2011年8月31日水曜日

香るお菓子たち(オランジュ・ミエル・ノワゼット)

ある女性から、フランス菓子の詰め合わせを頂いた。
「その仕事の姿勢に関して大尊敬していたパティシエの方によるお菓子」
とのことで、かつてその女性が仕事をされていたお店のお菓子をプレゼントに選んでくださったのだという。




真っ白な箱に、パリでお店を数軒構えるパティシエの名前。
箱には5種類のお菓子が入っていた。

口の中に入れてからふわりと漂う香りを楽しめたお菓子たち。
半分だけまとったホワイトチョコに引きたてられてフレッシュに香るオランジュ(オレンジ)。マドレーヌをかみしめると豊かなバターとともにミエル(蜂蜜)の香りが立ってくる。アーモンドサブレの上にトッピングされたノワゼット(ヘーゼルナッツ)の深い香ばしさ。





この「トランシュ オランジュ ショコラ ブラン」は、オレンジの皮自体の苦味よりもみずみずしさが感じられた。程よく柔らかい。おそらく果実まるごと煮られたのではないかと想像。ショコラ ブラン(ホワイトチョコ)の上には細かなオレンジ色のランダムな線。香りと食感と見た目のバランスをこんな風に整えられるのはまさに職人技。

青木定治氏のプロフィールはこちら


2011年8月30日火曜日

出逢った人はカメラマン(アジサイを撮るひと)

先々週に訪れた、札幌の北大植物園 の入り口で出逢った人を思い起こしました。

私と同行した女性Aさんが、入り口前で二人の記念写真を撮ってもらおうと、ちょうどその場所に居合わせた男性Bさんに声を掛けたのです。

「いいけど…あーこういうので撮るの得意じゃないけどいい?」

というようなご返事がBさんから。
お渡ししたのはAさん所有のデジタルカメラだったと思います。
得意じゃない、とおっしゃりながらもすぐにカメラを構えてくださるBさん。あっという間に撮影終了。振り返るとこの撮影のためにBさんが置いた荷物が見えました。Nikonの立派なカメラ!

「わあ、こんな大きくアップに!素敵。有難うございます!」

撮れた写真を確認するAさん。植物園入り口風景を背景に、私たちの顔が写真の中央から下に大きく、表情そのままにハッキリと写っていました。その力のあるショットに驚き、いわゆる素人的スナップにはないものを感じた私は

「カメラマンの方ですか?」

と尋ねてしまいます。Bさんは急いでいるようだったので、途切れとぎれではありますがこんな情報を伝えてくださいました。

「アジサイの写真撮ってて本も出してる。オオトモミツオって検索してもらえればわかるよ。」

私はしっかりとその名前をその場で記憶。あとで植物園にはいり、8月中旬にも関わらず宝石のようにきらめくアジサイの写真を発見してナルホドと思ったものです。

そして帰京後、調べてみたらやはり。
大友三夫さんの著書「魅惑のアジサイ 日本の自生地を巡る」は在りました。どんなアジサイの写真があるのだろうと興味が深まります。

これは素敵な写真を撮る方と出逢えたものです。まさに一期一会。アジサイの季節になればこの方を思い起こしそうです。アジサイ好きな方にも素敵な本との出逢いになるかもしれません。



2011年8月29日月曜日

THANN ジャスミンシャワークリームRC &ボディミルクRC

夏の疲れを癒し、リフレッシュさせてくれるアイテムを入手。

リゾート気分に浸りたいバスタイム・THANN ジャスミンシャワークリームRCでご紹介したこちら。






ボディ洗浄剤として使用するシャワークリームは、あたたかみのあるグレイのボトル。保湿のためのボディミルクは白のボトル。

先週金曜日にミッドタウンのガレリアで両方を試しました。疲れていたのに気分もリフレッシュ、肌もふわっと柔らかくなったようですぐに気に入り入手。







シャワークリームの感触はやさしくまろやかです。全身のために3~5プッシュして泡立て、手で全身をトリートメントするように。このときふわっとバスルームがフレッシュなジャスミンの香りに包まれます。ジャスミンティーでもお馴染みのすがすがしい香りをちょっと想像してください。

洗い流すときは丁寧に。肌をやさしくさすりながら泡を落としていくと徐々に肌がスッキリとした感触に。ほんのり潤いを残して。

洗い上がり、ふわっとした残り香が気持ちよくフェイドアウトしてくれます。消えかかった香りは優雅なジャスミンの花の余韻。







ボディの保湿にはこのボディミルク。しばらくの間、香りの余韻を楽しみつつ、ジャスミンの優雅さが肌に移って行くような心地よさを実感できるでしょう。時間がたったあとも、わずかながら上品な甘さが肌のにおいに溶け込んでいました。すべすべ、ふっくらとした触感に合う表情です。お気に入りのローズのアイテムとともに気分に合わせて楽しみ、ストレスケアに役立てたいと思います。

2011年8月28日日曜日

国際香りと文化の会・9月講演会テーマは蘭

国際香りと文化の会から、会員である私宛に9月講演会(9/30午後1時より)の案内が届く。内容は、3月末に開催予定であった「ランについて」・「ランの香り」をテーマとするもの。蘭について知る格好の機会なので是非聴講したいと思う。

「ランについて」の講師は齋藤亀三氏(ラン懇話会会長・『世界の蘭』著者・現在日本の野生ランの保護活動に取り組む)。
「ランの香り」の講師は中村祥二氏(国際香りと文化の会会長)。先日他の講演会会場にて中村氏にお会いしたときも直々に勧められたのを思い起こす。

ちょうど3月といえば大震災の直後。非日常的に体感した体調不良の中で、花のパワーに助けられ、私の好きな花をあれこれと思い返していた時期でもある。その頃に書いていたブログ「花に魅かれて…たとえば薔薇と蘭」の中でも、蘭という花のもつ特異性に魅かれていることを綴っている。

2011年8月27日土曜日

「ライフ いのちをつなぐ物語」・物語にするのは人の脳

約一週間前。幸運にもこの映画を試写会で鑑賞することができた。
ライフ いのちをつなぐ物語

この映画は、まさしく映画館の大きなスクリーンで見る楽しみが満喫できる作品。地球上の全大陸、陸・海・空で撮影された映像そのものに魅力がある。おそらく一人の人間が、自分の生きている領域内を中心に限られた行動範囲で生活し一生を終える範囲では到底見ることのできない世界である。

私はそもそも生物の生態にはおおいに興味があるので、以前からNHKの「ダーウィンがやって来た」等のドキュメンタリー番組はよく見ていた。その延長線上位かな、と気軽な気持ちで見始めたのだが…大きなスクリーンの中で、等身大、もしくは拡大された生き物の動きを追っていくうちに引き込まれていく。

