2012年4月30日月曜日

純白のツツジに魅かれて

ツツジの花が咲く季節。
鮮やかなピンクも綺麗ではあるが
私は純白の花びらから、長く妖しくおしべをのばすこの花に魅かれた。



その姿は、蝶が舞う一瞬のよう。
さらに光を集めていた花をとらえる。


ますます上品な曲線に、たおやかな女性の衣装を想像。
はかなげな花びらの繊細な構造に、生きるものの強さを感じる。

たくさんの種類があるといわれるツツジ属。
その学名は、Rhododendron。
Rhodon…これは薔薇を意味するギリシャ語、ときいたことがある。
薔薇のように多様で美しいということなのかもしれない。

ツツジには薔薇のような棘はないが
種類によっては毒性のある成分を含むものあるときく。
ツツジを漢字で書くと
躑躅。
どこかおどろおどろしい。
この由来を調べると、深いミステリーの世界にはまりそう。

これから5月初が見頃。色とりどりのつつじを眺めるならば
関東周辺のつつじの名所 も参考になる。



2012年4月28日土曜日

『ローズ・ベルタン マリー=アントワネットのモード大臣』から回想した二つの物語

もしかして元祖「ファッションデザイナー」のこと?
とタイトルを見て思い、18世紀後半服飾史の資料になるかもと購入しておいた本。
今日ようやく一読することができた。

『ローズ・ベルタン マリー=アントワネットのモード大臣』の表紙は、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによる、フランス王妃マリー=アントワネットの肖像画(ウィーン美術史美術館蔵)。

ただ単に衣装づくりの職人だったのではなく
その時代に生きている人に、その場所の空気にふさわしく
頭の先から足もとまでの装いを誂えることによって美を描いた人物。

ローズ・ベルタンは、自らのそうした美的センス自体を商品と考えた初めての人物だった。その格好のモデルとなった王妃マリー=アントワネットとともに、当時のフランス貴族社会の「景色」を作り出したといってもよいだろう。そしてその需要はベルタンに一つの産業を組織化させ、多くの雇用を発掘させ、フランス国外へもビジネスを展開する必要性と手本を示させることになる。

「ローズ」という名前は本名ではない。
ベルタンの功績に対して後世のひとたちが名付けたという。
その影響力のほどは、一冊を読みながら感じられる。

あらためて感じるのは
人の欲望、美への憧れというエネルギーの果てしないパワーである。
これにより、アントワネットは世の羨望とは裏腹の退屈かつ窮屈な生活から我が身を守ったのかもしれない。
アントワネットのファッションへの浪費が革命を招いたとする批判も多いが、確実にファッションという文化はここで大きく開花し、後世に影響を与えている。

資料として読んでいたはずのこの本から、私は二つの物語を回想した。
一つは小学生の頃に読んだ漫画『ベルサイユのばら』。
もう一つは、ソフィア・コッポラ監督、キルスティン・ダンスト主演による2007年の映画『マリー=アントワネット』。
どちらもきらびやかで匂い立つような衣装の描写がストーリー全体を彩っていた。
この背景に、実はもう一人のベルサイユの「薔薇」がいたこと、おぼえておこう。


2012年4月27日金曜日

凛としてぷっくり・動く瞳が魅力の「まこ写真展」

きのう、とてもなごむものをながめた。

渋谷、公園通りにて。

渋谷パルコ パート1の地下は洋書豊富な本屋やステーショナリーの店が集結する私の好きな一角だが、その一番奥のロゴスギャラリーで開催されていたのがこの展覧会「まこ写真展」



