2023年5月14日日曜日

千早茜 著『透明な夜の香り』と『赤い月の香り』を読む




新月の夜に読み始めた文庫本、

透明な夜の香り(千早茜 著)。




















C’est l’histoire d'un parfumeur à l'odorat exceptionnel.

それは類稀な嗅覚を持つ調香師の物語。



1章「Top Note」から

終章「Last Note」まで全8章。

最初の印象が暗示する秘密を

文章から想像する香りとともに

脳内で紡いでいく面白さ。


登場人物たちの

研ぎ澄まされた感覚の応酬が

実に細やかでドラマティック。

一読後、改めて

タイトルが示す香りに

近い印象と感じるフレグランスを

無性に纏いたくなった。




一週間後。

同著者による最新作で

上記作品の続編となる

赤い月の香り

を発売日に入手し,夢中で読む。






















今回も全8章、

1章「New Moon」から

終章「Full Moon」まで。

何故月なのか、何故赤いのか。

それは、一読した人の

記憶と想像の中で解けるのかも

しれない。



……


匂いは情報であり、

人によっては

『香り』と認識される。


生きることは

匂いを発するということ。

状態も、行動も、感情も、

一期一会の時間と場所に

漂う匂いと共に。

改めて

むきだしの匂いというものを

この二冊の小説から想像した。


人がフレグランスを纏うとき、

それぞれの匂いに

それぞれの美的感覚で選んだ

フレグランスが

衣服のように纏われている。

そのためには

毎日自身のむきだしの匂いと

ゆっくりと向き合う時間を

持ちたいとも感じる。





…écrit par SAWAROMA









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