最初、松本幸四郎さんと松たか子さんの語りは要らないのではないかと思っていたが、あとでじんわり映像を思い起こすことができるのも、このお二人のおかげかもしれない。この方たちもまた、生きたヒトの親子として声で出演し、ヒト目線でそれぞれの生き物たちの生き様を物語として感じさせてくれる。

どの生き物もそれぞれ生き抜くための知恵という本能というか、そういったものを全開にして生きている。どれが一番、ということは言えないが、鑑賞後もっとも今の私に響いた姿はチーターの3兄弟だった。陸上生物最速の俊足も400mまでしか走れない。しかも、いったん最速時速100kmを超えるスピードで走ってしまえば猛烈にエネルギーを消費するため、続けて狩りはできない。小柄でもあり、一頭では大きな獲物を得ることは困難。そこで3兄弟のチームプレイである。あの、どことなくネコ科の愛らしさが残る顔つきの3頭が真剣な表情で一点を見つめ、走り出すときの眼が素晴らしい。

私は普段特別なスポーツを趣味的に行ってはいない。身軽なフットワークで歩き回れるように、少々重いものを持っていられるように…と考えるだけでも日々が運動そのもの。仕事でも、様々な角度からクライアントに応じた姿勢でアロマトリートメントを行える柔軟性や筋力、長時間立ちっぱなしで話し続けられる持久力…生活そのものが運動であり、いつ危険な状態に巻き込まれたとしても全速力で逃げられる脚や柔軟な身体を保っておきたいと、かかさず行っていることはいくつかある。そんな自分には、チーターの生き様は深く心に響く物語となった。観る人によって何通りもの物語が体感できるだろう。

9月1日全国公開。





2011年8月26日金曜日

花の香りにくつろぐ蚊?

それは不思議な光景だった。
雨宿りに立ち寄ったカフェにて。
レモネードを飲んでいる私の目の前を、明らかに「蚊」のかたちをした昆虫がフラフラ飛んでいる。またもや刺されるかとヒヤヒヤしながら見守るが、私の皮膚ではなく、私がずっと握っていたバッグの持ち手にとまった。

私より遥かに小さな生き物の顔の表情が見えたわけではないが、どうもその姿がくつろいでいるように見えた。しばし脚を伸ばすようにじっとたたずみ、しばらくすると去っていった。こんな平和的な「蚊」を目の当たりにしたのは初めてのこと。

ちょっと考えてみた。
「蚊」がとまったバッグの持ち手の意味について。
ついさっき、私の左手は、天然ジャスミンの香料が使用されたボディクリームを塗ってもらっていた。お店の方に少量試させてもらい、うっすらと手のひらにのばしていた。この花の香りのせい?

そんな疑問を持ちながら帰宅し、ずっと昆虫のことを調べていたら出逢ったサイトに「蚊」の秘密を発見。あれは雄の蚊、もしくは産卵期ではない雌の蚊だったのかもしれない。雄は人を刺さない。彼らのメインの栄養源は花の蜜や果実の汁だという。そして、雌の、産卵直前の蚊だけが出産の栄養源に人の血を求めるという。

池上博さんという方が丁寧につくられたサイトは素晴らしい内容。このサイト内
カテゴリー「昆虫の話題」中の「蚊」を一読して今日の午後の疑問が解けたような気がする。

そういえば、おぼろげな記憶の中に、確かに人の血液を求める蚊は雌だけだったという知識があった。しかし、雄のことまで詳しく知らなかった。花の蜜や果汁を主食にしていたなんて。雌が血液を得るために持つ驚異のセンサー機能を想像し、昨日拡大写真でみた蚊の顔を思い出していた。









2011年8月25日木曜日

晩夏の蚊対策

日経サイエンス2011,10月号が本日発売。その中の記事「蚊よけの新戦術 嗅覚をだませ」が興味深い。蚊の写真をアップにしてみるとナントまるで怪獣のよう。

昨夕も蚊に刺されてしまった。長袖を着ていたにもかかわらず、露出していた手の甲。皮膚が薄いところだけに痒みを感知し始めると膨れ上がるまでの間非常に痛痒い。ここで掻きむしっては大切な皮膚を傷つけるので、さするなどして絶対に掻かない。腫れ上がった部位は熱をもっているのでまずは帰宅後すぐに冷水で冷やした。これでかなり痒みがおさまったので安心したが、冷やしてもおさまらないときには、鎮静効果があるとされるラベンダー、カモミールローマン、ダマスクローズの芳香蒸留水、精油希釈スプレーなどの力を借りることもある。いずれの精油に対しても私はアレルギーはないので、こういうときのためにと自己責任の範囲内で活用している。

とはいえ、刺される前にナントカ忌避したいといつも思う。屋内であれば、とにかく窓からの侵入を防ぐよう目を光らせることもできるが限界がある。そこで昔ながらの蚊取り線香やベープなどが利用されている。ところがこの種の出すニオイが嫌いという人も多い。そこで、アロマテラピーで使用される精油のうち、蚊の嫌がる成分を含むといわれる、レモングラス、シトロネラ、ユーカリシトリオドラ、ゼラニウムなどの精油を芳香拡散器で焚くか、精油原液をティシュなどに含ませて随所に配置しその自然揮発による拡散で蚊が近づかないようにする方法が挙げられる。これらの精油の蚊の忌避効果については精油についての様々な書物に記されてきただけでなく、私自身も自らの体験により実感している。

しかし、屋外で移動中の場合はいつも自分の周囲に忌避のニオイを漂わせておくのも難しい。歩き回っている間に呼吸により二酸化炭素は排出するし、汗も出る。しかも上記精油に含まれる成分はシトラス系、フローラル系フレグランスにも含まれるものが多く、蚊が逃げるニオイであっても、もしかしたらハチが寄ってくるかもしれない…など、侮れないのが昆虫の鋭敏な嗅覚。せめて高温多湿の夕暮れどきの外出はなるべく避けるか、肌を露出させない服装でガードするしかないだろうか。そして蚊にとまられないように立ち止まったりせずキビキビ動くしかないだろうか…。

もう少し「蚊」という生き物のことを詳しく知らなければいけないと思う。大抵毎年この時期にそう思う。





2011年8月24日水曜日

宝物は、時の熟成を経て得られる

服飾史家、エッセイストの中野香織さんによるブログ「心のガラクタは、捨ててはいけません」を一読し、最近私が折にふれて感じていたことを思い起こした。

私にはずっと捨てたくない存在Aと、ある時期がきたら容赦なく捨てる存在Bがある。Aはモノとしては劣化するかもしれないが、私にとっての「意味」は劣化するどころか時の熟成(私自身の成長)とともに価値を増し、宝物のように思えてくる。一方、Bはモノの劣化イコール「意味」もなくなるという存在である。