上の三枚のポストカード写真の被写体は同じ猫、まこ。
思わず表情筋がゆるむ。

のぞくようにビックリ?まんまるな瞳。
おこられてションボリ?長四角な瞳。
ハート型の舌で鼻をなめながら?宝石のような紡錘形の瞳がキラリ。

そして、ポストカードにはなかったけれど
仲間の猫さんたちと一緒に猫のーとの表紙に写っているまこさん。
一番左側に。鼻のほくろでわかる。


あんなまるかった瞳が線のように…

百面相のまこさんを眺めていると
きっと自分もこんなふうにコロコロと表情を変えているのかもしれないと
可笑しくなる。気持ちは確実に瞳に映る。言葉以上に率直に。

まこさんは女性。9才。
妹分のしおんさんや、弟のしろたろさん、新入りのえいたさんと
暮らしているのだとか。

2010年にもこのロゴスギャラリーでまこ写真展が開催されたところ
大盛況だったらしく、名古屋で巡回展も開催されたとのこと。

もっと詳しいことはコチラ から。



2012年4月26日木曜日

渋谷ヒカリエ・まずは香りの庭から

本日オープンのヒカリエ。
夕方、たくさんの人たちの波にのって立ち寄る。


上の写真は地下鉄半蔵門線〜田園都市線や副都心線に直結した入り口。
これからは渋谷の雑踏を避けてここから出入りしようと思う。

夕方で時間もあまりなかったので目指したのは1箇所。
コチラ でもご紹介の1階・ジャルダン デ パルファム。

さっそく新作2ブランドに絞って試香。

まずは中央に大きくディスプレイされていたグッチ「フローラ」の新シリーズ3種は
コチラ でご紹介していたとおり、きらめく春の光のような花の香り。今の季節の空気にピッタリな3種のうち…最近マグノリアの香りに興味シンシンな私はブルーカラーの香りを吹き付けていただいた試香紙をフロアガイドに挟む。持ち帰ってラストノートをチェックしよう。

もうひとつはメンズ。
鮮やかなブルーの新作BANG BANGはマーク・ジェイコブス。
コチラ でもご紹介した、夏の光にきらめくマリンブルーが自由な心に響くかどうか。これも持ち帰ってラストまで…と思ったらスタッフの方が試香紙のサイズに合った透明な袋に入れてくださった。こういう気配りは嬉しい。他にもすでに私のお気に入りとなっているフレグランス数種も並んでいて…これからは時々立ち寄りそう。こんなふうにもっとフレグランスを気軽に試すひとが増えてほしい。


2012年4月25日水曜日

ローズマリーを散らして

ローズマリーの生葉を入手。
ツンツン愛らしい葉は一本でもよく香ります。


まずはポテトとあわせて。
ふつうに粉ふきいもを作る要領で。
鍋にカットしたジャガイモと塩ひとつまみ、ひたひたの水。
一度かるく沸騰させてアクをとったら弱火にして
洗ったローズマリーを少々、ひねりながらまぶします。

やや固めのうちに
再度フレッシュローズマリーの葉をもう少々散らします。
一分もたたないうちに火をとめて
余計な水分をきってからお皿に。

このままでももちろん
爽やかな香りとともに美味しくいただけますが
ヴァージンオリーブオイルをちょっと垂らしても抜群に美味しいです。

ローズマリーは肉料理と抜群の相性。
塩と胡椒とローズマリー、そしてオリーブオイルさえあれば。
チキンでもポークでも。美味しくいただけます。



2012年4月24日火曜日

歩きたい街へ・表参道〜渋谷エリアの未来

昨日。雨の表参道を歩く。
しっとりと濡れたケヤキの若葉。




こんなに曇った薄暗がりの中でも
しなやかに伸びる木と洋館の眺めには
いつも足を停めてしまう。




原宿駅から表参道をまっすぐ進み、246通りで右へ。
この、表参道から渋谷へのルートは何度歩いたことだろう。
歩道橋一つひとつにも思い出がある。

初めてひとりで歩いたのは18才のとき。
高校卒業まで母親の選んだものしか着ることを許されなかった私は、この地で、生まれて初めて自分の選択で1枚のブラウスを買った。何というお店だったか、ブランドなど全くおぼえていない。ただ、一日がかりで何度も試着した挙句、決めた時には夜になっていた。そのブラウスにまつわる数々の宝石のような思い出は、今も私の服選びの原点にもなっている。

その後実際にこの地で色々な仕事も経験した。
ファッション誌の取材。
エステティックサロン勤務。
アロマテラピーサロン開設ディレクション。
改めてこの地の特徴を感じる。

今や、五感で直接感じる前に簡単に情報が手にはいる時代。
事前にブランドやお店を調べた知識でこの地を訪れる人も多いだろう。
でも。
何も知らなくてもいい。
この地を歩き、魅かれるものに出会う大人が
これからも増えますように。

4月に生まれるふたつのランドマーク
「東急プラザ 表参道原宿」「渋谷ヒカリエ」が、訪れる人の未来にとって刺激的なものとなりますように。

2012年4月22日日曜日

紫リボンとマグノリアに魅かれて・ジャンヌ・ランバン クチュール オードパルファム

初夏発売予定のフレグランスニュースが続く。
中でもイメージヴィジュアルにひときわ魅かれたのが
ジャンヌ・ランバン クチュール オードパルファム


モノクロの女性は清楚な中にも秘めた強さを感じさせる。
その象徴とも感じられる濃紺に近い紫のリボン。
淡いヴァイオレットカラーにミステリアスな官能性を漂わせ、クラシカルなボトルとのバランスが印象的。

