方法が、来年は使えない。
そのことを覚悟して
常に「今でき得るベスト」を目指す熱い姿勢には感銘を受けます。

参考情報
Ecology online 『モヤシの種がバングラデシュの希望の種となる』

WEB GOETHE 『滝川クリステル×ムハンマド・ユヌス』

2013年3月9日土曜日

急な陽気と「横浜都市文化ラボ」

今日のお昼過ぎ、外に出て驚いた。


コートどころかジャケットすら要らない。
「今はいつ?」
こういう感覚は新鮮。
カレンダーよりも我が感覚のみが頼り。

そして昨日。



約1年ぶりに訪れた。
この山の中の鬱蒼とした森のようなキャンパスで
実におもしろい体験をした。

観客として導かれ
役者と同じ空間で体感した野外劇。

横浜都市文化ラボ 演劇ワークショップ受講生によるコチラ。私は百円のベンチ席にて。


あっという間の50分。
刻々と変わる野外にて
目の前で起こることを全身で体感しているうちに
「ここは何処?」「あれは誰?」と意識がグルグル。
規制概念が勝手に構築している「日常」など吹き飛ぶとはこういうことか。

コチラ劇団唐ゼミ「ゼミログ」3月8日記事
の写真を撮影された写真家の平早勉さんとは
観劇後、横浜駅構内のカフェでバッタリ遭遇し
熱く談笑までしてしまった。

本日の千秋楽。
昨日とは違う空気、役者、観客の相互作用で
きっと昨日と全く違う時間になったに違いない。

横浜都市文化ラボの熱いメンバーの皆さん、おつかれさまでした。


そして
映画の3ノート・「望月六郎の熱血映画塾 上映会」鑑賞 の映画にも出演し今回も体当たりの芝居を見せてくれたKさん、二週に渡りこのようにおもしろい場にご招待いただき有難うございました。

一期一会の貴重な体験は
動いてしまうかもしれない目的地などなくても
「今」「ここで」「彼と彼女と」
生きた実感となることだけはマチガイありませんね。

2013年3月7日木曜日

THÈ ALLA ROSA / SANTA MARIA NOVELLA ・安らぐひととき

先日親しい方からいただいたフィレンツェのお土産。




かつて訪れたフィレンツェのあの穏やかな陽光とクラシカルな美を反映するようなパッケージ。そして淡く紫がかった薔薇色のつぼみが散りばめられた紅茶がきっちり真空パック。

本日いただきました。
茶葉に熱い湯を注ぎ、待つこと5分。
素晴らしい香りです。




パッケージの裏には原料(構成物)として
紅茶
薔薇のつぼみ20%
ローズエッセンシャルオイル(精油)0.4%
と記されています。

このひときわ芳醇な香りの理由がわかりました。

優雅な気分とともに
すうっと目鼻の疲れが溶けていくようでした。

花粉症で辛い家人に
ちょうどブルガリアンダマスクローズの精油を0.5%希釈した
スイートアーモンドオイルで目鼻から頭皮、デコルテや耳周りを
トリートメントしてあげたところ楽になったと喜ばれていたのですが
トリートメント後のこのお茶は相乗効果で
安らぎを提供したようです。

サンタ・マリア・ノヴェッラ(フィレンツェ本店)のWebサイトより、PRODOTTI THÈ THÈ ALLA ROSA

素敵なお土産で私に安らぎの時間をくださったKさんに心から感謝。
有難うございます。

2013年3月4日月曜日

花香の中で

如月から弥生へ。
この頃、春の花香の第一のピークが訪れる。

ふんわり、ほのかに甘酸っぱい梅や桃の花。
沈丁花も香り始める。

二年前の3月初旬の沈丁花



春一番が吹く。
強い風は植物の花粉を飛散。
これは人によっては脅威だ。
私は花粉症ではないが(ないはずだが)。

この時期
甘い花の香り漂う空気の中で長時間過ごすと
いつもよりだるくなり、眠くなる。
ほどほどならば心地よい。

もう少し経つと
モクレンやコブシが開花する。
すでにいつのまにか
蕾はふくらんでいる。

これは昨春3月末のコブシの写真。



そろそろ啓蟄。
その14日後は春分。

穏やかなあたたかい春の陽射しとともに
今年も桜が可憐に咲きますように。

2013年3月3日日曜日

映画の3ノート・「望月六郎の熱血映画塾 上映会」鑑賞

私は10代の頃から映画好き、フレグランス好きであり
かつ、現在は大学で「香り」を題材に学生に「表現」を指導しています。

その立場から
ほとんど脚本さえ生まれて初めて書いたであろう大学生たちが昨秋から懸命に制作してきた映画の上映会を鑑賞してきました。

こういう機会は新鮮で貴重です。




望月六郎の熱血映画塾上映会




「49(Yon-Kyu)」は20分、「GARDEN」は10分、「ノックアウト」は22分。

それぞれを鑑賞して感じたままを
フレグランスの香りの3ノート、
すなわちトップ(第一印象)→ミドル(本編)→ラスト(余韻)に見立てて
言葉で表現しておこうと思います。

1,「49(Yon-Kyu)」
よくあるシーンの親しみ深さ

えーっどうなるのどうなるの、ビックリだけど……そういえばあなた誰?えーっそんな秘密があったの?いよいよセツナイね、さてどうするの?えーっリアルに生きてたときより生きてるじゃないの、ハラハラだね、あっ、…。

あんなこと起きないと気づけないことって確かにある、ある…
この数字…………
かつてのアレもコレももしかしてソウいうこと?
そうか見えないチカラにまもられていたのかも…
主人公のセリフ、声とともに焼き付いています。
生きてることを当たり前のように思ったり
今日会えてる大切な人とまた明日も会えるからって
大事なアクションを先延ばしにしちゃいけないと改めて感じました。

2,「GARDEN」
綺麗な「絵」を撮ろうと狙ってますね
あ、セリフの肉声は無いのね、ヴィジュアル強調?

現実なのか想像なのか、そんなことワカラナイけど、なんだかコノヒト必死にナニカ求めてるね、それにしてはBGMずっとこの調子のままなのかな、文字書かれてると読んじゃって考えちゃうなあ。もっと感じたかったんだけど。

「絵」はいくつか記憶に残りました。
美化、そういう人の欲望の本質てなんだろうか。
美。人の感じ方の数だけある。

3,「ノックアウト」
もしかして主人公が大切にしてるモノ?場所?
これがノックアウトの原因、って後で理解できそうな予感。

ああよくある二人。関係性。そこに味のあるオジサン、このヒトいいね。
え!そうくるの?オモシロイけどそこまでやるのは痛すぎる、けどそういう世界もあったのね、すっかりトリコ。でもそれで解決できる?ちょっと間延び?ちょっと登場人物同士で予定調和?

なんだか笑ったことは笑ったけど、むなしい。
人間の熟したオジサンは良かったです。

というわけで
「早く先をみたい気持ちのまま終わった」
「えーっという意外性のリアルさ」
と余韻の深さで帰りの電車で涙した作品は1でした。


改めて脚本の重要性を痛感。
総評の冒頭で望月監督のおっしゃった
「自分の限界をまず知り、それと立ち向かうことからはじまる」
ということを体現できた学生たちは幸運ですね。
クリエイションというものはそういうものです。共感します。

改めて、かつて自分が10代の頃に鑑賞した映画で感じたことを
コチラを読み返しながら思い起こしています。