Aの具体例を二つだけ挙げてみる。

A:
①書籍
よく「読了」という表現が使われるが、著者が長文にこめた思考の展開や表現を、私は決して一回の目通しで読めてしまうとは思えない。行動として文字を眼がなぞったとしても、その時どきの感受性や理解力によって受け止め方はまるで違う。幼い頃、たった一文でも記憶に引っ掛かった書物は、大人になってからの宝物になる可能性が大きい。

②自分による体験・取材・観察・思考プロセスの記録メモ・写真・絵など
高校2年生のときの数学ノート。ある問題を考えて考えて半分徹夜状態になった。あとで先生から言われたのは「こんな解き方よく考えつくな。私には思いもつかなかった。」決して効率的ではなかったかもしれないが先入観なしに自分が考えた軌跡をたどるのは面白い。その他、好奇心が最高潮のときに食い入るように記録したメモほど後になって宝物になる。

そんなふうだから、どんなに私にはガラクタに見えたとしても、現在私と同居する二名の人物にとっての宝物であるかもしれない存在を、断りなしに整理したり捨てたりすることはできない。当然、室内は片付くことはないが、そんな空間を共有できる間柄を貴重に思う今日この頃。





2011年8月23日火曜日

時間差で楽しむジンジャーの刺激・ウィルキンソン ドライコーラ

辛口のコーラ、しかも私の大好きなジンジャーの香りが効いたドライコーラが発売されるときき、楽しみにしていた。

普段からミネラルウォーターや緑茶、烏龍茶以外は、スポーツ飲料含めて清涼飲料水をほとんど飲まない理由はその甘さ。甘過ぎることが苦痛。スポーツ飲料もコカコーラも一口目は香りとともに爽快に感じるが、多くは飲めない。

先週発売されたそのウィルキンソン ドライコーラを今日入手。

見た目はコカコーラともペプシともほとんど変わらない。飲む前に鼻を近づけると、そこから揮発してくるものに加速度的に刺激される。「これは面白い」と思い一口。まずコカコーラのような爽快な香りとともに程よい甘味。舌の上でパチパチとはじける力強い炭酸の刺激。「意外にマイルドで爽やか~」と思っていたら、後から時間差でジワーッと追ってくるジンジャーの辛味。まさに昨晩ジンジャー入りスープを食べたあとの感覚とそっくり。

グラスに1杯、およそ200ccくらいをゆっくりと楽しめた。飲んだあとも炭酸とジンジャーの辛味のせいか、幾分身体の中がふわっとしてくる。これはアルコールは飲めないけれど爽快な刺激がほしいという大人向けかも。生姜の辛味が苦手でない方には面白い刺激になりそうで、ある意味、これはこれで炭酸とコーラとジンジャーと甘味がほどよく調合されたカクテルとも言えそう。

ウィルキンソンについて調べて驚く。100年以上の歴史、英国人が発見した兵庫県の炭酸水…など知らなかったことばかり。「ウィルキンソン・100年タンサン 」には、カクテル好きの方にも楽しめる情報が満載。




2011年8月22日月曜日

夏花の香り

夏を彩った花たち。
実際の香りはともかく、咲き姿から香りを想像するのも楽しいものです。







淡いピンクが可憐。寄り添うような花弁の重なりが優雅。バラの一種。








8月にこんなに色鮮やかな紫陽花に出逢えるなんて。まるで宝石のよう。








花弁の色は清楚でも、その形はいかにも妖艶。ミステリアスな白百合。








まっすぐと上を見上げる力強さ。そういえばひまわりもキク科の花。

撮影場所: 北大植物園
撮影日時: 2011,8,18,15:00頃




小樽・レトロな面影の運河と建物

JR札幌から快速で30分。
石狩湾に面し、古くから港湾都市として栄えた小樽。
あちこちにガラス工芸品のお店も見られました。
この地域でなんといっても印象的な風景は運河沿いの道。




訪れた先週金曜日の午前中は気温が26度位まで上がり、強い陽射しが水面にキラキラと反射。かつては札幌よりも人口が多かったこともあったという小樽。行き交う人びとからは中国語も頻繁に飛び交い、この街がアジアでも有数の観光都市であることが感じられました。





上の写真は、小樽駅から一望できる風景です。すぐ向こうに海が見えます。運河沿いを歩いてきて垣間見ることのできた大正時代を彷彿とさせるようなレトロな建物がもうすこしこの風景の中に溶け込んでいたら、さらに素敵だったことでしょう。

早めのランチには小樽駅近くの市場で海鮮メニュー。夏の小樽の味覚、ウニも少々いただきました。生まれて初めて訪れる小樽での2時間は瞬く間に過ぎ、列車から海を眺めながら再び、札幌での仕事に向かいました。


2011年8月21日日曜日

北海道ワイン&チーズ街道サロン

先週の札幌出張で宿泊したホテルには、実に素敵なスポットがありました。

道内のワインの試飲やチーズの試食が楽しめる一角、「北海道ワイン&チーズ街道サロン」です。

ちょっと立ち寄ってみました。





飲めば大好きではあるものの、ほとんどワインの知識がない私にとって、北海道にもこんなに美味しいワインがたくさんあるという事実は嬉しい喜び。確かにヨーロッパの気候風土に似ていますからなるほどとは思いました。

まずキリッとシャープな辛口の白、ということでおたるワインの白をカップで試飲。フレッシュで清々しい風味は必ずや北海道の魚介類を中心とする料理に合いそうです。次に、エキゾチックフレーバーという説明に魅かれて試したミディアムボディの赤も非常にふくよかでフルーティーでした。

ワインもチーズも、その美味しさには気候風土だけではなく、地域の特色を生かした栽培や醸造、発酵にまつわる研究と技術開発への努力が欠かせないのだそうです。店長さんからお話をうかがいながら、北海道ワインについての本も紹介いただき即入手。じっくり読んで、いつか北海道にワイナリー巡りに訪れるのもいいなと思いました。



肌触りは羊の耳・ラムズイヤーの葉

引き続き、北大植物園で出逢った肌触りのよい葉。
まるでビロードのように柔らか。シソ科のラムズイヤーです。







羊の耳を実際に触ったことはありませんがきっとこんなふうに柔らかいのでしょう。銀白色の細かな毛で覆われています。こんな葉ならばきっと寒さにも強いでしょう。あまりに触り心地がよいので何度も触れたくなります。