先週このフレグランスのニュースを発見以来、どんな香りなのかをあれこれ想像していた。目に見える装いとしては、柔らかなシルエット、ラフさ(親しみ)を持ちつつも全体的に漂うナチュラルな清潔感、どことなく神秘的なエレガンス…

上記記事には香りの特徴が詳しく記されている。
興味深いのはヴァイオレットリーヴズからご自慢最高級マグノリアがいかに滑らかに香るか、そしてシダーウッドに特徴づけられたウッディベースがいかに上品なラストへ導くか。

私はマグノリアという種類の花、モクレンやコブシが大好きだ。
春の花としては、桜以上に好きかもしれない。


上記は二週間前の写真。
満開のコブシの花が、妖しくも清楚な香りをうっすらと漂わせていた。

連休明けに発売される多くのフレグランス。
私ならばこの紫のリボンをほどいてみたい。

ローズ・ペタルの秘密と薔薇の魅力

今朝の日経新聞15面。
サイエンス SUNDAY NIKKEIが興味深い。

ー生物の「合理設計」に学ぶー

赤い薔薇の花の写真が見えた。
やはりメモしておきたくなった。
記事より一部を…間に紹介する。

…東京理科大学が開発したゴム材料は、約10ナノメートルの微細なしわ構造をもつ。参考にしたのはバラの花びらだ。バラの花弁を電子顕微鏡で観察すると、微細な凹凸があり、高さが1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルのトゲも無数に見える。バラは一度はじいた水滴を花びらの表面にとどめ、水に含まれる栄養分を吸うという。…

さすがローズ・ペタル(薔薇の花びら)。
花香の女王とよばれるブルガリア産ダマスクローズの花びらから水蒸気蒸留法によって得る天然香料ローズオットーにはパラフィン、いわゆるロウ成分が含まれている。そのため低温下では固まる。こうした成分は花びら表面をまもる役割を果たしているのかもしれない。そして、それだけではなく、上記のように解明された仕組みにより、花びらは自らに必要な栄養分を無駄なくしたたかに吸収し、結果、あのような芳醇な香り成分をつくりだしているのかもしれない…と想像はふくらむ。

人をその姿と香りで古来から魅了してきた薔薇にはまだまだ人が知らない秘密が隠されているような気がする。秘密めくほど美しい。
そんな薔薇の季節は間近。昨年薔薇園メモとして書いたコチラのブログを見返して、また会いにいきたいと思う。




2012年4月20日金曜日

4月の癒し②・ローズフェイシャルトリートメント

4月も後半。
明日は牡牛座にて新月。
このあたりで新年度の疲れを癒してリセットへ…
と感じる人も多いはず。

大学生になったばかりの息子が
「おねがいだから」
と私にSOS発信のようにリクエストしてきたのは
フェイシャルトリートメント。

慣れない場所で
逢う人会う人初めてのひとばかりで
家に帰ると顔がどっと疲れるのだとか。

そこで受験期から彼がずっと室内の芳香浴で使用してきた
ローズオットーの精油を希釈したオイルで
顔面〜頭皮〜とアロマトリートメント。
いつも私は朝な夕なに自分の顔や頭皮で試しているだけに
リクエストしてきた彼の筋肉のこわばり方を手で実感。

仕上げにローズウォーターを含ませたタオルでかるく冷湿布。
ほんの短時間で…スヤスヤ入眠。

フェイシャルトリートメントは
なにも美顔目的のためのみ行うものではないのです。
女性にも男性にも素晴らしい寛ぎを提供します。

こまかな表情筋の集結する顔面をやさしくほぐし
嗅覚の入り口に直結する鼻に心地よい香りをつたえることは
どれほど脳へ全身へと深いリラクセーションをもたらすことでしょうか。
その結果の熟睡〜免疫力回復によって
翌朝の元気と皮膚の張りが得られることはあると思います。

ちょうど半月ほど前にも
知人で疲労困憊状態の男性方がいらしたので
是非ホテルでのローズフェイシャルトリートメントを、と
お勧めしたところでした。
その結果の大満足のお声は
コチラ に書いています。


2012年4月19日木曜日

人と空気の間に服がある・JUN OKAMOTOの世界

グールドつながりでこんなニュースを発見。
ジュン オカモトがブランド初のインスタレーションを実施 - ショートストーリーから浮かび上がる男女を表現

テーマは「花束・マジック・グレングールド」。
デザイナーが描くショートストーリーの中でイメージされるのは、彼女を大切に想う生真面目で優しい男性と、儚げでかわいらしい女性。

想像してみる。
グールドのピアノが聞こえている空間。
聴き入る彼女。
そんな空間ごと彼女を優しく受容しながらも、さらに驚かせてみたい彼。
花束のサプライズ?

