聴取快感を求めてひさしぶりに聴く。
2009年春のライブで初めてその音を聴き、即日購入したCD。
セピア色のフォトに魅かれた。
うっすらとディスクにサインされた日付。
この年の春から夏にかけて、何度聴いたことだろう。
そして、特に一曲目の Libido ~Mediterranean Sundance は
その後何度もライブでも。
スピーディーで繊細。
波のように有機的に音が流れていく…
聴いているうちに、いつしか疲れも忘れた。
気がつくと、香りのように記憶の中で響いている。
極度の疲労から皮膚に発した蕁麻疹が
このCDの風のように流れる音をきいていて
消えていたこともある。
軽やかなのに深く、触覚の奥にも伝わったかのよう。
ゆうべの日経新聞夕刊にグレースさんの連載記事。
J.S.バッハの直筆譜を眺めるのがお好きとのこと。
こんなことが書いてある。
…まるで音の媚薬のありかをしるした宝の地図が、
世紀を超えて演奏者によって封印が解かれるのを
待っているかのようです。…
(From The Backstage 2012,6,28 日経新聞夕刊11面)
バッハの直筆譜からこう感じる彼女は
来る7月9日、日経ホールで行われる日経ミューズサロン〜
クラシック・オン・ジャズ」公演でも、バッハの名作を
モチーフに即興演奏するという。
見えるものから音を感じたり
香りから音を感じたり。
そんなグレースさんと出逢い
本物の香りを本物の音へと表現いただいたときのことを
コチラ にも綴っている。