羊ヶ丘展望台では本物の羊にも会えました。確かに耳は柔らかそうです。







羊ヶ丘展望台へは、まずJR札幌駅から地下鉄東豊線福住駅まで行き、そこからバスに乗り換えて10分。見晴らしのよいのどかな場所です。札幌ドームもこちらから見えました。この羊ヶ丘展望台といえば北海道開拓の父、クラーク博士の像があることでも有名です。








さっぽろ羊ヶ丘展望台オフィシャルサイトはこちら


パウダリーな香りの花に出逢う

北大植物園内、8/18にバラ園周辺で出逢った香る花。







うっすらと淡いピンク色が紅潮した女性の肌のイメージにも重なり、艶やかです。まずはその姿に魅かれ、近づくと白粉のようなパウダリーな甘い香りが漂いました。

調べてみると、どうもクサキョウチクトウのようです。花魁花ともよばれたのだとか。まさに艶やかな女性から匂い立つパウダリーフローラルの香りでした。




2011年8月20日土曜日

緑のシャワーを浴びて・北大植物園を吹き抜ける香り

8月18日午後。JR札幌駅から徒歩10分。
北大植物園(北海道大学北方生物園フィールド科学センター植物園)を訪れました。明治10年、札幌農学校(現北海道大学の前身)教頭ウィリアム・スミス・クラーク博士が開拓使に「植物学の教育には植物園が必要」と進言したのが開園のきっかけとなったそうです。



まずは園内でもっとも感激した緑の風景を。



今もあのみずみずしい葉や樹々の香りが思い起こされます。ひんやりとした空気の中で鬱蒼と茂る緑。わずかながらの陽光が漏れて、空気に穏やかな陰影を映しています。年輪を重ねたニレの樹皮は北の大地の荒々しさと雄大さそのもののようにも感じました。

札幌市の花でもあるというライラックの並木も園内にあります。見頃は5月下旬から6月中旬。ライラックといえばリラという香りの名前を想起。その気配を残した一角の解説の看板から、見頃の花を想像することができました。




富良野のラヴェンダー、北見のミントに加え、北海道の気候風土がもたらす植物環境にはますます魅かれます。

参考資料:
北海道大学植物園 案内リーフレット
(入場時に配布されます)

新千歳空港・朝市食堂の海鮮メニュー

木曜日。翌日の仕事に向けて札幌へ前日入り。
ちょうどお昼ごろに新千歳空港着。
同行した方にすすめられ、ランチにと入ったのがこのお店。




朝獲れたばかりの海鮮いろいろが盛られた丼ものや定食、焼魚など、フレッシュな海の幸そのものをいただくメニュー満載。同じく海の幸に恵まれた富山生まれの私にとっては、どれもこれも美味しそうで迷ってしまいます。お昼どきなので混んでいてしばらく待ちましたが、その間テイクアウトで海鮮おにぎりを購入していくCAの方々の行列も目撃。

迷った挙句、選んだのがかに三昧のこちら。




とにかく新鮮で美味しく、醤油なしでもほどよい塩分がきいた蟹の味はさすがこの地域ならでは。満喫。昔富山にいた頃、新湊や滑川で獲れたばかりの蟹をいただいて即日食べたときの感動を思い起こしました。これほどの量を美味しく頂けるのは爽やか風味の蟹だから。私にはウニやイクラはチョットで十分満足してしまうので、山盛りではトゥーマッチ。海藻のお味噌汁もついてきました。翌日小樽の市場で見た山ほどの蟹からもつくづく感じましたが、北海道に来たならば、まずはフレッシュな蟹を食べないと。




2011年8月17日水曜日

柔らかな白いレースのように・ジェシカ シンプソン ファンシーラブ

貝ボタンの白ブラウスをたたんでいたら、思い起こした香り。

それはまるで、肌触りのなめらかな純白の服に包まれているような気分にさせてくれたフレグランス。

ジェシカ シンプソン ファンシーラブ オーデパルファム。




PARFUM158号 には香調についてこんなふうに紹介されています。

…フレッシュなピーチブロッサムとベルガモットとピンクシャンパンのキラキラとしたスパークリングな香りがドキッとさせます。そしてロータス、ピオニー、ローズの香りが愛らしくラストではクリーミィーアンバーとムスクがうっとりさせるようなセンシュアルさを表現…

「キラキラ」「スパークリング」といった鋭角的な印象よりも、私には「クリーミィー」や「うっとり」といったまろやかな印象を感じます。確かにフレッシュな印象ですが角もなくぎこちなくない香り方。肌の上で体温にあたためられるとロマンティックな愛らしさがほのかに立ってきます。

たとえば…この肌の上に身につけるブラウスの純白の輝きを維持することは容易ではないけれど、自分とともに少しでも綺麗でありたい気持ちを忘れないようにしよう、と感じさせてくれる香りです。

香りから知ったので、このブランドの背景はあとから調べました。ジェシカ シンプソンとは、アメリカのシンガーソングライターの女性の名前。彼女の感じ方がモチーフになっているようです。

貝ボタンのブラウス

長袖の白ブラウスを2枚、手洗いする。
20分もあればできる仕事。今の季節であれば1時間で綺麗に乾く。

襟元、袖口など汗染みや皮脂汚れが残りやすいところを揉み洗いしたあとはかるく全体を洗剤の泡で洗い流し、手の力でかるく絞ってから大きなバスタオルに包み込みふわりと包んで軽く外側からおさえ、タオルに水分を移す。襟元、袖口、ボタンラインを伸ばしてからかたちを整えて干す。

何故洗濯機で洗わず、ドライクリーニングにも出さず手洗いしたかと言えば、それは光沢の綺麗な大ぶり(直径2cm以上)の貝ボタンがつけられたブラウスだったから。物理的な刺激や、プレスにかけられるときの高温を考慮してのこと。

白のブラウス、シャツに映える貝ボタンは、光の反射によって時として真珠のようにデリケートな色合いに輝く。生きていた貝の模様に一つとして同一のものはない。まるでジュエリー。

鎌倉シャツ「貝ボタンの魅力とは」には、シャツを引きたてる貝ボタンの魅力とともに、ボタンに使用される代表的な貝についても紹介されている。



2011年8月16日火曜日

桃のコンポート

夏の昼下がり。カフェで選んだ旬のデザート。





桃まるごとひとつ、香り高く。コンポートは、生の桃を桃以上に優雅に仕上げる。添えられたミントの葉は清涼感を増して甘さを引きたてるし、ヴァニラアイスクリームはクリーミーなまろやかさを溶け込ませる。

桃の香りには幸福感という言葉がよく似合う。かつてトレゾァという香水に初めて出会ったとき、バラのなめらかな香りを引きたたせるピーチや杏を感じた。
今読んでいる調香師の著書に、彼の香料コレクションが列記されているのだが、その中に、アルデヒドc-14(ピーチアルデヒド)という名称の香料がある。これはまさに桃の主要な香気成分。きっと多くの名香に含まれているにちがいない、と想像。


