“angels’ share”(天使の分け前)。
フランス語では “la part des anges”。
熟成期間中に樽から蒸発する数パーセントの
コニャック(ブランデーの一種)のことを示す。
世界的なコニャック・メゾン、ヘネシー家に生まれ、コニャック セラーに漂う芳潤な香りに包まれて育ったキリアン・ヘネシー。2007年に彼が立ち上げたブランド「キリアン」の新作は、新カテゴリー、“THE LIQUORS”のフレグランス2種。
日本では10月16日に発売された。
https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/departmentstore/topics/1_2_20200923205616/?category=ladies
LIQUORSとは蒸留酒。
飲む香水ともいうべき蒸留酒の代表格とも呼びたいコニャックとジンをテーマにした香りである。
その一つがANGELS’ SHARE。まさにコニャックの芳潤な香りを彷彿とさせる。あたたかな琥珀色の液体に宿るのは、ブドウからワイン、ワインからブランデー、極上のコニャックへと磨きあげられた過程で生まれた芳潤な香り。
熟成された香りとは、複雑でありながらもまろやかなもの。柔らかくなめらかである。単純に、甘い、などとは表現できない。もちろん甘さもあるが、それは樽というウッディな存在が育てた温もりであり、ブドウから生まれた花や果実、スパイスやナッツなどを彷彿とさせるブーケの余韻でもある。
ムエットに染み込ませて4日も経つというのに、その優雅な温もりは消えていない。皮膚に乗せて衣服を重ね、体温であたためて柔らかな動作とともに一瞬香らせてみたいと思う。
一方の、ROSES ON ICE。
このネーミングも、ジンの香りを愛する人間にはたまらないその魅力を思い起こさせる。
ジュニパーベリーから生み出される爽快な風味が極上のジンにライムを絞りひと口。ふわり薔薇のようなフローラルな香りを幻覚のように感じることが時折ある。まさにその至福の一瞬を再現したようなフレグランスである。
液体がきらびやかに反射するボトル。
まるで本物のリカーを楽しんでいるような
気分に満たされる。
琥珀色のあたたかな炎を眺めているような、
あるいは、
淡いブルーの静かな冷気でリフレッシュ
させるような存在感をもつボトル。
香りも眺めも見事な今年の逸品と言いたい。
…écrit par 《SAWAROMA》
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