振り返って私も
日々の服を選ぶとき
会う人との関係性、訪れる場所の空気感をイメージする。

ジュン オカモトのテーマに並ぶ三つのキーワードは
そんなリアルな服の背景をイメージさせてくれる。
例えば、2012春夏「朝食・ シャンパン・日々の泡」

ジュン オカモトは、2002年にパリでブランドを立ち上げ、近年日本に拠点を移している。日本で最初に服飾を学び、次にパリで学びその中で生活するうちに築かれた想いが再び日本の市場に向き合い、何を感じているか。その経緯は、JUN OKAMOTO/岡本順さん  interview
で読むことができる。



2012年4月18日水曜日

4月の癒し①・BACH: THE GOLDBERG VARIATIONS / GOULD

4月という月は、変化の月。
楽しくもあり、緊張もする。

いつにも増して疲れやすい。
身体はもちろん精神的にも。

今月、私がBGMにと何度も選んでしまったのが
バッハ ゴールドベルク変奏曲 / グレン・グールド。


これを聞いていると、とても気分が落ち着く。
リラックスタイムだけではなく
仕事も、穏やかな気持ちで黙々と続けることができた。

グレン・グールド 27歳の記憶 でも書いたように、私はそもそもこのピアニストの奏でる音が好きだ。

バッハを改めて偉大と尊敬する。CDの裏にはこう記されている。
…このゴールドベルク変奏曲は不眠に悩むドレスデン駐在のロシア伯爵を慰めるために書かれた作品で、1741、2年の作です。…

そしてグールドはこのゴールドベルク変奏曲で楽壇にデビュー、死を目前に再び原点へ立ち戻り、彼が永年築き上げてきたバッハ演奏の境地が集約され再録音されたCDがこれだった。

夏目漱石の『草枕』の冒頭は今でも忘れられないが
中でも
このグールドのバッハを聴くたびに
…「あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい。」
この一文を思い起こす。
『草枕』を初めて読んだのも、たしか4月だった。




天然アロマのスカルプケアはピンクのボトル

美容師さんのこんなつぶやきを耳にした。
「最近、女の人、若くても髪が薄くなっていて心配。」

たしかに。
キレイで笑顔の絶えない頑張り屋さんの女性の中に、なんだか頭頂部が薄くなっている人がいる…と気づくことが増えてきた。仕事、他人を優先する気配り続きの多忙な日々。母であるという大仕事の上に外で責任のある仕事を持っていたりするとなおさらそうなりがち。リラックスして休息をとる時間があれば本来の女性ホルモンの働きで肌(頭皮ふくむ皮膚)のコンディションも整うはずなのに…なかなか難しいという現実。

かくいう私は。
今のところ薄くはなっていないものの、頭皮のコンディションが日々の疲れ加減で随分違うなと感じたこと多々。屋外にいたり運動をすれば汗や埃で汚れるのは当然。そうでなくても、仕事で余裕のないスケジュール、納得のいかない食事、イライラが続いたりするとなんだか頭皮がヘン!こわばったり、あるいは妙にべとついたり…と。(食べたいものをキチンと食べたり、睡眠時間をかなりとると改善することも多いけれど。)

なのでオカシイナと思うときにセルフケアで行っていたのはアロマトリートメントで使うキャリアオイルに(好きな香りの)ローズ等の精油を希釈してヘア用オイルをつくり、湿らせた頭皮になじませながら指腹でマッサージをし、蒸してから洗い流すケア。洗い流す時もなるべく低刺激のシャンプーで。かなり頭皮が軽やかに柔らかくなる。なんといっても頭皮は顔面の皮膚に直結しているのでダブルの効果を期待…しかしこんなことはアロマセラピストである私ゆえ。忙しいひとには難しい。

そんなことを考えていた矢先。
ロフトでみつけたピンクのボトル。
原宿系アイドルの愛らしいフォト。
完璧に女性ターゲット。
スカルプケア専用のシャンプー。
Rêveur SCALP

ノンシリコンで香りは天然由来。
ラヴェンダー、オレンジ、レモン、グレープフルーツ…。
シャンプーだけでなくトリートメントも頭皮になじませるタイプ。
優しいのは香りや洗いごこちだけではなく
ファミリーユースでも使用できそうな価格。
女性を視覚から癒すピンクとはいえ
このナチュラルな香りであれば男性も使用できるはず。