2011年8月15日月曜日

時を刻む透明なバングル"O"を着る

先週、そのビジュアルで魅かれていたイッセイ ミヤケの新作時計"O"。
こちらのブログで書いていたとおりのテクスチュアを自分の左手で確認したその日のうちに、"O"は私にとって、時を刻む透明なバングルとなりました。







合わせた白のブラウスは、"Ecume de Vie(生命の泡)"をテーマに、フランス在住女性デザイナーによってデザインされたノースリーブ。昨日はちょうど海の近くを訪れる予定でもあり、ごく自然にこのブラウスを選んでいました。

今は夏ですから、透明なバングルが映し出すのは私の肌の色そのものであったりしますが、秋が深まり冬になると重ね着の繊維のテクスチュアに溶け込んでくれそうです。時間は見えないけれど、確実に過ぎて行く…周囲の風景を変化させながら。シルバーの時計盤が隠れていたら、遠くからは、一瞬の光の輝きにしか見えないかもしれません。




「ひまわりのワルツ」と温かな涙

茅ヶ崎へ。

AGTC (Akiko Grace Trio Collective) Summer Jazz 2011 in Chigasaki後半2曲目、「ひまわりのワルツ」が始まると、はらはらと涙がとまらない。

この曲をライヴで聴くのは初めてではない。ただ、グレースさん作曲・演奏のメロディに立花裕人さんの歌詞がのり、それを声楽家の日向由子さんが歌われるのを聴くのは今回初。

言葉で説明のできない、内側からの波のようなものが押し寄せてきた。
さまざまな、映像にもならない記憶がひとしきり流れたあと…
どういうわけか、かつて自分が幼少期、思春期ともう少しで命を危ぶまれたときのことを思い起こしていた。どちらのときも、自分では危機の瞬間全く死を意識していなかったが、後になって周囲の人から「無事でよかった」と伝えられたことを憶えている。
ハンカチで拭ってもぬぐっても、後からあとから流れる涙。
きりがないので曲が終わるまで流れたままにしてしまった。

曲が終わったあと
「私は今、生きている」
とただ、はっきりと感じた。そして、その明白な事実に感動した。




私がこれまでに肉眼で眺めて最高に感動したひまわりは上記写真。2年前の夏にブルガリアの首都ソフィアから、バラの谷と呼ばれるカザンラクへ向かう途中の1シーン。この、どこまでも続くひまわりの海は天空にまで昇りそうだ。

「ひまわりのワルツ」"Waltz of Sunflower the Firmament Resonates with" は、2009年1月に発売された、Akiko Graceアルバム「ピアノリウム」の5曲目に収録されている。


2011年8月13日土曜日

「匂いを讀む」(吉本隆明 著・光芒社) を読み直す

時を経て、私が幾度も読み直す本の一冊をご紹介。

吉本隆明の著書で「匂いを讀む」。




これは、1990年から1996年の間、断続的に香りの専門誌"PARFUM"
に連載された吉本氏の文章と、香水評論家でありこの雑誌の編集長である平田幸子氏と吉本氏との対談がまとめられたもので、1999年に刊行された。

この本は、「匂ひ」という古語について吉本氏が3冊の古語辞典を引用し解説する文章で始まる。さらに日本文学史上、この言葉の使われ方が変化した時期があったことについて「古今集の匂い」の章の冒頭にて次のように記されている。


『万葉集』と『古今和歌集』のちがいは?こうたずねられたら、ここではただひとつ「にほひ」とか「香り」という言葉が、光や色に染みた雰囲気の意味と、嗅覚に感じる匂いの意味とに分かれる以前の歌集と、分かれた以後の歌集のちがいだ、そう答えるのがいちばんいい気がする。


さらに著書は、日本文学の中における「匂い」の表現について、源氏物語をその表現の卓越したものの筆頭に挙げ、さらには近代以降、夏目漱石、芥川龍之介らの小説中にみられる細やかな描写を多く引用。はっとするほどリアルに、匂い漂う空気が想像できるそれらの表現に改めて、読書の中で、言葉から「匂いを讀む」面白さを思い起こす。

「現代における匂いとは何か」と題された吉本氏と平田氏の対談もリアルな空気に満ちている。吉本氏が日頃から人が身につける香水について考えていることをズバリ平田氏に問いかけるところから始まる。日頃それぞれのご専門を深く探求されている姿勢が、互いに一方の専門分野という未知への好奇心にあふれて際立つ。この対談も何度読み返しても面白い。



リゾート気分に浸りたいバスタイム・THANN ジャスミンシャワークリームRC

お盆。そろそろ夏の疲れを一掃し、次の季節へ気分を変えていきたい。

気分を変えるために効果的なのは、日常の中にさりげなく非日常タイムを設けること…たとえばバスタイムの香りを変えてみるのも良いのでは?
これまで猛暑でとかくクールダウンが求められ、ミントやシトラス系の香りで涼を得ていた人も多いはず。

「フローラルの香りといえば、ローズのものは圧倒的に多いのに、ジャスミンの香りをメインにした石鹸やシャンプーは日本になかなか無くて…つい海外で探してしまう…」

こんなことを以前、ジャスミンファンの知人が言っていたが、そんなジャスミンファン待望のアイテムが今夏日本に登場。

「アジア唯一の自然派化粧品ブランド THANN 東京ミッドタウンに期間限定ショップオープン」("OPENERS" 2011,8,12 )は、嬉しいニュース。


天然ジャスミンの香りはそれはそれはゴージャス。暑い国インドの夜にきらめく白い星のように楚々と咲く花、ジャスミンの香料はなめらかに華やかな香りを漂わせ、気分を高めてくれる。この香り、女性にも人気があるのはもちろん、男性にもファンは多い。少なくとも私の教え子の男性の中には毎年決定的(その人にとってのNo.1)なジャスミンファンが出現。このような人気は花香ではローズと双璧を成し、さすが香水に欠かせない香料と日々実感。

もちろんローズ好きの方にもおすすめ。このジャスミンの残り香のするボディにローズメインのフローラルフレグランスをまとったとしてもきっと調和するはずだから。これはまさしく香りの重ね着。

晩夏のバスタイム、リゾート気分に浸れたら、心も元気になれそう。




2011年8月11日木曜日

ナッツ色々・異文化出身

昨日、自由が丘Fève のお菓子、「カシューナッツ × フランボワーズ」を頂きました。
ピンク色にコーティングされたふくふくとしたかたち。爽やかな甘酸っぱさにくるまれて、カシューナッツ本来の柔らかな甘みがひきたっています。

