2013年9月20日金曜日
『努力する人間になってはいけないー学校と仕事と社会の新人論』(芦田宏直 著) を讀む
『努力する人間になってはいけないー学校と仕事と社会の新人論』(芦田宏直 著・株式会社ロゼッタストーン)
「努力する人間になってはいけない」???
そんなバカな、と思った人にこそ勧めたい。
日頃「努力」という言葉をどう解釈していたかを振り返ることができる。
他にも「先生」「一流」「読書」…そして「可能性」。
こうした言葉への認識を深くえぐられるような感覚に出会える。
とどめは最終章の追悼・吉本隆明。
著者の芦田宏直氏が自らの思想のお父さんのようなもの、と記す
吉本隆明とは、『言語にとって美とはなにか』の著者である。
そして、私にとって何度も読み返す1冊となった本の著者でもあった。
「匂いを讀む」(吉本隆明 著・光芒社) を読み直す
これでもかと言葉のみで伝え切ろうとする一冊。分厚い。
しかしながら偶発的に開いたどのページも期待を裏切らない。
言葉で生きている人間ならば必ず響くフレーズがある。
まるで話しかけられているように。
まさに、と頷くこともあれば
まさか、と驚きや疑問、発見へと豊かに繋がっていく…。
私はこの本に書かれていた内容の多くを
著者のブログやツイッターへの投稿で読んでいた。(と思っていた。)
購入の動機の一つは、それらをいつでも一冊の本として自由に読める
楽しみのためだったと思う。
しかし、そんな既視感への期待は最初から裏切られる。
冒頭、引用されたハイデガーの文章。
「人間の嗅覚とは、…」に始まる文章は初めて目にするものではあったが
私が20年来仕事を通して考えてきたことが言葉で明瞭に表現されていた。
著者なくして私はこのハイデガーの言葉に出会うことはなかったと思うと
この本のデビューに感謝する。
目次10章のタイトルとその順序自体が、現代を物語っている。
この現代という時代の登場人物の中でも
未だ「社会人」となっていない学生を筆頭に
かれらの教育に関わる全ての人たちには特に読んで欲しい。
なぜならば、かれらは次の「現代」をつくる人たちであるのだから。
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