さっそく100円弱のサンプルを購入して試す。
たしかに優しい香りと柔らかな洗いごこち。
頭皮がスッキリ、柔らかくなった。

欲を言えばロングヘアの私にはもうすこし髪をしっとりさせたい。
そんな欲求には、コチラ でご覧のとおり、他の二種がある。

グリーンボトルのリッチアンドリペアの香りは
オリエンタルフルーティー。

紫ボトルのモイストアンドグロスの香りは
フローラルベリー。

こんなタイプのヘアケア。これからも増えてくると思う。

たとえば週末はゆっくりスカルプケア、平日は用途と纏いたい香りにあわせてシャンプーを選ぶ。そんなことだけでも女性はかなり癒されて美しくなれるのではないかと思った。女性が綺麗なら男性も元気になるのだから、これは大切な問題。



2012年4月15日日曜日

つやつやグリーン・ピーマンの秘密

苦いといって嫌う人も多いけれど
その青苦さに柔らかな甘みがほとばしる魅力は絶妙、と私は思っている。

なんといっても
このつやつや、ピカピカ。
こんな肌でいられるなんてよほど体内に秘密があるに違いない。
ちょっとあやかりたいこの光沢を撮影してみる。




こんなことを思い起こしてしまったのは
昨日の日経新聞NIKKEI PLUS 1の第3面でピーマンの記事を見つけたから。

ピーマンの苦味は、ポリフェノールの一種であるクエルシトリンに香り成分が加わって生じるらしい。加熱するとかえって苦味が増すとのこと。

やはりポリフェノール。抗酸化作用。つやつやなわけですね。

もっと詳しく知りたくて見つけた記事がコチラのマイナビニュース

以下… 内は記事から一部引用。

…クエルシトリンはドクダミに多く含まれるポリフェノールの1種で、脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制するほか、高血圧抑制、抗うつ作用、血中中性脂肪の上昇抑制、血流改善、関節炎予防効果などの効果を持つ。

しかしこのクエルシトリン、正確には苦味ではなく、似て非なる「渋味」を呈するものだったのである。そこで、さらに食味評価を実施。その結果、クエルシトリンの持つ渋味に、ピーマン特有の香気成分である「ピラジン(2-isobutyl-3-methoxypyrazine)」が加わることで、ピーマンの苦味として感じられることが判明したというわけだ。…

なんと。これからの季節。有難い野菜の一つになりそう。
ピラジンという香気成分はコーヒーなどにも含まれているという話をきいたことがあり、こうした特有のアロマ成分が私たちに与える影響は実は大きいものだと改めて感じる。

私は肉料理にピーマンを合わせ肉独特の臭みをマイルドに洗練させるのも好きだけれど、トマト料理にあわせてその甘みとコクをひきたてるために使うのも好き。生のまま極細切りにしてサラダにちらしても、濃厚チーズののったピザやグラタンにちらしても美味しい。

「ピーマン」という日本での呼び方は、フランス語の"piment" の発音由来。
低温に弱いらしく、貯蔵適温は10℃とのこと。
(『日本の野菜』大久保増太郎著 中公新書 より)




2012年4月14日土曜日

日本初上演『淋しいマグネット』・シアターコクーンにて

BUNKAMURA シアターコクーンにて。
『淋しいマグネット』を鑑賞。


まず、タイトルに魅かれた。
淋しいマグネット。
磁石のさびしさ…?
なにか、この言葉に強烈に魅きつけられた。

終演後、この一つの物語から
いくつもの自分自身の記憶を思い起こし
4人の登場人物それぞれの気持ちに重ね合わせた。
ある一時期魅かれあったものの、数年後に悲しい決別をしたこと…
魅かれあった気持ちが、時に怒りと憎しみに変化する危機を何度も乗り越えて
それでもなお、魅かれずにはいられない存在があること…

脚本がすばらしい。
9 才、19才、29才それぞれの、正直ゆえに残酷な言葉の発露がいきいきと突き刺さるように伝わってくる。ピュアな誠実さと残酷さは表裏の関係にあると痛感する。

コチラ の記事によると、この作品は、スコットランドの人気劇作家ダグラス・マックスウェルのデビュー作。2000年英国での初演を皮切りに、ドイツ、ノルウェー、香港、ニューヨーク、シカゴ、オランダ、スウェーデン、韓国で上演され、今回日本初上演とのこと。

原作はどうやら『Our Bad Magnet 』のようだが、この上演の影響なのか品切れのようす。

仕事に関するもろもろの情報で頭が飽和状態になっている金曜日…たくさんのアーティストの渾身の表現の結集ともいうべき舞台のお芝居を鑑賞することの清々しさを改めて感じた。紹介してくださった翻訳家のMさんに感謝。