そういえば、大好きなアーモンドのことは良く知っていたつもりでも、カシューナッツのことはほとんど知らず…しらべてみたところ、日本ナッツ協会 のサイトを発見。このサイトからさらにクルミやヘーゼルナッツの協会へもリンクがはられています。こちらも見るとさらに詳しく背景がわかります。

よく、「ミックスナッツ」という名称でまとめられてしまうナッツ達ではありますが、実はそれぞれ植物科名も違えば出身地も違い、その歴史背景も違うことがこの日本ナッツ協会のサイトでよくわかります。

まず、私の大好きなアーモンドがバラ科、
カシューとピスタチオが果物のマンゴーと同じくウルシ科、
マカダミアはヤマモガシ科。
ピーナッツはナッツ協会の分類の中に入っていなかったのですがマメ科。

クルミはどうやら豊臣秀吉の朝鮮攻めがきっかけで日本に入ってきたらしく、この戦争の影響で日本からは朝鮮に唐辛子が入り、代わりにクルミが入ってきたのかと思うと、ここにも異文化交流があったかと驚きです。

ヘーゼルナッツといえば美味しいプラリネを思い起こし、プラリネといえばこれが含まれたジャンドゥーヤというチョコレートが有名です。主産地トルコのヘーゼルナッツがフランス人によってプラリネとなり、これがイタリアの地でジャンドゥーヤとなる…。ナッツ抜きにお菓子のことは語れそうにないです。

とにかく数粒食べるだけで元気になれることを実感しているナッツ達ですが、アレルギーの配慮も必要とのこと。アロマテラピートリートメント用に精油を希釈する際に使用される植物油もナッツオイルが多く、初めて皮膚に使用する人には精油同様パッチテストをしていただきます。問題がなければ頼もしい元気の素になるでしょう。




2011年8月10日水曜日

ローズウォーターで鎮められた夏肌

本日も続く猛暑。
外は強烈な陽射しと熱風。

夏の外出時、日焼け止め対策が甘かったのかちょっと肌が赤く火照ってしまうようなことが時々ありますが、こんなとき、私には経験上、ローズウォーター(ダマスクローズの芳香蒸留水)の冷湿布でラクになることがわかっています。

一昨年の夏、ブルガリアに出張したとき、精油製造メーカーの方から、ダマスクローズを蒸留して得られた芳香蒸留水のボトルをいただきました。日本で買っていたものよりも遥かに香り高いのは
「さすが本場ブルガリアで蒸留したてのものだから?」
と嬉しかったことを憶えています。

帰国後、日本の猛暑の日々の中、疲れを癒すためにも冷蔵庫で冷やしたローズウォーターをシャワー後の肌(特に顔面)にしみこませるように両手で浸透させました。その瞬間ももちろん心地よいのですが、徐々に火照りが引いていき、ピリピリと緊張していた肌が静かに鎮められ、気分とともに落ち着いていったのです。私だけではなく、これをお裾分けした知人数名からも心地よいと好評でした。サッカーで毎日赤黒く焼けて帰宅する家人にももちろん好評。よほど好印象だったのか、夏になるたびにリクエストされます。

そして、先日も顔面や腕を真っ赤に日焼けして痛いという人たちにこのローズウォーターをおすすめしてみたところ、後日御礼を言われました。
「とにかく痛みが鎮まって心地よく、それ以上皮膚がひどい状態にはならなかった、冷たいローズウォーターをつけたときの感触は最高…」

以前は日焼けといえばラベンダー精油を数滴たらした冷水でしぼったタオルケットによる冷湿布をよく行なっていたのですが、香り成分が凝縮された精油ゆえに顔面などのデリケートな皮膚に対して気軽にすすめにくい場合もあります。でも、精油よりも香りもずっとマイルドで化粧水の基材としてもつかわれるローズウォーターであればリスクは軽減。パッチテストでかぶれやトラブルがないことを確かめられたら、大いに夏肌の味方となるでしょう。

花の力に改めて感謝する夏の日々。




2011年8月9日火曜日

水の香りの佇まい・イッセイ ミヤケ青山店にて新作時計"O" 特別展示

東京でこの夏最も暑い朝、と言われた今日。

静謐な佇まいのデザインに心魅かれた。
光を受けた波紋そのままに切り取られたような水のかたち。

イッセイ ミヤケ 青山店で吉岡徳仁デザインの時計 "O" (オー)の特別展示開催のニュースには、パリ店内でのディスプレイ写真が掲載。

波紋の魅力は、一瞬ごとに光が集める周囲の色、かたちの反射である。
水が透明であればあるほど、その予測のつかない、見えないはずの空気の痕跡が視覚化される。

かつてイッセイ ミヤケ ブランドから、水という名の初のフレグランスが発売されたとき、クリアな水と空気のみが映し得る、植物の生まれたての香りのようなものを感じ迷わず入手した。フレグランスはもちろん、ソープが素晴らしかった。

あの水の香りさながらに、新作時計のディスプレイに魅かれたからには、展示期間中の8/11~31の間、是非リアルに見てみたいと思う。




コアントロー ~ オレンジ果皮 ~ キュラソー島

カクテル「ホワイト・レディ」に使われるリキュールのことで質問を受けた。ベースはジン、そしてリキュールはホワイト・キュラソーと呼ばれるオレンジの香りが活かされたリキュールが使われる。代表的なホワイト・キュラソーとして1849年創業フランスの「コワントロー」が挙げられる。

あれは…私が専門学校のフレーバー&フレグランスコースの学生にアロマテラピーの授業を提供するようになって2年目のこと、オレンジの果皮の精油の香りについて解説する際、

「オレンジの香り、といえばコアントロー、知っている人いますか?」

と聞いたところ、さすが香りの専門コースを目指してくるような学生の集まりだけあって、眼を輝かせながら反応した数名がいたことを今も思い起こす。

COINTREAU (コワントロー)のサイト中、HERITAGE SECRET
をご覧いただくと、簡潔な英語によりその豊かな香りの秘密を知ることができる。香りの主原料は、ビターオレンジとスイートオレンジの果皮。これらをこだわりの方法により蒸留している。画面の周囲に白い花が見られるが、これはオレンジフラワーではないだろうか。想像するに、この花のエッセンスも使用されていると見た。ビターオレンジの花から得られる香料、ネロリの面影が、どことなく「ホワイト・レディ」の余韻から漂う清楚なイメージと重なる。

「ホワイト・レディ」を口にするということは、ジンからはほのかにジュニパー・ベリーの香り、ホワイト・キュラソーからはオレンジの香り、レモンジュースからはレモン…とこれだけのハーモニーを堪能するということになる。
奥深い。

