4つの花の物語・LES SOLIFLORES par ANNICK GOUTALで改めてスミレをテーマにしたフレグランスに触れ
ちょうど知りたいと思っていたことを
絶妙のタイミングで知る機会に恵まれました。
日本調香技術普及協会
の6月29日講演会のテーマは二つ。
1.『知っていそうで知らない、すみれの話』
田淵誠也氏(日本すみれ研究会 事務局長)
2.『トゥーレットのニオイスミレ』
佐野孝太氏(曽田香料株式会社フレグランス開発部長)
すみれ。菫。ヴァイオレット。
この、鮮やかな濃い紫色の、楚々とした可憐な花について
私が知っていたことなどほんの僅かでした。
程良くお化粧をした大人の上品な女性を思わせる粉っぽい香り…
どこか懐かしく奥深い香りを醸し出すその花の天然香料は
かつては作られていたものの
今や香料として市場に流通するような作られ方はされておらず
合成で表現されている…その葉も貴重な香料原料のはず…。
植物としてのすみれの専門家である田淵先生のお話を聴講し
この花の秘密をいくつも知りました。
・種類が多い。スミレ科スミレ属で世界に約500種、日本には55種ある。
・においのあるものもあればほとんど無いものある。
・いわゆる花びらが開かない状態でも種を作ることができる。
・蟻の好むものを提供するかわりに蟻に種を運ばせる。
そして、調香師である佐野先生からは
香料抽出に用いられるニオイスミレ(学名 viola odorata) の
代表的栽培地である南フランス、トゥーレットでの
花からのアブソリュート抽出体験のお話を聴きました。
昔は花から温浸法で香料を抽出していたそうですが
現在では行われなくなり
栽培されたニオイスミレの花はブーケ用、砂糖菓子用となります。
香料は葉からアブソリュートが抽出されているそうで
その収率も0.04%と低く価格はかなり高価とのこと。
このヴァイオレットリーフアブソリュート。
10%希釈で鑑賞いたしました。
確かにパワフルなグリーン。どこなく和を感じさせる滑らかな奥深さ。
これはかつて私が好きになった
幾つかのフレグランスの余韻の中にもありました。
毎年3月第2日曜日には
スミレの町トゥーレットでは
スミレ祭り(FETE DES VIOLETTES)が行われているのだとか。
素敵です。
もし私が地中海沿岸に住んでいたら
3月は南仏へスミレ祭り、
6月はブルガリアへバラ祭りへと旅をすることでしょう。
さて
帰宅後、コチラ でご紹介した本を開きました。
「ヴァイオレット」のページには
紀元前4世紀に植物学の祖であるテオフラストスによる
この植物への言及があったと記されていました。
そして
フレグランス「パリジェンヌ(2009)/イヴ・サンローラン」を
調香したソフィー・ラベによる香料ヴァイオレットの魅力が綴られています。
今回のように
スミレを植物として専門に研究されている職業の方と
香りの専門家である調香師の方のお話を続けて聴くことで
有機体としての香りの知識を立体的に深めるきっかけになったと
思います。
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