2012年4月13日金曜日

The aroma reflects its producing district…『佐々木薫のアロマテラピー紀行』

知人の佐々木薫さんはアロマテラピーのプロフェッショナルとしてご活躍。
数年前から縁あってお会いする機会が増えました。
いつもその場の空気感にぴったりの爽やかなファッションとナチュラルな存在感が魅力的な佐々木さん。

そんな佐々木さんが、天然香料産地である世界十数カ国(ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、中東、南アメリカ、日本…)への取材を重ねてまとめられた一冊がこの春デビューです。


A4サイズ、カラー写真満載の本の表紙は一面ラヴェンダー。
『佐々木薫のアロマテラピー紀行』(主婦の友社)


香料植物の産地を訪れると、まさにその香りが産地の環境・気候風土・人の生活を反映するものであることが実感できます。私自身はまだダマスクローズの産地であるブルガリアしか訪れていませんが、この本を眺めることによって様々なことが想像できますし、香りの背景と人が生きるために必要とした意味や価値を感じることができるでしょう。



本の中から一箇所のみご紹介。
上の写真には、中東オマーンの地に乳香樹に並んで立つ佐々木さんの姿がみられます。いかにこの地が乾燥と強い陽射しの厳しい環境であるかは、白い服装とサングラスでガードした佐々木さんの姿をみれば一目瞭然。

乳香(フランキンセンス)は、かつてシバの女王がソロモン王に贈った貴重な香料。オマーンは、そのシバ王国の一部であったとされ、現在もこちらでは良質な乳香が産出されているそうです。

最も乾燥した砂漠の地でとれる乳香が最上質といわれるのだとか。
過酷な環境下であるからこそその環境に適応するべく、植物は独特の芳香成分を自ら作り出し、身をまもり、生き抜く。その恩恵は同じくこの環境に棲む人々にも見出されたのであろう背景が伝わってきます。

香りを知ると背景の文化が知りたくなるものですが、まさにこの本はそうした好奇心を満たすにはピッタリではないかと思います。



2012年4月11日水曜日

薔薇色のかわりに香りを添えて・"Rose The One"(Dolce-Gabbana)

始まりの季節。
盛装で出掛けることが続きました。

選んだ装いの一つが
オーガンジーで造られた小さな黒薔薇がボタンの
ウエストシェイプの黒ブラウス。

ふと思い起こした香りは
3年前に発売された"Rose The One"(Dolce-Gabbana)。

ミドルノートに
確かブルガリアンローズとマドンナリリーが使われていたような…
初々しさを忘れない、上品な淑女のイメージ。

"Rose The One"(Dolce-Gabbana)については、香水百科的サイトともいうべき
FRAGRATICA のこちらのページをご覧いただければ、豊富なヴィジュアルでその香りのイメージが膨らみそう。
季節では春、時間帯では昼。そんなイメージを持つ人が多いこともわかります。

黒の薔薇服にさりげなく。
薔薇色を添えないかわりに香りを添えて。
おかげで、緊張するはずの時間を優雅な気分で過ごすことができ
周囲の方々からも笑顔をたくさんいただきました。



Shizuoka Festival (江戸姿と桜と茶の香り)

4月8日。
仕事で訪れた静岡市内を歩いていると、江戸姿の行列が目に入りました。
静岡まつり 最終日。幸運なことに、しずおかクイーンにも遭遇。




静岡まつりとは。
400余年という伝統ある静岡浅間神社の「廿日会祭」にちなんで
昭和32年(1957年)からはじまった市民のおまつりであるそうです。

「ここ駿府で徳川家康公が家臣を連れて花見をした」という故事に習い、『大御所花見行列』をメインに、桜の花咲く頃のおまつりとして市民に親しまれ、毎年4月第一土・日を中心に開催されていますが、昨年は東日本大震災の影響により中止されたこともあり、二年振りの開催に喜ぶ人々の笑顔がまさに春でした。

同日夕刻。
仕事上のご縁で、素晴らしい景観の庭園を背景とする場所を訪れました。



大政奉還後の徳川慶喜が20年過ごしたといわれるこの場所。実はこのような歴史がありました。

幕府は江戸(現在の東京)に開いても、くつろぐ場所として家康公も慶喜公もこの駿府を選んだというところに…改めて「静岡」という地の魅力を感じます。もっと国内外の人にも知ってもらいたいものです。

翌朝、静岡駅に向かう地下街の一角を通り過ぎたとき、茶のお店があるわけでもないのに、一瞬香ばしい緑茶の香りが漂いました。茶の産地ならではの演出でしょうか。もうすぐ新茶の季節、と心待ちにする人も多いでしょう。