さて、キュラソー。この名称の由来を知らない私は、もしかしたらこれは世界のどこかの地名ではないかと感じ、「キュラソー・ 地名」と二つの言葉で同時検索してみた。やはり。そこで発見したのは「キュラソー島」。カリブ海南部、南アメリカ北東部、ベネズエラの北方の島だった。この島の産物であるオレンジの果皮がリキュールの香りに使用されたことから、島の名前がつけられたらしい。

この辺りの島々は、大航海時代の覇者、スペインやポルトガルに発見され支配された時期を持つところも多いことを思い起こす。「キュラソー」という言葉もきっとそのあたりに端を発するのだろう。

「コアントロー」自体は創始者の名前であった。「キュラソー」は地名。このところ、魅力的な味や香りのルーツをたどると世界地理の視野が拡がって楽しい。



2011年8月7日日曜日

晩夏に癒された乳白色のカクテル・ホワイトレディ


晩夏の気配。

初めて「ホワイトレディ」を口にしたのは夏の終わり頃だった。
特にカクテルに詳しくもなかった私は、ジンベースで爽やかな香りのものを、と探し、ネーミングの響きでこれを選んだような記憶がある。

乾いたジンの刺激が柑橘の清涼感と甘さとで程よく柔らかくまとまり、夏の疲れをほどいてくれた。誰かと待ち合わせをしていて早く着いてしまったときもよくこれをオーダーした。

ジンとホワイトキュラソーとレモンジュースでつくられるこの「ホワイトレディ」のベースがブランデーになると、名前が「サイドカー」になる。こちらも好きなカクテルの一つ。個人的に「サイドカー」は秋から冬にかけてオーダーすることが多かった。

お酒は量より質、と感じはじめた時期に出会ったカクテルの数々は、ゆっくと香りをたのしみながら過ごす時間の大切さも教えてくれたと回想。



天然と合成・どちらも必要な香料の世界

昨日、Twitter上でこんな質問を受けた。
「天然香料ってなんですか?天然だから安心というようなイメージがありますが天然と合成でそんなに安心感のイメージが違うのでしょうか…」

そこで日本香料工業会 のサイトをご紹介してみた。IFRAという、製品への香料使用における安全基準に関する国際的な機関があることを思い起こし、このキーワードを辿って発見したサイトである。

香料は何か、に始まり、その種類、皮膚に使用される化粧品、フレグランスはもちろんのこと、食物に使用されるフレーバーに至るまでわかりやすく説明されている。だから質問には次のように答えてみた。

ご参考までに日本香料工業会のサイトを。
特に(香料の原料・天然香料と合成香料) (フレーバーの安全性) 。サイト全体を丁寧に読んで頂くと天然も合成も偏見抜きで理解頂けるかもしれません。


翌日、よく理解できたとのご返事をいただきひとまず安心。

確かにアロマテラピーの普及の影響で天然由来の香りの良さが見直されたことは喜ばしいと思う一方、合成香料を敵視する風潮を感じたこともあった。でも冷静に正しい知識をもちたい。どちらも人の生活に役立っている。天然とはいえ、適切な使用方法や適量をまもらなければ不快にも危険にもなり得る。それはアロマテラピーを学んだ人であれば理解されているだろう。皮膚に使用される香料、食品に添加される香料は安全性が研究された上で法律に従って使用されている。ゆえに単純に天然だから安心とか、合成だから危険ということは言えず、それぞれの特性と使用目的に合った使われ方がなされているかを見極め、さらに個々の体質に合うかも確認するという姿勢が求められるのではないかと思う。


2011年8月5日金曜日

フランスで1000年以上愛されている風味・"COMTÉ"(チーズ)

昨日のブログでこう書いていた。
「香りは、土地の自然を反映する。そこに住む人の文化も。」

そこで連想したのが、私の好きなフランスのFromage(チーズ)の一種、COMTÉ
このコンテ、カマンベールとともに、名称はフランスの地名に由来する。

上記でリンクをはってご紹介のサイトは素晴らしい。動画も豊富で非常に興味深い内容。このチーズがいかにフランスのある地域(フランシュ・コンテ地方に広がるアルプスに近いジュラ山脈)の気候風土と、繊細な香りとコクを大切にするフランス人の嗜好性を反映したものかが良くわかる。こういう背景の紹介こそが、"Context"を大切にする姿勢ではないかと思う。("Context"については私の8/3のブログ 中の1を参照)

チーズはフランス料理のコースでは最後のデザートの手前ですすめられるもの。何種類もあるチーズから好きなものを切り分けてもらうのは楽しい。私の場合は、このチーズで満足してしまい、デザートが要らなくなってしまうこともある。

先日、輸入食材専門店で幸運にも16ヶ月熟成のコンテに出会い、殻付きアーモンド とともに即購入した。独特のコクと香りは絶対に私の好きなアーモンドに合うはずと確信して。

予感は大当たりで、ここ数日の多忙の合間の軽食では、パンとコンテとアーモンドの組み合わせに癒された。ついワインを飲みたくなる味でもあるが、そんなことをしてしまったら仕事など止めたくなってしまうので我慢。でも軽くトーストしたフランスパンの小麦の香ばしさと、コンテ&アーモンドのフレーバーだけでも十分幸せな気持ちだった。



2011年8月4日木曜日

思い出のイタリア香水3種の名前は地名から

先日、日本調香技術普及協会のセミナーを受講していたら、私が現在使用中のフレグランスのトップノートにイタリアンウィンターレモンが使用されていることを改めて確認。調香師の方からウィンターレモン香料自体の香りも試させていただいた。冬の厳しさにも負けない凛とした清涼感。シシリー産とのこと。季節によって果皮の色も香りも変わる。レモンといってもこれは冬の時期。シシリーという特定の場所、冬という特定の時期。

さてイタリア。ベルガモット、レモン、オレンジ、ネロリ…柑橘系の香りといえばこの国の特徴の一つかもしれない。

香りは土地の自然を反映する。そこに住む人の文化も。

私の記憶に深く残っているイタリアの香水が3種ある。
3種ともイタリアの地名に由来する。どれもトップノートにはイタリアならではの柑橘の香りが使用されている。以下にその名称と発売された時期をあげておきたい。

「ローマ」(ラウラ・ビアジョッティ)1988
淡くあたたかなピンク色の液体は柔らかく深々と女性の肌に溶け込みそうな香りを漂わす。私が使用していたのは1991年の夏から秋。ファッション誌編集者としてこの年の10月にミラノへ取材旅行に出掛けた。その後何年も日本では見かけなかったが、一昨年夏、ウィーンの空港で再会した。

