2011年6月8日水曜日
香水のゴールデンルール・読後2
香水のゴールデンルール・読後1でご紹介した本の著者である新間美也さんに昨日お会いすることができました。国際香りと文化の会 における講演会「フランス香水事情 ~香りの嗜好と香りの流行をめぐって~」講師としてたっぷり90分間、様々な香水や貴重な合成香料の香り鑑賞とともに、興味深い内容をお話しいただきました。
調香師として、香りを愛する繊細さとともに、自分だけではなく第三者にもその世界を知って喜んでもらいたいという情熱と誠実さにあふれたお人柄。実際にお会いして深く実感できました。このような女性が、生まれ育った日本とは異なる国フランスを拠点とし、日本とフランスを頻繁に行き来されながら活動されていることを私は非常に嬉しく思います。改めて「香水のゴールデンルール」を永久保存版にしたいという思いが強まり、さらに多くの人にもお勧めしたいと感じています。
ご講演内容から私が特に共感できた部分を挙げ、*にコメントを記します。
1,日本人に大変好まれるレモンの香りが、フランス人のおよそ半分に好まれないという事実…最近発売されたフランスの某ブランド香水も軽やかで日本ではかなり人気があるようなのに、本国では「ちょっと物足りないね」の反応。
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…ものを綺麗にするという用途で使われることの多いレモン。第一印象の鋭さとあいまって機能が最初にイメージされやすいですから、私もレモンの香りとしては嫌いではありませんがあえて意図的に周囲に香らせたり身に纏う香りとしては使わなかったなと回想。フランスではすでに生活の中で空間や食事のあらゆるところで香りを意識してふんだんに活用していますから、こういう反応が出てくるのもわかる気がします。逆に日本では、実際には香りが存在しても感じられるか感じられないかの微かさが好まれるというか、はっきり意識することが嫌悪に結びつくこともあるというか。レモンは明らかに食品として安全なイメージもあり安心感がありますし、揮発が早く鮮烈ながら後まで残らない軽やかさがあります。「クセがない」とか「後味スッキリ、キレがいい」などが褒め言葉として存在する日本ではレモンは愛されるのでしょう。
2,香水が、嗜好に深く関わるものだからこそ可能となる香水の選び方がある。フランスでも香水販売員に教育される、パーソナリティ(スタイル)からの香水の選び方。…文化を超えての活用も可能。
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…この考え方は、香水に関する香りの専門用語を特に知らない方であっても、着るもの、身につけるもの全般において自分の見せ方や表現を考えている人にはわかりやすい目安になると思います。「自分はどんな立場でどんな場所で、いつ何をするために、どのような存在でありたいか。」この考えがハッキリ言える人であれば、それらのイメージに属する香りのカテゴリーから試していくことができるということです。自分の見せ方、ファッションに敏感な人から真っ先にフレグランスが好まれ愛好されるわけです。
そして改めて「香水のゴールデンルール」を読み返しました。第一印象で魅かれたパーソナリティのページはやはり、自分にあてはめても思い当たることが多く、これならば香水に詳しくない方にとっても選び方の指針になると納得できました。すでに香りの知識のある人は、「ノート(香調)で選ぶ」からも楽しめます。用語説明も調香師ならではの専門性が、日本とフランス両国の文化を知る新間さんならではの視点で磨かれ、わかりやすく表現されています。
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