2012年4月9日月曜日

残り香は謎めくほど記憶に残る・永田町 黒澤にて

先月末に訪れたお店、永田町 黒澤の残り香が忘れられない。


映画の黒澤監督にちなんだお店であることは後から知った。

ふとした偶然の幸運で訪れ、いただいたお料理はどれも繊細な風味で、ほんのりと嗅覚と味覚にささやいた。おかげで、この場所にいた間は集った仲間との貴重な会話に心地良く集中できたと思う。

ただ、翌日、数日、一週間後と時間が経つにつれ、あのごく柔らかな風味のお出汁の香りや、最後のデザートに出された、大吟醸の残り香ムースの幻想的な感触が、記憶の中に忘れ難い残り香となって蘇ってくる。

言語に置き換える隙も与えない位、静かに染み込むように記憶に残った余韻は、もう一度その実体を確認したくなるほど謎めいて魅力的。

久しぶりにまた必ず訪れたい場所に出逢えたと思う。


2012年4月7日土曜日

スパ・キュイジーヌは五色の香りで

一週間前に訪れたコチラ にて。

東館NIKI CLUB &SPA ガーデンレストランのランチコースの前菜に
スパ・キュイジーヌメニューとして選べたのがこの一品。

紅マスのスモークと高原産春野菜
二期滋養卵"純"の半熟タマゴをそえたバーニャカウダ。


グラスに花のように盛られている五色の彩り。
甘味あり、苦味あり、歯応えあり。
そして五色それぞれの香り。
紅マスとタマゴのとろける味わいや、ほっこりしたサツマイモの食感も
ドレッシングとともに他の野菜の香りを引き立てていました。

スパ・キュイジーヌとは
二期倶楽部の宮﨑康典総料理長により
美味しさと健康の融合を目指して考えられたメニュー。
カロリーも抑えめに仕上げられているそうです。
たとえば…
アロマトリートメントを受けて
心身の緊張が緩められ
研ぎ澄まされた五感には
とりわけ心地よく響くお料理ではないかと思います。

詳しくはコチラ から。



2012年4月6日金曜日

How the aromatic pen makes me happy ? ・「リロマ」(セーラー万年筆)

昨日見つけたlivedoorの記事

ついにボールペンにまで香りを仕込むとは。
こういう発想は日本という国ならではなのでは、とつくづく思う。
あくまでもささやかに、あからさまではなく香りを楽しみたいのですね。
そして何かのついでに。
ヨーロッパ在住の友人に話したら
「普通に空間に香りをつかったら?」あるいは
「香水をまとえばいいんじゃない?」なんて言われそう。

ペンは指先のアクセサリーというか、手にもって使うものだけにファッションアイテムとしての存在感も重要。ちなみに私も、愛用の手帳に合わせた色と形のボールペンを選んでいる。どんなにファッショナブルな装いであったとしても、打ち合わせや取材のとき、その素敵な人が装いに似合わないオモチャのような筆記具を手にしているのはチョット興ざめ。

自分に似合うペンを一本持っていることは、完璧なネイルで指先を装うことに等しく女性をハッピーにする。(と思っているのは私だけかもしれないが)

では、香るディフューザー機能をもつペンはどんなハッピーをもたらしてくれるのだろうか。詳しいリリースがあったので読んでみた。
セーラー万年筆、アロマオイルの拡散機能付きボールペン「リロマ」を発売

記事下にある製品画像をみると、ペンは4色。
ロゼピンク・シャンパンゴールド・スパークルエメラルド・ビターブラウン。
オリジナルアロマとしてセットとしても販売される香りも4種。
オレンジグレープフルーツ/ローズマリーシトラス/ミントユーカリ/ユーカリラベンダー(4種)容量:5ml(100%天然精油のブレンドらしい。)

確かに光沢のあるカラーとスッキリした形はチョットお洒落に見えるのかもしれない。ある種のファッションともコーディネートできるのかも。香りも、好まれそうな2種ブレンド。全て会議中、仕事中、勉強中の人にリフレッシュとリラックスを提供しそうなものばかり。煮詰まったところでほんのり漂うアロマに癒される…そういう意味では、アロマテラピーなんて面倒と思っている人には手っ取り早く楽しめるのかもしれない。

ただ、使う人が香りを楽しむのが目的ならば、天然にこだわらなくてもいいから挽きたて珈琲の香りとかチョコレートの香りもあったらいいのにと思ってしまう。(珈琲飲み過ぎ防止、甘いものへの誘惑防止にも貢献できそう)