「シシリー」(ドルチェ・ガッバーナ)2003
真っ黒なボックスから現れるレモンのような黄金色。シシリー産ベルガモットがシャープな香り立ちを誘導しつつ、蜂蜜のような甘さと夜に漂う妖艶な花の官能美へと誘う。自信に満ち溢れた女性に似合うと思った。イメージモデルはモニカ・ベルッチ。何か特別な出来事を予感した日、真っ白のトップスを着用した時に不意に使用したことが何度かあった。

「タスカン・ソウル」(サルヴァトーレ・フェラガモ)2008
その名は「トスカーナの魂」を表す。白色の箱の上下の色は今でも忘れられない光沢のあるオレンジ色。ボトルキャップもこの色で、香りもこの色彩イメージを裏切らないものだった。この香りを体感したとき私は、穏やかな陽光、実り豊かな果樹園の風景、洗練された日常生活を想像。男性も女性もシェアできる。カジュアルなスタイルの中にもエレガントな気分を保てる香りを感じた。

私はイタリアといっても、ミラノとフィレンツェしか訪れたことがない。ローマもシチリアもトスカーナも、いつか訪れることがあれば、思い出の3種の香りの一端を感じたいと思う。




2011年8月3日水曜日

"Contents" だけでなく "Context"の伝達を


社団法人 ザ・ファッショングループ 主催、尾原蓉子氏による講演会「これからのファッション・ビジネスを動かす7大潮流ー『感性価値創造』が成功の鍵ー」を昨夜拝聴した。

尾原蓉子氏の講演会受講はこれで2回目。1回目の感想は4月のこちらのブログ にまとめている。昨夜のお話は、 これからのファッションビジネスの方向性というテーマにおいて、4月の内容がさらに深く掘りさげられた内容であったと思う。21世紀初頭、今このタイミングで生きるものが向かうべき道の入り口が見えたような気がした。

以下、昨夜の内容から私の脳裏に深く刻まれたフレーズ二つをご紹介しながら私の解釈と個人的に想起できた事柄を記録しておきたい。

1.感性価値創造に不可欠なもの ⇨ "Contents" だけでなく "Context"の伝達

例えば日本のある一部の人達aに人気のある製品Aがあるとする。それでは、Aの存在を知らず、aとは異なるライフスタイルや嗜好を持つ人達bにAの価値を伝えるにはどうしたらよいか。ただAを店頭に並べるだけで価値は伝わるだろうか?否。困難である。ましてや、異なる言語を用い、異なる環境、文化背景の中で価値観を築いている外国人に瞬時に伝えることは極めて難しい。
製品Aが "Contents"(製品内容そのもの)であるとするならば、Aの意味すること、すなわちAがこの世に製品として登場し、支持されてきた背景、どんなときに必要とされ、どんなときにどんな場所において人にハッピーをもたらしているのか、これが "Context"(前後関係、状況、背景)である。これをいかにわかり易く丁寧に伝えられるかは、今後ファッション業界に限らず、日本が積極的に異国でビジネスを展開していく上でも極めて重要な視点であると思う。ちょうどその必要性を説くテーマの書籍が先週末に発刊されたばかりなのでここにその書名を紹介しておきたい。
書名:「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?
著者: 安西洋之・中林鉄太郎
発行: 日経BP社

2. 企業の社会的役割・責任の拡大 ⇨ 事業性と社会性の同時達成

事例として挙げられた企業のうち、神戸市に本社を持つ株式会社フェリシモが掲げているというヴィジョン「もっと・ずっと・きっと」が印象的。この言葉から私は、1に挙げた "Context"の考え方から、こんなふうに言い換えることも可能ではないかと感じた。

「(これまでごく一部の人しか感じていなかった幸せを)もっと(多くの人に)
ずっと (文化や考え方の違いを踏まえてその価値の背景を伝え続ければ)
きっと(その価値をこれまでより広い世界で共有できるだろう)」

フェリシモは、私が監修をつとめるブランド、パレチカ の販売におけるビジネスパートナーでもある。ブルガリアと日本の外交復興50周年であった2009年より、ブルガリアが世界に誇るダマスクローズの天然香料を収穫⇨抽出したその年に先行予約で欲しい人にお届けするという企画に協力いただき今年で3年目を迎えている。





香りの映像美・ボッテガ・ヴェネタ初のフレグランス

ボッテガ・ヴェネタ ブランド初のウィメンズフレグランス発表に合わせて公開!…(OPENERS 2011,7,27) の記事にアップされている映像が非常に印象的で素敵。

控えめながらもフレグランスのもつ官能性や記憶に残る美しい思い出といった世界観が、淡々と映し出されている。

空、海、風、髪、スカートからのぞく足元。
砂浜に刻まれた足跡は…
一人の女性、風を切るその女性の傍らに一人の男性。
肌。フレグランス。眼差し。

香りが紡ぎ出す時間の動きと気持ちの高まりは、かけがえのない思い出となって残る。フレグランスが体感させてくれる本質的な価値を視覚表現しているこのブランドには改めて魅かれる。果たして期待通り、この香りがブランドイメージを忠実に語り、その価値をさらに引き上げていくのだろうか。

秋に日本で出会える日が楽しみだ。

秋、革製品ブランド、イタリア…で私の記憶に蘇るのは20代の頃取材で訪れたミラノでの国際革製品見本市 "MIPEL"。ボッテガ・ヴェネタの製品も展示されていたのだろう…と回想。





2011年8月1日月曜日

ピンクペッパー・小気味良く香るアクセント

今朝は、ピンクペッパーの精油でリフレッシュ。
ティシュに1滴。ほのかにピリリとクールな風。
どことなく甘酸っぱいような、ほろ苦いような。
ペッパーといっても、辛味ではなく、引き締められるような小気味良さ。

コショウ科のブラックペッパーとは異なり、科名はウルシ科。
初めてこのスパイスを意識したのはフランス料理のコースで肉料理に使われていたとき。真っ赤な色とともに味が引き締まる爽やかさを感じたことを憶えています。その後、知人の料理人に教えていただき、この赤い実をチョコレートケーキの上に絞るようにまぶして食す美味しさも知りました。チョコの甘さとほろ苦さが色どりと共に引きたてられています。



このピンクペッパーの精油を購入したのは昨年秋。当時発売されたばかりのフレグランス、「ラブ クロエ」のトップノートに使われていることに興味をもったのでした。この「ラブ クロエ」はパウダリックな甘さが特徴ですが、トップにこのピンクペッパー効果なのか、切れのよい香りの変化が感じられます。他にもフローラル系のフレグランスのアクセントとして使われていることが多いようです。

アロマテラピーとしても、リフレッシュのためというのはもちろんのこと、空気の浄化を兼ねた楽しい気分の演出に他のスパイス系精油とブレンドして焚いてみても良さそうです。今後色々と試してみたいと思います。