ひとつ残念なのは、オリジナルアロマのビジュアルデザイン。
製品画像を見てみると、一般的にアロマテラピーで使用されている遮光瓶に入ったモッタリしたデザインとなんら変わらない。こういうのを使うのが面倒とかお洒落じゃない、と思う人を対象にするのであれば、もう少しペンにあわせてスリムにするとか、小さくてもルームフレグランスと併用できるレベルのスティック状スプレーボトルにするとか…
いまや歯磨きセットまでファッショナブルな時代。
既存のアロマテラピー用精油は沢山ある中、ペンのためのせっかくのオリジナルであれば、ファッション性・携帯性も考えては…と思ってしまう。

とはいえ、チョットお洒落なペンを欲しいと思いつつアロマテラピーにも深い知識はないが関心を持っているひと、わざわざアロマテラピーグッズを揃えなくても仕事中に気軽にリフレッシュしたいひとには喜ばれるのかもしれない。これがアロマテラピーや香りを楽しむ習慣の入口になるならば、それはそれで結構。

ちなみに私は文房具ではペンでなく、手帳でさりげなく香りを楽しんでいる。
コチラのブログ でご紹介。


2012年4月4日水曜日

蕾から花へ・空にきらめく

この角度から
ちょうど良い光加減で撮影できるのは
午後2時から3時ごろ。

3月29日
蕾ふくらむ。
白い星のように開くのはもうすぐ。




4月2日
七分咲き。


4月4日
昨夜の強風にもかかわらず
ほぼ満開。



開いた花びらの奥からは、清々しく芳しい香りが漂う。
空高く、雲に届くかのように。



名前は辛夷(こぶし)。
モクレン科モクレン属。

私は、白い星の花、と心の中では名付けている。
その香りは清々しい透明感にあふれ、まだすこし冷んやりとした早春の風に乗って昼間の青空にも夜の漆黒の空にもきらめく。
ようやく本当に春がきた。

どこか懐かしい・オランジーナ

遠い記憶の中にあったような
パッケージ。名前の響き。
オランジーナ。


パリにいたときによく見かけた
オレンジにブルーの帯。
このペットボトルとは違うかたちのボトルだったけれど。

シュワッと爽やかな酸味+甘味+苦味。
オレンジ+レモン+マンダリンオレンジ+グレープフルーツ…
そしてオレンジピールも加えたブレンドのおかげかも。

どこか懐かしいのは
パッケージヴィジュアルだけではなくて
ただ甘いだけではない柑橘本来の酸味や苦味もちゃんとあるところ。
「つらいこともある、だからかすめるような甘みが引き立つね…」

この春から日本でも販売されるようになって
そのCMに笑ってしまいました。
あの映画と結びつくなんて。
俳優がリチャード・ギアだなんて。
その情報も含めたウェブサイトはコチラ



2012年4月2日月曜日

白い星のように開く花

桜よりも大切な
春から私へのメッセージ。

三日前には愛らしいふっくらとした蕾がほころんできたと思っていたら
今日はこんなに開いている。


ちょうど二階にある自宅玄関を開けると
今日はこの花の香りがふんわり。
かすかに漂う甘い華やかさは
清々しい四月の青空に映えて。

ハクモクレンかなと大雑把に呼んでいたけれど
花の開き方をみると、これはコブシかな。
同じモクレン科の仲間。名前は確かではないけれど
私は毎年この花に会えると春が来たと思う。

明るい方へ向かう花びらは
まるで白い星のよう。

「咲く」というよりも
「開く」という動き。

「咲いている」というよりも
「きらめいている」という存在感。

青空のもと、花の奥のピンクが淡く輝く。
暗い夜空には、まさに白くきらめく星の花。



時を観る・光と風の色

4月1日 那須にて。
6時と10時と12時と。

6:00a.m.
テラスにはうっすらと雪。
淡い光が拡がりはじめた空の色。







10:00a.m.
雪はもうない。さわやかな風。
クリアな光が映すスカイブルー。




山肌のグレイカラーも清々しい。




12:00p.m.
雲と風。光弱まり、空は白。





2012年4月1日日曜日

那須高原にて・「二期倶楽部」再訪

那須高原にて
木立と雲に囲まれる。




この地に
1986年開業の二期倶楽部 。最初の建物は、大谷石の独特な風情と池の波紋の静かな輝きが印象的だった。私がこちらの創業者と出逢ってからのご縁は今年で20年目。




2000年代に入りつくられた滞在型リゾートとしての東館。周囲の自然に溶け込む建築に併設されたスパとアロマトリートメントサロンもさらに充実。スタッフ教育に通っていた当時を懐かしく思い起こす。




久しぶりにこの地を訪れ、この環境の中で、丁寧に育まれたおもてなしの考え方と共にアロマトリートメントが提供される素晴らしさを改めて感じる。この春からは、フェイシャルトリートメントもさらに充実。